防衛費は聖域でいいのか

先週火曜日から昨日まで、伊東のにんじんジュースサナトリウムにいっておりました。4.8キロ減ったのですが、分母が大きいので痩せた!という実感はあまりないです。それでも多少見た目も変わったし、体も楽になりました。

断食は単に減量のためだけではなく、免疫アップや、老化防止の効果もあるのでオススメです。にんじんジュースの断食だと糖分を取るので空腹感は無いです。ただボーとして集中力はなくなるので、最低限の仕事だけしておりました。

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さて本題です。

「社会保障費にお金必要、特別扱い受けられるか」海自総監の発言概要

「社会保障費も必要、特別扱い受けられるのか」海自総監の発言概要 | 毎日新聞
 海上自衛隊呉地方総監部(広島県呉市)の伊藤弘総監は4日、参院選で防衛費増額が争点になっていることについて記者会見で問われ、「(増額を)もろ手を挙げて無条件に喜べるかというと、全くそういう気持ちにはなれない」などと述べた。【岩本一希】

海上自衛隊呉地方総監部(広島県呉市)の伊藤弘総監の記者会見でのやり取りです。

今、5兆円超の予算をいただいている防衛省として、それが倍になるということを、個人的な感想ですけれども、もろ手を挙げて無条件に喜べるかというと、私個人としては全くそういう気持ちにはなれません。というのは、社会保障費にお金が必要であるという傾向に全く歯止めがかかっていないわけです。どこの省庁も予算を欲しがっている中にあって、我々が新たに特別扱いを受けられるほどに日本の経済状態ってどうなんだろう、良くなっているのだろうかということを一国民としての感想ですが、思います。

大事なのは、何を我々自身が必要としているか、ということをしっかりと積み上げる。整理して国民に提示していくということなんだろうなと思います。

重要な船、飛行機、潜水艦、これらを維持・整備していくということの重要性。通常艦艇も潜水艦も、実は塩の水につかっているんですよね。海水という。放っておくと基本、さびちゃうんです。航空機もたくさん持っています。固定翼もヘリコプターも。一般的な飛行機に比べると非常に低空を飛びます。海面すれすれを飛んでいる。基地に帰ると機体を洗っているんですね。そうやって塩水を落とすことによって、整備を少しでも楽にしようとしています。放っておくと、どんどん悪くなっていく。

極論ですけど、ミサイルや大砲の弾をたくさん仮に買ったとしても、それを撃つプラットフォームである船の手入れを怠ったら海の上に出て行けない。

一般的にこの発言は好意を持って受け止められているようです。市ヶ谷は大騒ぎでしょうけども。上がりポストですから、後進のためにあえて泥をかぶって正論をおっしゃったのではいでしょうか。

同じようなことをぼくが言うと、クソミソ言われるのに、海自の提督がいうと皆さん評価するのは何か、こう納得できないんですが(笑)

まあ、軍オタさんたちは同様に僕が言うと貶すけども、故江畑謙介氏が同じようなことをいっていたことを紹介するとあれこれ、趣旨が違うとか言い訳して、江畑氏の擁護をするわけです(笑)

僕に人徳がないのかもしれませんが(笑)

それはさておき、極めて常識的な話をされておられます。では何故整備などに予算が回らないのか?

それは第一装備調達の高コストが問題でしょう。他国に比べて何倍も高いものを兵器で導入する。MCH-101にしても、SH-60にしても国産で2~3倍も高い。FMSで買うシステムや弾薬を値切ろうともしない。一部ではそうした担当者いたけども、組織としてそのような文化がない。安く調達する気がサラサラ無いわけです。

本来他国の軍隊同様に調達のグランドデザインもない。目の前にある「欲しい玩具」を買うことした興味がない。まるでカネのないカーマニアがイタリアの高級車倉庫に飾って眺めて喜んでいるようなものです。整備やガソリン代が払えなくとも毎日ワックス掛けてニヤニヤしているだけ。それが自衛隊の姿です。

また海自は3自衛隊で一番燃料を使っていますが、これを低減することにも無関心でした。お札ばらまいて走るようなタービンエンジン一本槍で、補給艦までタービンエンジンです。やっと近年見直されてきました。

いずも級にしても当初はディーゼル採用した統合電気推進で、2隻で370億円の燃料費低減を計画していましたが、IHIや川重の抵抗もあってタービンエンジンになりました。

しかも搭載予定のなかったバウソナーも搭載することになってこれで二隻で約200億円、ソナー要員も必要です。ただでさえ護衛艦のクルーの充足率が低いのに。まるで自らを弱体化せているようなものです。

防衛費の増額の前に、このような無駄使い、予算に対する意識の低さ、装備を有効に使うためには、整備や人員、訓練も必要であるという「軍隊の当たり前」を尊重する組織文化を形成することが必要です。

いまのままなら自衛隊ではなく「自衛博物館」に過ぎません。「博物館」にいくら金をカネても国防力は向上しません。

【本日の市ヶ谷の噂】
16DDHのひゅうが級は乾舷が高くて、短魚雷が使えないが、ひゅうがのみに魚雷発射管が装備されたのはメーカーの渡辺鉄鋼に対する補助金代わり、との噂。


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2022年7月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。