誰がどんな理由で「安倍氏と宗教の関係がテロの原因」と言っているのか→犯人本人です

元官僚の評論家・八幡和郎氏の論稿「誰がどんな理由で安倍氏と宗教の関係がテロの原因と言っているのか」が公開された。

八幡氏は「宗教団体への不満でそれと繋がりの深いと思って安倍元首相を狙ったと容疑者が言っているというので、政治的背景を言うべきでないと必死になっている人たちがいる」と述べる。

安倍晋三元首相・首相官邸HPより sbayram/iStock

「政治的背景を言うべきでないと必死になっている人たち」が誰を指すかは分からないが、私は安倍元首相を銃撃した犯人が「宗教団体への不満から、その団体と繋がりが深い安倍元首相を狙った」と供述している事から、現時点においては、それが動機として濃厚なように感じる。

しかし、だからと言って、「政治的背景を言うべきでない」などとは全く思わない。ただ、犯人が政治関連の怨恨ではないと主張しているのであるから、あえて、別の理由(政治関連の怨恨)と強引に結び付ける必要があるだろうか(もちろん、犯人が政治関連の怨恨を述べ始めたならば別であるが)。

八幡氏は安倍元首相が「さまざまな宗教と怪しげな関係があるというデマの流布もあった。政治家は、自分が信心してなくてもさまざまな宗教と交流があるのが普通である。それらは政治的意図でばら撒かれた謀略であり、その結果、生じたテロを政治とは関係ないというのは牽強付会ではないか」と述べられている。

安倍元首相を銃撃した犯人が恨みに思う宗教団体が「統一教会」である事は、週刊誌等が既に報道している通りである。

犯人は「安倍氏が(統一教会の)教えを全国に広めた」と供述しているようだが、これは犯人の妄想だ。安倍元首相が統一教会の関連団体でビデオ演説したことは事実のようだが、それに関しては、八幡氏が仰るように「政治家は、自分が信心してなくてもさまざまな宗教と交流があるのが普通」である。

また、統一教会は、自民党の支持団体の一つ。安倍氏が支持団体のイベントで挨拶するのも普通のことだ。安倍氏が統一教会の宣伝を公の場でした事はなく、犯人の供述は全くの妄想。

しかし、家庭を新興宗教によって壊されたとされる犯人としては、例えば安倍氏が統一教会の関連団体でビデオ演説しただけでも、許し難いものと、論理が飛躍してしまい犯行に及んだのだろうか(ネットに溢れている極端な情報を見て恨みを募らしたのか)。

「さまざまな宗教と怪しげな関係があるというデマの流布」は「政治的意図でばら撒かれた謀略」と八幡氏は言う。しかし、普通はそうしたデマ情報を見ても、今回のような犯行に及ぶ人は(今回の出来事があったのでゼロとは言えないが)、極めて少ない。

家庭を新興宗教に壊された犯人が一方的に逆恨みにして、論理を飛躍させて犯行に及んだ、特殊で不幸な事件だったと言えるのではないか。