銃声にソンタクするな:今こそ自由と平和を護るための選挙を

五十嵐 直敬

安倍元首相が遊説先で銃撃され亡くなった。我が国、日本は法治国家である。どんな理由があろうと己の主張理由により人を殺してはならない。「息を吐くように嘘をつく」そしてあまたの疑惑がソンタクによって隠蔽されたような人であったとしても、それにより自殺に追い込まれた人達が居たとしても、である。

SeanPavonePhoto/iStock

我が古巣の医療法人のテーゼは「生命だけは平等だ」であった。「話せばわかる」と言った為政者また「板垣死すとも自由は死さず」と言い遺した政治家もあった。疑惑は生きて晴らし、潔白は生きて証明されなければならなかった。

しかし、問題はまさにここから始まる。「憲法改悪、軍備と戦争を是認し明治維新後の薩長新政府的家族観を憲法で国民に強要する」とリベラルから懸念され、史上最多の飲食店倒産やそれと関連も懸念される自殺者増加その他「安倍・菅・岸田コロナ失政」、そしてアベノミクスで国民皆豊かになるはずが「失われた20年、改め失われた30年」と言われ始めて久しく、ついには「悪いインフレ、スタグフレーション」への批判をビジネスメディアで目にすることも多くなりつつあった時の事件である。

下馬評ではこの参院選は自公圧勝とか優勢と言われていたが、筆者の体感では、そもそも自公候補の「駅立ち、辻立ち」遊説をほとんど見ない野党ばかりだし、安倍氏狙撃現場の映像も、地方都市とはいえ前首相演説にしては閑散としていた。

そこでこの狙撃事件である。個人の犯行か「誰か」に糸引かれてのことか不明だが、いずれにせよ、これから何が起こるか一定の予測ができ、それを危惧する。

すなわち。

安倍首相狙撃され亡くなった

選挙活動している場合じゃない(特に野党は人様の不幸に付け込むな)

与野党とも活動自粛少なくとも野党の矛先鈍る

弔い合戦だと自公雰囲気盛り上げ

なんとなく世の中自民党応援な雰囲気

低投票率

組織票動員の自公勝利

そのような成り行きが懸念される。さて、これは、「まともな選挙」と言えるのか。

愚衆をまとめるには共通の敵を作れ、とナチスの誰かが言ったという。コロナがそうだった? そして選挙戦もまさに追い込みの今、この事件である。作為、意図、それはわからない。ソンタクで疑惑がすべて闇から闇に葬られてきた昨今、犯人逮捕と言えどソンタクですべてが闇から闇になるかも知れない。ケネディ大統領暗殺の経緯を思い出さずにいられようか。

何であれ与野党問わずここでまともな選挙活動をやめるなら、それはたった一発二発の銃弾に自由民主主義が政治信条言論の自由が屈したことになる。「こんなときに選挙活動は」などと思うなら、それはまさにソンタクに屈したことになる。それでどうなるのか。それで消去法的になんとなく選ばれた政権が連綿と続くなら、また2、30年と言わず10年後にも、「同じことが繰り返される」のではないか。今までがそうだったのだから。

そもそも我が国、日本のこの経済低迷成長失速は、超高齢化が分かっていながらシニアポピュリズムに溺れ年金、老人医療、介護に何らの解決策を打たず、さらに竹島は韓国に不法占拠されたまま韓国のテーマバークと化し、北方領土もロシアの言うなり、唯一民主党政権時に野田首相が石原都知事と連携し素早く対処して護った尖閣すら今や危うい、その責任は誰にとまで言わずともどこにあるのか、それに対して国民に信じるもの為すべきことを論じ信を問うべき時ではないのか。

最後の一日、与野党とも、「これからを生きる、特に未来社会を背負う世代のためにこそ」私利私欲を越えて政策を論じ主張して欲しい。