動き出す2024年大統領選、バイデンは不出馬か?

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2024年大統領選、前哨戦始まる

2年後の米国大統領選について議論し始めることは早すぎると思われるかもしれない。

しかし、アメリカ大統領という権力の頂を目指す挑戦は多大な労力と資金を必要とし、その準備は早ければ早い方がよい。既に民主、共和問わず、2024年を視野に入れて動き始めている。

そのことを念頭に今回はバイデン大統領の進退について紛糾する民主党内部の状況について取り上げたい。

始まったバイデン降ろし?

主要メディアを筆頭に、バイデン大統領の2024年の大統領選への出馬を疑問視する声が民主党内で高まっていると指摘するが出てきている。アトランティック誌に至っては「2024年大統領選にバイデンが出馬するべきではない理由」という論考さえも掲載され始めている。

各記事に登場する情報源が揃って口にするのがバイデン氏の年齢である。バイデンは当選したアメリカ大統領としては最高齢であり、再選されて二期目の任期が終わるころには86歳となり自身が更新した最年長記録をさらに更新することになる。

大統領職がいかに激務かを考慮すれば、老齢なバイデン氏がその職責に耐えうるかどうかは検証されるべき問題である。ケネディ大統領がキューバ危機に対応した13日間で平均して数時間の睡眠しか取れなかったことは有名な話だ。バイデン氏との取り巻きと接触がある人々によれば、彼の認知的な能力は問題はなく、現段階では最高司令官として職務を遂行できているが、若かったエネルギッシュな時代と比べると活力が落ちていることは疑いようもない。

再選される権利を持ちながらも大統領選への出馬を辞退した現職大統領の例はある。ケネディ暗殺を受けて大統領に就任したリンドン・ジョンソン大統領は人種暴動、反戦運動などといった国内の混乱を収束し、北ベトナムとベトナム戦争の終戦交渉に入る意思表示も兼ねて、大統領選への不出馬を宣言することを余儀なくされた。

バイデン氏もジョンソン氏と同じように自分が不出馬表明をすることで、国家の安寧のために自らの政治的野心を犠牲にするシナリオも考えられないわけではない。

だが、バイデン氏の周辺が彼の候補者としての資質に疑義を呈し始めるも、当のバイデン氏本人は再選を狙う意欲を見せている。バイデン氏はこれまで繰り返し再選を目指すことを示唆しており、来年の春ごろに正式に出馬宣言をすることで調整に入っているとの報道もある。

およそ半世紀もの間政界に身を置いた無類の「政治好き」で、若い時からずっと大統領になりたかった「野心家」のバイデン氏が自発的に出馬を取りやめることは今の段階では考えにくい。

バイデン2024は確実?

そして、実際に彼が出馬を言明すれば、民主党は彼を再び大統領候補として指名すると筆者は考える。

確かに、最近の報道で彼の不出馬を望む声が党内から聞こえてくるが、党の分断という危険を冒してまで彼に挑戦しようとする人物が出てくるとは中々思えない。

なぜなら、2016年の大統領選という苦い経験があるからだ。2016年民主党予備選は党内の主流派と左派の一騎打ちとなったことで党内が分断し、本選でまとまれなかったことが僅差でトランプ氏が勝利する結果を招いてしまった。

トランプ氏を民主主義に対する脅威と認識し、党内で議会襲撃事件をめぐるトランプの起訴を求める声が強くなっていく現下の党内情勢を考えると、再び党を分断してトランプ氏の再選の可能性を高くすることを避けるということは民主党内の共通理解であるはずだ。

どうなる民主党?

党内の分断が民主党の最大の政敵であるトランプ氏の再選を招く恐れから、民主党は消極的ではあるが健康が大幅に悪化しない限りはバイデン支持で最終的には固まるであろう。

それは、いくらバイデンの支持率が彼の政権の無能さによって下がり続けたとしても変わらないと筆者は考える。

しかし、政治的に八方ふさがりになっている、80代のバイデン氏に賭けるしかない民主党の現状は党のこれからに不安をよぎらせる。