岡田克也幹事長夫人の兄・村上誠一郎はトロイの木馬?

自民党の村上誠一郎・元行政改革担当相が20日に国葬反対を表明し、「財政、金融、外交をぼろぼろにし、官僚機構まで壊した。国賊だ」と言及したといわれる事件について、同党内で安倍派所属議員を中心に厳しい処分を求める声が出ている。

自民党は何かと窮屈な野党と違って、党内野党であることについて寛容なのだが、さすがに、今回は人間としての品格の問題でもあり、厳しい処置もやむをえまい。

この村上誠一郎氏のような存在については、日本の政党政治のあり方と、閨閥など個人情報のあつかいについて、考えるべきふたつの問題がある。

安倍元首相の追悼本である「安倍さんはなぜリベラルに憎まれたのか – 地球儀を俯瞰した世界最高の政治家」では、この村上誠一郎氏と石破茂元地方創生相について、かなり厳しい批判を展開している。以下はその一部だ。

石破氏は選挙のときになると、朝日新聞などが登場機会を与え、後ろから弾を打つような形で安倍政権を攻撃させました。天下分け目の関ケ原の戦いで、東軍に寝返った小早川秀秋が批判されたのは、裏切りそのものもさることながら、タイミングや手段において非常識だったからです。そのため、戦後に東軍の諸将からも馬鹿にされたし、家康からもさほど大きい恩賞はもらえませんでした。

「新聞が勝手に見出しを付けただけだ」などと言うのかもしれませんが、例えば朝日新聞ならどう書くかなどは最初からわかっているはずでしょうから弁解になりません。

あるいは、月刊誌の「安倍から日本を取り戻す」とかいう特集に籠池夫妻を操っているともいわれた菅野完氏、反安倍畏敬在学者の代表格である植草一秀氏らと一緒に寄稿していましたが、これもどういう扱いで掲載されるかわかっていたはずです。

ともかく、選挙前という普通は内部批判には封印しなければならないようなタイミングでも、「自民党議員からも批判」となったら、石破氏か村上誠一郎氏(民主党党首だった岡田克也氏の義兄)で、自民党の足を引っ張りまくっていましたから、これで自民党総裁になれるはずがありません。

また、この二人は、この本のモリカケ問題を扱った箇所でも登場する。

そして、もうひとつは、この問題が混乱したのは、地元今治から出ている代議士が、反安倍急先鋒の村上誠一郎、愛媛県の知事が、安倍さんの側近である塩崎恭久元厚生労働大臣と対立関係にある中村時広氏であること、特区制度での認可原則を決めたときの担当相だった石破茂氏が政治的思惑もまじえながら発言していたことも状況を混乱させたと思います。

この 学校法人加計学園が経営する、岡山理科大学獣医学部は、反安倍派からは、学生は来ないだろうとかデマを飛ばされましたが、蓋を開けたら受験生が殺到し、需要の高さが証明されました。

本来、マスコミが公正なら、村上誠一郎氏の発言を扱う場合には、岡田克也立憲民主党幹事長の義兄であるとか、地元の議員としての選挙区事情もあるとかいうことも添えて報道すべきだ。単純な勇気ある反旗ではないからだ。

海外では、政治家についての閨閥や出自は詳細に報道される。なぜその人がその政治的立場をとったり発言したりするのか、理解するために不可欠だからだ。

また、家族や親戚が仕事の上で不当に利益を受けないか監視するためには、職業や閨閥なども一定のルールで公開されていないと市民が監視することは不可能だ。

かつて鳩山邦夫総務相は、西川善文氏の扱いなどをめぐって麻生内閣に反旗を翻して倒閣のきっかけにした。誰がみても兄である鳩山由紀夫民主党代表の政権取りの援護射撃だったが、そういう角度からマスコミは論じなかった。

自民党参議院議員の世耕弘也氏の夫人が、民主党参議院議員の林久美子氏だった時期がある。それは別に構わないのだが、分かり易いようにけじめを説明するべきだと思った。議員でなくとも、民主党の菊田真紀子立憲民主党衆院議員の夫が駐英公使、駐米公使なども歴任し外務省経済局審議官だった飯田慎一さんなどといいうのは、飯田氏の訃報ではじめて世間に知られた。これも同様だ。

村上誠一郎氏やその支持者がイオン・グループとどういう関係にあるかは、厳しく監視されるべき、というより、それ以前に、自分でけじめを説明すべきだと思うし、マスコミも村上氏が特殊な立場にあることを添えて報道すべきだと思うのだ。

こうした政治家の閨閥問題は、『家系図でわかる 日本の上流階級 この国を動かす「名家」「名門」のすべて』(清談社)で詳細に論じている。