訪日外国人の個人旅行は実質解禁された

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諸外国が国境措置を撤廃する中、今でも厳しい入国規制を続ける日本であるが、先日外国人観光客の条件が緩和されることが発表された。

自由行動OK、でも連絡は取れるように 外国人観光客ツアーの新指針:朝日新聞デジタル
 訪日外国人観光客(インバウンド)について、観光庁は2日、添乗員を伴わないパッケージツアーを7日から受け入れるのを前に、旅行会社向けのガイドラインを公表した。 国内の旅行会社に対し、ツアー客といつでも…

訪日外国人観光客(インバウンド)について、観光庁は2日、添乗員を伴わないパッケージツアーを7日から受け入れるのを前に、旅行会社向けのガイドラインを公表した。(朝日新聞DIGITAL 2022年9月2日付け)

今回の変更は、これまでは添乗員つきのツアーしか認められなかったものが、添乗員なしのツアーも可能になったことだ。これは、実質的に個人旅行の解禁である。

「添乗員を伴わないパッケージツアー」とはいったい何なのか。詳細を知りたい方は観光庁のHPを見ていたきたい。

添乗員の同行を伴わないパッケージツアーの受入開始に伴う 「外国人観光客の受入れ対応に関するガイドライン」の改訂について

例えば長崎に住む私が2泊3日で東京旅行をしようとすると、旅行会社のパック旅行や航空会社のダイナミックパッケージを利用することがほとんどである。往復の飛行機とホテルは自分で選べる。完全に個人旅行である。これが「添乗員を伴わないパッケージツアー」なのだ。

今回の観光庁のガイドラインを見ると、上述した国内のパッケージツアーとほとんどかわりがない。大きく違うのは、国内パックだと例えば2泊3日の旅行でも、パック旅行で予約するホテルは1泊だけで、1泊は自分で手配することも可能だが、今回のガイドラインでは全行程を旅行会社で予約しないといけない。

他にも色々条件はついている。感染対策ができている施設を利用する、などだ。宿泊施設であれば、例えば「GoToトラベル」の許可を取っている所なら感染対策ができているとみなし、旅行会社が販売することも問題ない。

感染防止には換気と距離の確保が重要であることを理解したうえで、業種別ガイドラインに従った感染防止対策を実施していることを、認証制度の活用等により確認すること。(ガイドラインP10より引用)

国内のパック旅行を予約した時に、いろんな案内文が沢山入ってくる(ネット予約だとPDFファイルでダウンロードする必要がある場合も)が、それと同様、旅行者に日本旅行の注意事項を事前に渡せば、ガイドラインの条件は満たせる。

オーストラリアからのスキー客が多いリゾート地では、この冬の予約がもう入っているが、まだオーストラリア人が来れるかどうかわからないと心配している話も聞く。こういうケースでも、旅行会社に支払う手数料が多くなるという問題はあるが、航空券と国内の移動、それと宿泊施設をまとめて旅行会社が予約するパック旅行という形態で販売すれば、まず今度のスキーシーズンにオーストラリア人が来れないことはないだろう。

入国者数の制限とかパック旅行限定とかの話題が広くされる中で、見失われている最大の問題はビザの発給制限である。現在でも、これまでビザ免除を認めていた国に対し、日本はビザ免除措置を復活させていない。

私は「アゴラ」でこの点を5月に指摘した。

岸田総理はEU代表から国境開放を迫られていた
岸田総理が5月12日に開催された「第28回日EU定期首脳協議」で、欧州理事会議長と欧州委員会委員長から日本の入国規制を撤廃するよう求められていたことが外務省のHPに掲載されている。 第28回日EU定期首脳協議 我...

岸田総理が5月12日に開催された「第28回日EU定期首脳協議」で、欧州理事会議長と欧州委員会委員長から日本の入国規制を撤廃するよう求められていたことが外務省のHPに掲載されている。

この時には参議院選挙を控えていることもあり、参院選が終わればビザ条件に関しては元に戻すと私は思っていたが、参院選が終わって2ヶ月経っても、ほぼ変化がない。さすがにEU側も日本に対して制裁措置を取ってもおかしくないのではないか。

そもそも国ごとの入国者に対する規制と、防疫のための規制は別の次元の話だ。検疫のためであれば、PCR検査陰性であるとか、ワクチン接種状況などで制限すべきで、一律にビザの制限をかけるというのは、理屈上おかしい。

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前回の記事の続き。今回は技術的な話です。 国境措置でよく言われる「CIQ」という言葉。「C」は税関(Customs)、「I」は出入国管理(Immigration)、「Q」は検疫(Quarantine)のことで、それぞれ管轄する省庁が違...

上の記事でいえば、出入国管理(Immigration)は通常通りにし、検疫(Quarantine)で制限をかけるべきことだ。私は参院選後、I条件は通常通りに戻すものとばかり思っていたが、この条件もなかなか緩和されていない。

この件に関しては、9月5日に熊谷千葉県知事がFacebookで触れられた。

海外の多くは既に入国を緩和しており、空港で検査等は行っていませんし、コロナ前と同様に多くの国を対象にビザ無しで入国可能としています。

一方で、日本は現在はすべての国の入国者がビザを取得しなければなりません。日本の渡航者は各国にビザ無しで入国できるのに、海外の渡航者にはビザを求める、これが不平等ではないかと海外で指摘され始めています。

ビジネスや文化・スポーツ分野でも海外との往来に制約がある国となっており、今後への影響が懸念されます。

今の外国人観光客に対する日本の規制は「ロシア並み」だと考えてもらっていい。旅程を管理されてビザの申請をして、それが面倒だからロシア旅行をためらう人は多い。日本も今その状況なのだ。

私は「アゴラ」で継続的に出入国条件に関する記事を投稿してきた。なかなか問題点が世間に認識されていないと思い続けている。このビザの問題も早く解決してもらいたい。岸田総理は世論で動くので、出入国条件に関しても世論がいい方向に動くことを期待したい。