困った三段論法

私はサイバー大学で「六法と法哲学」という講座を担当している。

最初の3回は、憲法、刑事法、民事法という実定法の核心を教え、第4回目で論理学の基礎を、第7回以降で「正解のない問題」を法哲学で考えるというカリキュラムだ。

第4回の論理学基礎の第1章で「三段論法」を扱った。

三段論法の典型例は以下のようなものだ。

大前提)人間は死ぬ

小前提)ソクラテスは人間だ

結論)ソクラテスは死ぬ

大前提を言い換えると「人間は死ぬ存在だ」ということになり、「死ぬ存在」という円の中に「人間」が完全に含まれるというイメージだ。

大きな円が「死ぬ存在」で小さな円が「人間」となり、「人間」は大きな円の中にすっぽり入っていて「死ぬ存在」の外には出られない。

ソクラテスは「人間」という小さな円の中にいる。

つまり、ソクラテスは小さな円からも出られないし、大きな円からも出られない。

よって、大きな円である「死ぬ存在」の中にすっぽり入っているので、ソクラテスは「死ぬ存在」になる。

文字だけでの理解が困難なら、実際に円を描いてみるとすぐに理解できる。

サイバー大学の掲示板やFacebook等で、拙著「すぐに結果を出せるすごい集中力」のPRとして、以下のような三段論法を提示した。

大前提)集中力のない人は本を買わない

小前提)本書は集中力のない人向けの本だ

結論)よって本書は売れない

売れないと困ってしまう(汗)

この三段論法、なんとか崩せないものだろうか?

私なりの解説は次回のお楽しみ(^^)

miya227/Istock


編集部より:この記事は弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2022年9月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。