さて、参議院選挙が終わりました。大方の予想通り与党の圧勝でした。さらに維新の会のような与党別働隊も議席を伸ばしました。
その原因のひとつは民主党が分裂してできた、立憲民主党、国民民主党の当事者能力と、政党としての魅力の欠如、政策能力の欠如です。
多くの有権者は両党の違いも、どのような政策をやっているのかもわならない。せめて今回の選挙ではアベノミクス成功でしたか?失敗ですよね、というキャンペーンをエビデンスに基づいて行うべきでした。
実際は「〇〇を無償化」とか「ばらまき」ばかりです。ばらまきならば実権を握っている与党に叶うわけがありません。野党のばらまきの約束なんて紙切れ同然ですし、この財政状況でばらまきを行うのは将来に壊滅的な破綻を招きかねない。
ばらまき政策は糖尿病患者に酒や甘いものをただでばらまくようなものです。口には美味しいでしょうが、将来目が見えなくなったり、足を切断するような羽目になります。
今回投票所にいって驚いたのですが、国民民主党、立憲民主党ともに略称が「民主党」です。これは有権者に混乱を招きます。そして「民主党」と書いた場合は票が按分されるそうです。この件を立憲民主党の広報に聞いたのですが、旧民主党時代の支持者の取りこぼしをしないため、だそうです。
両党は全く別の政党であり、政策も、理念も違うはずです。それなのに、入れた票は按分するというのは有権者を馬鹿にしています。まるで一発屋の演歌師が、ヒット曲に頼って場末のキャバレーの営業で食っているかのような構図です。
換言すれば、それは自分たちに政党としても政策も、魅力もないと公言しているに等しいわけです。政権を取った過去の栄光にすがっているだけです。
であれば、党を割ったのは単なる仲間割れ、ということになります。これは野党の選挙協力とは違う次元の話です。
野党は負けるべくして負けた、そしてそれは自公政権を利することになった。
自公政権に批判的な有権者にとっては、よく言う「無能な味方」ということです。無能な味方は敵よりも始末が悪いというのは、歴史の示すところです。
【本日の市ヶ谷の噂】
陸自の銃器は補給統制本部で、銃身交換や表面のパーカーライジング処理等を行い、ほぼ新品に近い状態まで戻す整備が可能。だが予備銃が無いので送り返せずボロボロのまま使われている、との噂。
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週刊東洋経済今週号は自衛隊特集です。「世界を常識を知らない装備開発の黒歴史」を寄稿しました。また企画の段階から関わっておりました。バランスのいい特集になっているかと思います。
編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2022年7月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。