リスクは出来るだけ取った方が良いと思う理由

日本人の個人金融資産の半分以上は現金・預金です。このことからもわかるように、日本人は一般にリスクを避け、安全志向が強い民族だと思います。

これは先天的なものなのか、あるいは学校教育による洗脳によるものなのかは分かりません。

いずれの理由にせよ、過剰なリスク回避によって、日本人は大きな損失を被っているのです。

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私は少し変わった日本人のようで、好奇心旺盛で何でもやってみないと気が済まず、過剰なリスクテイクをしたがる傾向があります。振り返ってみると、そのリスクテイクが良い結果をもたらしてくれていると感じるのです。

例えば、1997年に外資系企業に転職した時は、まだ山一証券の破たん前で、日本の労働市場は終身雇用が当たり前。転職に対しては、多くの人に反対されました。

また、マネックス証券の立ち上げに参画した際のマネックスの創業メンバーはわずか4名。こちらも、無謀な賭けだと更に強い反対を受けました。

しかし、新しい組織に入ると、始める前に妄想した現実とは随分異なりました。懸念していたことのほとんどは杞憂だったのです。

投資に関しても、新興国の海外不動産や、暗号資産など、いかがわしく騙されるのでは無いかと少し心配でしたが、実際に投資してみると思ったほどのリスクはありませんでした。うまくいかない投資もありましたが、トータルでは大きなリターンにつながりました。

リスクが過大評価されて実際のリスクが小さいということは、リスクを取ったもん勝ちということです。

リスクを恐れる人が躊躇する分、有利な条件でリスクを取る機会が残されています。だから成功の確率が高まるのです。

実際にリスクが低いことが認識され、多くの人が参入してくると、成功の確率は下がっていきます。つまりリスクを取るメリットが小さくなっていくのです。

日本では、未だに起業や投資に対しアレルギーを持つ人がたくさんいます。終身雇用の大企業にしがみ付き、元本保証の金融商品を好む人たちです。

そのような人たちが、リスクに関しての現実に気がつかない限り、リスクを取った方が良いということになります。

実際に転職や起業に失敗しても、日本では餓死することもありません。インデックス運用して、マーケットが暴落しても、資産がゼロになることもありません。

やったことがない人ほどリスクを取ることで発生する現実を知らず、リスクに対する恐怖感を持ち続けてしまう。だから、やるかやらないかについて迷ったら、まずやってみることです。

「死ぬこと以外はかすり傷」というくらいの気持ちで行動すれば、きっと良い結果が得られると思います。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2022年7月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。