寄付上限額の設定一つでも、多くのハードルがあるのは事実だが
こんにちは、音喜多駿(日本維新の会 参議院議員 / 東京都選出)です。
大前提として、安倍首相暗殺事件の背景についてはまだまだ解明すべきことが残っており、メディアから漏れ伝わってくる容疑者の証言だけを鵜呑みにすることには懸念があります。
テロを起点に物事を進めてしまうことへの悪影響も含めて、大きく話題にのぼっている旧統一協会(統一教会・家庭連合)のみを議題にすることには違和感が残る反面、統一教会に限らず一部の宗教が様々の問題を引き起こしていることは事実。
ならばまずは何より被害救済という観点から、こうした全般的な諸課題については調査に着手すべきであろうと考え、参院法制局などと意見交換を開始しています。
ただこれは、予想していた通り相当にハードルが高い社会課題です…。
「カルト宗教を規制せよ」というのは、信教の自由など憲法的な壁が極めて高いことから、まずは上記Tweetの通り
・寄付の上限額設定
・宗教法人への課税
・二世問題を含む被害救済etc
などを立法する可能性についてディスカッションしたのですが、比較的用意に見える「宗教法人への寄付上限額の設定」一つにしても多くの論点があります。
まず、宗教法人に限って良いのか。公益社団法人など、様々な主体が存在する中で、宗教法人だけに寄付の上限を設定するには明確な立法理由が必要になります。
まあそれは「決め」の問題としても、宗教法人だけに寄付上限を設定しても問題は解決するのかどうか。
たとえば入会するときに「全財産を寄付」させることで、返還訴訟等が複数起きている思想団体があるのですが、これは農業を基盤とすることから「農事組合法人」であり、宗教法人の枠組みには入りません。。
また当然のことながら、「寄付がダメなら購買で」ということで、高額の関連商品を売りつける手法に流れていくことも想定されます(それでもなお、寄付に一定の上限額を設けることは心理的ハードルになって意味はあると思いますが)。
またそもそも、いくら寄付をするかどうかも含めて「信教の自由」であり、前述の思想団体のように「全額寄付をして、身体一つで入信することに意味がある」という教義を持つ団体もあります。
その是非はおいておくとしても、そこに国が上限・ルールを設けることはやはり「信教の自由」を巡る議論が生じます。
加えて実際に上限額を法律で設けたとしても、どう取り締まるのか。違反(上限額を超えて寄付した場合)、どのような罰則を設けて誰を処罰するのか、寄附者側か受け手側か。
…などなど、上記に紹介した論点はまさに「氷山の一角」でしかありません。
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宗教というのは人間にとって文字通り特別な存在であり、人生や生活と密接にかかわり、それゆえに「信教の自由」は極めて重要な権利として定められている。
ここに何らかのルールを設けることは、おそらく多くの人が考えているより遥かに高いハードルがあります。
それでもそこに明確な被害があるのであれば、手をこまねいて見ているわけにもいきません。
まだもう少し時間はかかると思いますが、粘り強く調査研究を続け、問題解決への現実的なアプローチを探っていきます。
それでは、また明日。
編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会)のブログ2022年7月20日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。