どうして高齢者ほど国葬に反対なのかをデータから推測する

Masafumi_Nakanishi/iStock

左、右、イデオロギーに関係なく同じ傾向

ええっと・・・統計では最低限統計として使うための人数を揃えると、100%という数字は100%出ません。「あなたは金持ちになりたいですか」という質問でも90%くらいしかイエスと答えません。

この調査の詳細を見てみますと対象の人数が書かれていません。福島テレビのほうには

福島テレビと福島民報社は、9月17日に福島県内の有権者718人を対象に、電話で世論調査を行った。

とありました。しかしながら人数の配分が書いてありません。しかも相当に母数が少ない。通常の調査では718人に世論調査を行うと回答してくれるのはまあ1/3くらい。これだと中学生の夏休みの宿題程度です。

内容ですが・・・

「反対」とした回答者の割合を年代別にみると、18~19歳が100%と最も高く、60代が73.1%、30代と40代が各71.4%で続いた。最も低い割合でも20代の55.6%で、全世代で「反対」が「賛成」を上回った。

18〜19歳が全員反対してるのに
20代は全世代でもっとも反対してない??

という馬鹿げた結果になっており、おそらく18〜19歳は1人かせいぜい2人しか答えていないと推測されます。それをトップの見だしにもってくる時点で全く世論調査が分かってないデスクであると確定できますね。

ではメジャーな調査ではどうなっているのか。

もっとも左寄りの朝日新聞

高年齢ほど国葬に反対

最も政府寄りの産経FNN調査9月は年代別にとっていないようなので8月です。

国葬は高齢者ほど賛成が少なくなり、イデオロギーによって左右されていないというのがわかります。賛成している比率は右も左もたいして変わらないのです。かつてこれほどまでに左右の意見が一致したことがありましょうや。ww

どうして高齢者ほど国葬に賛成しないのか

わたしはどっちでもいい派です。外交もたいした事にならないと思ってます。

「このたびはご愁傷様です」
「本当に来日ありがとうございます」

とか話すだけです。1日30人と話すのに込み入ったことなんて話せるわけがない。

それはさておき、「国葬に金がかかるから反対」というのはナンセンスです。だったら年金暮らしの実は資産がある高齢者に8000億円もばら撒く方がよほど抗議すべき。しかし高齢者を主要な支持層とする野党系はこれには反対できない。

「岸田総理が最初にきちんと説明をせずに勝手に安倍さんが亡くなった数日後に独断で決めて発表しあとから閣議決定をした」ということに反発している人もいますが、もともと鎖国と同じく思いつきですから説明のしようもなかった。しかし高齢者のほうが賛成が少なく、反対が多いのは別の問題だと思います。

やはり統一教会問題ではないか・・・

読売新聞の記事によると、

旧統一教会は1980年代以降、不安をあおって高額な 壺つぼ や印鑑などを売りつける霊感商法が社会問題となり、2009年に印鑑販売会社社長の信者が逮捕された。この事件を機に、コンプライアンス宣言を出し、当時の会長が辞任した。全国弁連によると、全国の消費者センターに寄せられたものを含め、霊感商法や高額献金に関する被害相談は1987~2021年に3万4537件約1237億円分に上る。09年の宣言後は減っているが、10~21年でも2875件約138億円分の相談があった。

1990年代はめちゃくちゃやっていた統一教会も、ここ10年くらいはわりとおとなしめで信者も激減していた。実際わたしの大学時代は、

原理(統一教会)は怖いよ、近づくな

ということが周知されていた。周囲にも取り込まれて洗脳されたあげくに大学辞めたのがいました。民青もしつこかったが原理は本当にヤバかったわけです。しかし当時は解散させられなかったし、今はたいしたこともないのでいまから解散は無理だし、政治家が付き合ってはいけないこともない。違法ではないわけですね。

1980〜90年に社会人だった人たちはいまは60歳を軽く超えています。高齢になるほど統一教会(原理)は怖いカルトだという認識があり、若い世代はほとんどそれを知らない。テレビも見ないしね。

世代の差は統一教会の認知率の違い

と思うのです。安倍さんのお爺さんの岸元総理の時はベタベタというレベルではなくて一緒に勝共連合まで立ち上げた。お父さんの安倍晋太郎さんのときも仲が良かった。安倍晋三さんはそれほどではなかったがそれでも安倍派を筆頭に選挙協力を受けていた。ということが報道されると、「反日」をうたい文句にして日本を従わせようという教義のカルトと安倍さんが親しかったことが既知となり、そこに違法性はなくても

因果応報

みたいな捉え方を高齢者ほどしているのではないかと思うのです。テロは憎むべきで絶対に許されるものでは無いが「親(祖父)の因果が子に報い・・・」的な事はよく使われた。高齢者ならば見世物小屋の口上で「親の因果が子に報い、生まれついたのがこの娘(こ)でござい」などとして身体障害者(またはそのふり)を見世物にしていた酷い時代が確かに日本にはありました。自分は見たことはないが「ヘビ女を見世物小屋で見た」話は聞いたことがあります。

これが高齢者ほど国葬に心から賛成できない理由ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。


編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2022年9月26日の記事より転載させていただきました。