終戦の日だからこそ読むべき本をピックアップ
戦争といってもいまの若い世代はピンと来ない。わたしの世代でも父親から少し聞いたくらいです。テレビでロシアのウクライナ侵略を見ても「ジャベリン」「ドローン」とか「クラブ巡航ミサイル」「T80戦車」みたいな武器ばかりが話題になり、現実的な戦争についてはどうもピンときていない気がするのです。アニメの戦争は戦争じゃないよ。
ということで本日は読んで面白い小説をヒックアップします。オススメ度も記しておきます。
人間の條件 五味川純平
なぜ電子化されないのかって前にも書きました。かなりの長編ですが、新婚夫婦の純愛と当時としてはリベラルだったエリート青年がソ連戦線に送られ敗走・・・・かなの長い小説ですが一気に読めます。自分が読んだのは高校生くらいのときですが、読み終わったときは人間の條件ロスになったくらいです。五味川純平は陸軍に従軍経験があり、所属部隊はソ連軍部隊の攻撃を受けて全滅に近く、生存者は五味川以下数名で、捕虜となりまくした。生々しい経験を生かして戦争をモチーフとした作品を書いています。全部読みました。
野火 大岡昇平
こちらは短編。大岡昇平もフィリピンで米軍の捕虜になりました。なので描写が非常に生々しい。人は飢えて人を殺す。
終わらざる夏 浅田次郎
浅田次郎も戦争をモチーフとした小説を多く書いています。元自衛隊員ですから・・・・ということもないか。
この作品は一般的な太平洋戦争のイメージと違い、ロシアの侵攻と戦う北方領土の戦車部隊の話です。ほとんどの日本人は知らない占守島の戦い。読んでからフィクションではないかと調べたらWikpediaに記載がありました。
すでに太平洋戦争が終わっているのにソ連は日本を攻撃してくるのです。ウクライナ問題どころじゃないんですよ。ホント腹が立つ。
黒パン俘虜記 胡桃沢 耕史
第89回直木賞を受賞した名作です。こちらも作者の実体験をもとにしたもの。戦闘シーンは無く、ソ連に捕虜となって違法な強制労働に従事させた体験記です。
捕虜となって凍てつくモンゴルに送られ、強制労働に従事させられ、同じ日本人のボスによる搾取。そして与えられるのは堅くて酸っぱい黒パンのひとかけらと具のない野菜スープ。極限の世界で仲間はどんどん死んでいく地獄の世界です。ソ連兵よりむしろ日本人のほうが怖い。
まだまだオススメはたくさんあるんですが、とりあえずどれがと言われたら人間の條件をオススメですね。
編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2022年8月15日の記事より転載させていただきました。