国民って政府のATMなの?と思ったときに読む話

先日、twitterで「#国民は政府のATMなのか」どいう物騒なハッシュタグがトレンド入りしていました。

【参考リンク】#国民は政府のATMなのか

いろんなレスが殺到していますが、大方は政府の対応を批判するものですね。まあ気持ちはわかるんですけど政府批判だけだと底が浅いんですよ。なんの問題解決にもならないわけで。

Motortion/iStock

特に、例によって懲りずに安倍政権批判などにつなげて騒いでいる人たちをみるともはや伝統芸能か何かの一種でも見ているような気分になります。

国民負担はこの数十年、民主党政権時代も含めて一貫して上がり続けていますからね。

さて、本当に国民は政府のATMなんでしょうか。だとすれば、それから身を守る手段はあるんでしょうか。いい機会なのでまとめておきましょう。

国民すべてじゃなくサラリーマンが、そして政府じゃなくて高齢者のATMです

政府が国民をATM代わりに使っているのは事実でしょうが、問題は「何のためにお金を使っているか」です。

以下の図を見れば一目瞭然。国民から引き出したお金は社会保障給付に使っているんですね。社会保障給付の65%は高齢者関係ですから、国民をATMとして使っているのは高齢者ということになります。

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なんてことを言うと「高齢者の社会保障をカットすれば将来自分が困るだけだ」なんてことをいう小学生がいるんですが、日本の社会保障は賦課方式といって現役世代の保険料で高齢者を支える仕組みです。

高齢者の給付を見直せば現役世代の負担も軽減されますけど、増え続ける給付を放置すれば負担はジリジリ上がり続けますよということを上記の図は示しているわけです。将来の心配なんてしてる場合じゃないですね。

ついでに言うと、ATMとして使われているのはすべての国民というわけでもありません。

反社の人は元々消費税くらいしか払っていませんし、無職や高齢者もそうですね。フリーターや自営業の人は消費税に加えて定額の国民年金、それから国保は払うことになっていますけど、まあそれくらいは当然でしょう。

問題なのは、“労使折半”の名のもとに社会保険料約30%(実際には実質本人負担)に所得税等を込みで約4割も天引きされるサラリーマンですね。

【参考リンク】迫る会社員保険料30% 健保連「22年危機」と改革訴え

特にサラリーマンの場合、「所得捕捉率100%で天引き」という点が重要ですね。

自営業やフリーターなら「お金の使われ方に納得できない」と思えば未納という形で逃げることも可能だし、反社の人たちなんて最初から地下に潜ってるから搾り取ろうにも絞れないわけです。

そこいくとサラリーマンは丸裸な上に逃げ場なんてないわけで、文字通り“人間ATM”みたいなもんですね。

というわけで、件のハッシュタグですが、より正確には「#サラリーマンは高齢者のATMなのか」とすべきでしょう。

あと、上記ハッシュタグに集まってるコメントで結構な数が「財務省が諸悪の根源」って言ってるんですが、アホですね。

年貢一杯とっておきながら武士階級が優雅に暮らしてるだけの江戸時代ならわかりますけど、今は令和ですよ令和!

徴集されたお金がどう使われているかくらいちょっと調べればいくらでも出てくるし、実際に使われている原因をスルーしたまま財務省ぶっ潰しても別の組織が第二財務省として同じことするだけです。

それと余談ですけど、れいわ支持者のように「消費税の引き下げ」を主張する人たちというのは上記でいうところの「サラリーマンではない人達」がほとんどです。

彼らの多くは消費税くらいしか払っておらず、それさえなくせば文字通りの無税国家で暮らせるので、あれだけ一生懸命になっているわけです。

そして、彼らは本音では消費税を無くせば、その分の負担がどこへ行くかわかってやっていると思います。そう、それは社会保険料という形で“人間ATM”であるサラリーマンが負担することになるでしょう。

というわけで、サラリーマンでれいわとか消費税引き下げ政策を支持してる人ってだいぶ頭がおかしい人だと思いますね。身近にいたら注意してあげましょう。

以降、
今や貧困ビジネスの雄、日本共産党!
政府が正社員制度に固執するもう一つの理由

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編集部より:この記事は城繁幸氏のブログ「Joe’s Labo」2022年6月9日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はJoe’s Laboをご覧ください