アメリカはカネ儲けが目的なら簡単だが、事業を成功させるのは至難の国

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いまだに「アメリカは、ほとんど資金を持っていなくてもアイデアひとつで事業を立ち上げることができるし、成功すれば10億ドル長者、100億ドル長者になることも夢ではない、独立心の旺盛な人間にとって、チャンスが一杯の国」といった神話を言いふらしている人たちがいます。

これが、単純に他人をだますためにウソと知っていて広めているのなら、どこにでもある詐欺ばなしで済みます。

ですが、多くの場合言いふらしている人たち自身が「世界のどこかにそういう夢のような環境があってほしい」という願望をこめて語っているので、ついつい信じ込んでしまう人たちも多いようです。

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実際に大儲けするのは、陳腐なアイデア

アメリカは「まだ誕生して間もないけれども、このアイデアを宣伝すれば投資家から多くの資金を引き出せるかもしれない」という企業の卵を上場させるための金融の仕組みは、たしかに非常に充実しています

かなり昔から未上場株ファンドという、まだほとんど営業実績も出ていないような企業を上場させることを目的として資金運用をしているファンドもたくさん存在しています。

最近では、まだどういう企業を買収するかも決まっていない言わば「空箱」のうちに、主宰者の眼力を信じた投資家から資金を募っておいて、その後時流に乗った「有望な」買収対象を決めます。

そして、買収したら買収された側の企業名を名乗って上場にこぎつけるまでの一切合切を引き受ける、特別買収目的会社(Special Purpose Acquisition Company、SPAC)という業態のファンドも続々と出てきました。

また、株式市場でかんたんに売り買いができる上場投資信託(Equity Traded Fund、ETF)の中にも、時流に乗って雨後のタケノコのように続々登場する「有望分野」の二番煎じ、三番煎じの企業群を丸抱えにしたようなものが多くなっています。

こうした新興企業を上場させることに最大の精力を注ぐ投資家グループ全体をベンチャーファンドと称して、何かしら画期的な新事業に挑む意欲に溢れた冒険家たちのように誉めそやす風潮があります

ですが、その「画期的なアイデア」の多くが、大勢の「起業家」たちが我も我もと飛びこんでいく流行のまっただ中にある、ありきたりで陳腐なアイデアなのです。

本当の意味で独創的で「こういう会社があったらすばらしい」と思えるような企業を立ちあげるための苦労や経費は、おそらく日本で同じことをするよりはるかに大きくなるでしょう。

そのまじめな起業家たちが直面する艱難辛苦の数々をご紹介する前に、どういう分野に「起業家」も投資家も群がるかを示す例を挙げていきましょう。

実績に比べて異常に過大評価されていたEV業界

まず、「二酸化炭素排出量ネットゼロが実現したら、世界中の自動車が全部電気自動車(EV)になる」という思惑から、売り上げ台数では1~2%のシェアしかないのに、一時時価総額では内燃機関(エンジン)車メーカートップ10社の合計額より大きくなってしまったテスラが君臨するEV業界です。

左上の二コラという社名だけでもおわかりいただけるように、テスラのあとの二匹目、三匹目のドジョウを狙った意図が明白です。

イーロン・マスクは世界の自動車市場の勢力図を一変させようと、完全電気動力そして完全自動運転の自動車開発を試みているという意味で、それなりに評価のできるdisruptor(秩序破壊者)です。

トーマス・エジソンほど自己宣伝はうまくなかったけれども、ずっと多くの独創的な発明をしてきた二コラ・テスラという天才的な科学者・発明家の姓を社名にしているところにも、その意気込みが感じられます。

ですが、大型トラック分野でEV化の先頭に立つと自称していたトレヴァー・ミルトンは、自分が創業した企業の社名からして「マスクが姓を取ったから、自分はファーストネームの二コラを取る」というぐらい、独創性のない人間です。

「完全電動の大型トラックの走行実験に成功した」と称して流したビデオクリップが、じつは緩やかな下り坂を後ろから押している人間の力で「走行」していたことがわかって、信用は地に落ちました。

それでも、2020年の初夏にかなり大量の持ち株を売り抜けたミルトン自身はちゃっかり10億ドル長者になり上がっています

ロミオ・パワーやクァンタム・スケープにいたっては社名以外、いったいどこに特徴があるのかさえ定かではないEVメーカーです。

ファラデー・フューチャーは、マスクやミルトンが二コラ・テスラから社名をいただいたのに対抗して、やはり優れた物理学者で多くの法則を発見したマイケル・ファラデーを社名にいただいたわけです。

ただ、音で聞くと「ファーラウェイ・フューチャー(EVが実用化できるのは遠い将来のこと)」という自嘲ギャグにも聞こえるところが評価されたのか、やや値持ちがいいようです。

もちろん肝心なのは、上場にこぎつけたファンドや証券会社、そして創業者にとっては、吹き値をしたときに大量に持ち株を放出していれば大儲けはできていたということです。

しかし「旬」の期間はおそろしく短かったので、「有望株」とのうわさを聞き付けた個人投資家が買ってから高値で売り抜けるチャンスは、ゼロに近かったでしょう。

EV業界は、たったの一度も営業利益を出したことがないとか、まだ製品が市販されたことがないとかの企業でも、未上場株ファンドやSPACに見出されて上場にこぎつければ創業者自身は10億ドル長者になれる場所です。

だからこそ、トレヴァー・ミルトンのようなペテン師が寄ってたかって似たような企業を立ち上げているのです。

事業計画に独創性はまったく必要ありません。むしろ、なまじ独自性を打ち出すと、二コラのように明らかな詐欺としかいいようのない「創意工夫」をしなければならなくなります。

「Me, too(私も)」と手を挙げるだけで、運よく手広くカモを捕まえることの得意なベンチャーキャピタルとめぐり逢えば巨万の富を得られるという意味では、ひたすらカネ儲けがしたい人にはおあつらえ向きの業種と言えるでしょう。

全体として、堅実に長期にわたる成長を達成する企業は1社も存在しない、業種自体があだ花で終わる危険も非常に大きな業界です。

呼べど帰らぬ出前代行・自動車送迎業界

自動車送迎と出前代行兼業のウーバーが話題になってから、世界中で似たような業態の企業に対する成長期待が高まりました

しかし、実態としては次のグラフで明らかなように、期待外れに終わっています。

グラブはシンガポールに本社を置く自動車送迎・デリバリー兼業会社ですが、ソフトバンク資本の入ったSPACから大量の資金を導入したことがはやされて、一時株価が急騰しました。

ところがが、その資金導入効果が業績に現れ始めるどころか、まだ買収作業が完了しないうちに人気が離散し、4月末にはピークから82%も下がっていました

この手のベンチャー・ビジネスにとって、元々しっかりした業績を達成することなど念頭にないのです。

上場やSPACの買収対象にされることが最大の目標であって、そのあとはスープを取り終えた鶏ガラのようなものです。

4枚のグラフの中で、右上のオーロラ・イノベーションという企業だけは一見、まったく場違いな会社が紛れこんでいるとお感じの方も多いでしょう。

実際には自動車送迎やデリバリーだけではなく、次にご紹介するeコマース企業も、この会社が専業でやっている完全自動運転技術が確立されて、運転者に支払う人件費がゼロにならないかぎり高収益は見込めないので、株価低迷も無理なしという業態なのです。

完全自動運転技術については、業界最先端を行っているはずのテスラでも「問題山積で、一から出直す必要があるかもしれない」と言いはじめたとおり、核融合とか、常温超電導とかと同じように、結局「夢の先端技術」のままで終わるかもしれません

案外脆弱なeコマースの存立基盤

eコマース業界もまた、世界最大手のアマゾンでさえ株価が直近の天井から約40%も下がっています。

最大手の強みで半値にはなっていないというところですが、じつはアマゾンだってeコマース専業で突っ走っていたとしたら、今ごろ70~90%値下がりしていても仕方がないほど収益力の低い企業なのです。

毎年、eコマース部門の営業利益率は本拠地北アメリカ大陸でさえかろうじて金利負担がまかなえる程度の低さで、全世界で通算したら、おそらく金利負担を賄えずに経常赤字になっているでしょう。

そのアマゾンが一応毎年コンスタントに経常利益を出しているのは、売上で見れば副業のクラウド(コンピューター機能のリース・レンタル)が営業利益率30%前後の高収益事業だからです。

それよりずっと規模も小さく、たとえ完全自動運転技術が実現しても、自前の輸送システムを確立できるほどの規模を持たないeコマース専業の各社の株価が軒並み70~80%安になっているのは、当然のことです。

売上規模では世界第2位のアリババが、収益性では世界中のeコマース企業と比較しても抜群の収益力を誇っているのは、中国経済の特殊性によるのであって、他国の業者にマネができることではありません。

中国で資金力のない個人が零細企業を立ち上げようとすると、自動車ローンを使って大型トラックを買い、自営トラック運送業者になるしかないという時代が長く続きました

その結果、中国では毎月のローン負担を賄える程度の日銭さえ入ればとんでもない安値でも運送を請け負うトラック運送業者が多数ひしめき合っており、アリババは運送費を徹底的に買い叩けるというわけです。

eコマース産業全体が案外短命の流行で終わる可能性はかなり高いでしょう。

線香花火で終わった「不動産ハイテク」業界

アメリカでは、第二次世界大戦の頃までは、建設業も不動産業も完全な地場産業で、ほとんど全国的な大手がなく、したがって株式市場で花形となるような企業も存在しませんでした。

アメリカでは第二次世界大戦が終わるまで地場産業だった業界は、そのまま延々と地場産業にとどまるケースが圧倒的に多いようです。最大の理由は終戦直後の1946年に「ロビイング規制法」という名の贈収賄合法化法が可決されたことでしょう。

その前から寡占化が進んでいた産業では、寡占企業が自分たちに有利な法律制度を政治家につくらせることによって、ますます社会的・経済的な地位を高めて行きました

また、当時はまったく存在しなかった業態では、先駆者的な企業が自分たちの地位を安泰にするような法律制度を政治家たちにつくらせて、マイクロソフト、グーグル、フェイスブック、アマゾンなどのニッチ型ガリバー(狭い分野で圧倒的に高い市場シェアを持つ寡占企業)が続々登場しました。

ところが、終戦直後にすでに地場産業としては成立していたけれども、全国的な大企業が存在しなかった業態では、政治家を自社に有利に使えるほどの資金力を持つ企業がなかったために、他の先進諸国に比べて地場産業から全国企業が育つことがめったになかったのです。

不動産業界でも、すでに出来上がった賃貸物件からの収益を分配する上場不動産投信(Real Estate Investment Trust、REIT)には全国銘柄があるけれども、不動産開発、分譲、賃貸には全国大手は存在しないという状態がずいぶん長いあいだ続きました

しかし、どんな事業を展開するにも情報とかハイテクとかのラベルを付ければ売り込みやすいという時代風潮に乗って、それまで地味な非上場企業だった不動産情報・売買や賃貸借の仲介企業がどっと「不動産ハイテク」を名乗って上場するようになりました

その結果は……? ご覧のとおりの惨状です。

中でも、ズィローの株価は悲喜劇とでも呼べるような展開をしました。かなり昔から堅実な仲介業者として実績を積み重ねてきた会社です。

ですが、「コロナ・バブル」の真っ最中だった2020年から2021年の前半に、売り主の希望価格よりずっと高く売れるケースがあまりにも多かったので、ついつい欲をかいて仲介に徹するのではなく、買い取り転売に進出してしまったのです。

しかし、消費者は長期金利上昇の気配を感じた瞬間に中古住宅需要を縮小させたので、ズィローは高値づかみした多くの物件を安値で叩き売って巨額損失を出すという、プロにあるまじき醜態を演じてしまいました。

そこまで派手ではなくても、不動産ハイテクを名乗る企業の大部分が2020年末から21年前半の一過性のブームが過ぎ去ったあとは大幅安で推移しています。

結局のところ、長期にわたって地場産業でありつづけた不動産や建設分野から株式市場の花形が出現することは、アメリカのような高度利権社会ではほぼ不可能でしょう。

世界中ほとんどの国で不動産・建設産業は贈収賄の多い業界とされていますが、アメリカで製薬、軍需、エネルギー産業の大手が贈収賄に遣える金額と比べれば、不動産・建設業者が遣える金額は微々たるものですから。

アメリカでさえ、経済を支えるのは非上場企業

我々も誤解しがちですが、1国の経済を支えている企業の圧倒的多数は非上場です。

年商1億ドル(約135億円)以上というかなり高い足切り線を使った上でも、アメリカに存在する全企業の86.7%は非上場で、残る13.3%だけが上場企業なのです。

もちろん、もっと低い足切り線を使えば、非上場対上場の比率はもっと一方的に非上場優位になります。

そして、消費者が直接モノやサービスを買っている企業群の大部分はこうした大小さまざまな規模の非上場企業なのです。

それに比べて、アメリカの金融市場では「ひょっとしたら、毎年数十億ドル、数百億ドルの利益を稼ぐ企業に成長するかもしれない」という企業を探し出し、少しでも早く上場させるための努力にあまりにも多くの時間、労力、資金を遣い過ぎていないでしょうか。

その反面、「自分が好きなことをしながら上司の顔色をうかがうこともなく、食べていけるだけの収入を得られればいい」と思っている人たちが、新規開業をするための環境はお世辞にも整っているとは言えません

まず圧倒される開業手続き費用の高さ

次の表をご覧ください。全米20都市で、零細資本の起業家が手がけそうな5つの事業分野について、開業手続き費用としてどのくらいカネがかかるかを比べたものです。

以下の表でも同じですが、ハードルが高い都市は赤やオレンジ、低い都市は緑で数字を強調してあります。

また、ここに出ている数字は本来開業のために必要な費用ではなく、自治体当局に開業を認めてもらうために必要な手数料だけだということです。

西海岸の人気都市、サンフランシスコやシアトルでは、自宅で塾を開業する以外、ほとんどどんな企業を立ち上げるにも日本円にして50万円以上の手続き費用が発生します。

中でもサンフランシスコでレストランを新規開業させようとすると2万2648ドル(300万円強)もかかるのです。

また、中西部のラストベルト(錆びた鋼鉄ベルト)に属するミズーリ州セントルイスでも、トラックの荷台に食料品を積んだ行商と自宅での塾以外の開業手続き費用は意外に高めです。

職を失ってなけなしの元手で何か事業を始めようとする人にとっては、開業手続きだけで大きな負担があるのは深刻な問題です。セントルイスの人口が過去10年間の累計で5.9%も減ってしまった一因は、この開業手続き費用の高さかもしれません。

逆に、やはりラストベルト地帯に属するピッツバーグは、新規開業のための手続き費用も全般的に低く、人口減少率も10年間累計で1.6%減少と、微減にとどめています。

さらに、ノースカロライナ州ローリーとかテキサス州サンアントニオとかの南部新興都市は、全般的に開業手続き費用も安く、10年累計人口伸び率もそれぞれ17.3%、16.7%と高くなっています。

なお、フロリダ州最大の都市ジャクソンビルで自宅で塾を開業するための手続き費用が、何かの間違いではないかと思うほど高いのは、それなりの理由があってのことでしょう。

フロリダ州は全米でいちばん退職後の引退生活を送る人の多い州です。

そして、これは日本でも同様の傾向がありますが、夫婦とも公立の小中学校の教師をしていらした方々の年金支給額はかなり高めです。

同じように引退生活をしている住民の中で、「小中学校の教師をしていた人たちが、自宅で塾まで開いてますます余裕のある生活ができるようになるのはけしからん」といった声が上がっていて、それに応えて塾開業の手続き費用を高くしているのかもしれません。

全体として、起業がやりやすい都市は人口成長率が高かったり、減少率を小さく抑えたりといった効果は出ています

それでも、全体としてかなり手続き費用の高い都市が多いのは、連邦政府や州政府と違って有力産業の寡占企業から大口献金がない分を中小零細企業の開業に際しての法律や規則で定めた費用として埋め合わせようとしているのではないかと勘繰りたくなります。

開業に関する諸手続きはほぼ間違いなく日本より煩雑

ここから先の4枚の表は、零細企業1社を立ち上げるだけでもいかに煩雑な手続きが必要かを具体的なデータとしてご覧いただきたく思って、つくってみました。

「自由競争の市場経済の国、アメリカでは必要なライセンスひとつ取れば自由に起業できる」といった見てきたようなウソをつく方が、あまりにも多いからです。

内容はほぼ同じことの繰り返しになりますので、データとしてざっと見渡していただければと思います。


日本では、「お役所仕事」の緩慢さがとかく批判の的となります。そして、別に根拠があるわけでもないのに、アメリカならずっとてきぱき事が運ぶと折っている人が多いようです。

しかし、そのアメリカでは、トラック行商と自宅での塾以外では開業のために当人か、しかるべき資格を持った代理人が直接役所に出向かなければならない回数がほとんど0~2回では済まないですし、開業のためのステップ総数が1ケタに収まることもめったにないのです。おそらく、開業手続きに関するかぎり、日本よりアメリカのほうがはるかに煩雑なのではないでしょうか

結果は都市ごとの人口吸引力にはっきり出ている

最後に、こうした開業手続きの費用や煩雑さが、都市ごとの人口吸引力にはっきり反映されていることを確認しておきたいと思います。


セントルイスは、開業手続き費用もやや高めで、必要な提出書類の数は5分野とも最高水準ですから、どんどん人口が逃げ出していくのも無理はないと思います。ニューアークも手続き費用はやや高めで、開業手続きに当人が出頭する必要がある回数は5分野とも全米最高水準です。それでも、人口10万人当りの新規開業企業数が185と、隣接するニューヨーク市とまったく同じ活発な起業活動が繰り広げられています
これは、全米最大でしかも大都市生活の魅力あふれるニューヨーク市からあふれ出る消費需要を、比較的低賃金の労働力で満たすことができるという地の利があるからできることだと思います。つまり、コバンザメ商法です。純然たる地方都市で、ニューアークと同じような起業対策を維持していたら、新規開業企業数は激減するでしょう。ピッツバーグの人口10万人当り新規開業者数は97社と、20都市中最低です。
この事実を見ると、全般的に開業手続き費用が低めなのは積極的な政策ではなく、これ以上高くするとどんどん起業活動が衰弱するので、しかたなく低水準にとどめているのかもしれません。一方、アイダホ州ボアジーは、人口23万人の小さな町ですが、5分野とも開業手続き費用もやや低めで、開業手続きもアメリカの都市としては簡素なほうです。
その結果、10年累計人口成長率も9.7%と高めで、人口10万人当りの新規開業企業数は199社と断トツ、世帯所得中央値も5万7000ドル弱と高めです。地価も低く暴力犯罪などは少ない土地柄なので、暮らしやすさではかなり高水準になっているでしょう。
こうした実例があるにもかかわらず、アメリカ都市全体の新規開業手続きは費用も高く、煩雑なところが多すぎます
企業そのものの堅実な成長より上場時の一攫千金を狙ったベンチャービジネスへの至れり尽くせりの待遇に比べて、ふつうの庶民の暮らしに欠かせないサービスを提供する企業を開業するときのハードルはあまりにも高いのではないでしょうか。

増田悦佐先生の新刊が出ました。


編集部より:この記事は増田悦佐氏のブログ「読みたいから書き、書きたいから調べるーー増田悦佐の珍事・奇書探訪」2022年6月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「読みたいから書き、書きたいから調べるーー増田悦佐の珍事・奇書探訪」をご覧ください。