コロナワクチン副反応としての間質性肺炎

コロナワクチン接種後死亡の救済認定は、2例追加されて、計3例となりました。 そのうちの1例の死因が間質性肺炎でした。

副反応としての間質性肺炎は、あまり注目されていませんが、新型コロナの肺炎が間質性肺炎であることを考え合わせますと、重要な副反応の一つであると言えます。

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今回追加された症例は、91歳、男性の症例です。厚労省が公開している死亡例一覧よりVBAを用いて検索すると、 該当例が2例存在しました。1例目は、病名が「間質性肺炎(肺線維症)の増悪」であり、2例目は、病名が「誤嚥性肺炎、間質性肺炎増悪」でした。後者は、直接死因は誤嚥性肺炎と考えられるため、今回の救済認定の症例は前者と考えられます。

そのデータを表にまとめました。

次に、疑い報告症例一覧(製造販売業者からの報告および医療機関よりの報告)より間質性肺炎および間質性肺疾患のデータをVBAを用いて集計し、そのうちの重複例を削除しました。203例報告されており、そのうちα認定は9例でした。

その9例のデータを表にまとめました。

転帰内容に注目しますと、死亡例が3例存在していることが分かります。ただし、この3例は今回の救済認定例とは異なる症例です。本来、α認定された死亡例から、救済認定される症例が選ばれるべきと私は考えますが、何故かそのようになっていません。

なお、この3症例は死亡例一覧でも確認できます。ただし、3例ともγ認定です。つまり、疑い症例一覧ではα認定(ただしγ認定と混在)であったのに、死亡症例一覧ではγ認定になってしまったのです。 理解に苦しむ話です。

次に、有意差検定について考えてみます。

特発性間質性肺炎の発症率は、10万人あたり2.23人で、50歳以上の男性に多いとされています。年間発症者数を計算すると、2805人となります。接種後発症例は203例ですが、期間が18か月間、接種率82%なので、補正して年間165例となります。この165例が非偶発的に発症したと仮定すると、ワクチン接種が実施された年の発症数は2970例となります。

ワクチンが実施された年の発症数2970例、例年の発症数2805例、人口1.258億人、で有意差検定を行うと、p値0.030 であり有意差ありでした。ただし、有意水準1%では有意差なしとなります。バイアス補正なしの概算ですので、レセプトデータを用いて検定では有意差が認めらない可能性もあります。

次に、発症の偶発性について考えてみます。

偶発的な発症の分布ではありません。接種後3日以内に42%が発症しています。ただし、報告バイアスの問題がありますので、立証できたとは言えません。立証のためには、入院症例の報告の完全義務化が必要です。

次に、年齢分布を見てみます。

前述したように、間質性肺炎は50歳以上の男性に好発します。接種後の間質性肺炎も同様の分布となっています。また、男性の割合は62%であり、これも同様です。

以前に分析した急性散在性脳脊髄炎と比べますと、間質性肺炎の因果関係の根拠は少し薄弱です。ただし、偶発性の検証では、立証とは言えませんが、因果関係を強く示唆しています。また、疑い例一覧では既に9例がα認定されています。今後、間質性肺炎の多数の症例が救済認定されることを、私は期待しています。