理研(国立研究開発法人理化学研究所)は、2023年4月1日で有期雇用の通算期間が10年を超える約400人の研究者の雇用契約を、1日前の2023年3月31日で終了するとしています。撤回を求める理研労組と理研の労使交渉が話題になりました。
迫る大量リストラ、理研研究者が募らせる危機感、日本の科学技術力に影を落とす可能性も 東洋経済
2013年に施行された改正労働契約法では、有期雇用労働者が通算5年を超えて働けば、無期雇用に転換すると定められましたが、研究者や教員は特例で10年とされていました。
今回の契約打ち切りは、無期転換が困難になったための措置だと思われますが、こうなることは10年前から指摘されていました。
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この程度の雇用が守れないのかという批判も。
「日本唯一の自然科学の総合研究所」である理研がたった数百人の研究者の雇用すらも守れない、これで「科学技術立国」とは噴飯もの。「人への投資」と言いながら肝心のところにカネを出してない。これでは理系学生への給付型奨学金を拡充したところで目指す人は増えないだろう https://t.co/qFaQMngfVi
— リフレ女子 (@antitaxhike) October 1, 2022
民間でないのだから、有期雇用にこだわる必要はないのではないかという指摘も。
中国に活路を見出した研究者からは中国で見返せという意見も。
理研、研究者600人契約切り
すでに200人の研究者が去った
あと6ヶ月で更に400人の研究者が切られる
日本最高の研究機関である理研の研究者が1年契約との狂った状況で、10年経ったら更新はなし多量の修士や博士が失業
助成金、給付金の対象外日本では学者や研究者は生きていけない
中国で見返せ pic.twitter.com/NXypuZLUXv— 遺体管理学 教授 (@Prof_Shigeru) October 1, 2022
全体としては、このままでは日本の科学技術力は衰退するという批判が多いです。
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一方で、理研の今回の問題は日本の雇用問題そのものであるという指摘があります。日本型雇用は、終身雇用の職員を解雇することができない一方で、このような「ジョブ型」で働く人を期限によって「雇い止め」しないといけなくなるという矛盾を抱えています。
ジョブ型雇用と博士の問題は深く関連している : のとみいの日記 https://t.co/GVVidUz34g
理研、研究者雇用期間の上限を来年4月撤廃:日本経済新聞 https://t.co/2vwsvhUEpY
— のとみい (@noto_mii) October 1, 2022
新陳代謝がなくなり衰退していく日本企業と同じパターンになるという見かたも。
無期雇用転換されると仕事が無くなってもやってるふりをするようになる一方、リソースが食いつぶされるので新陳代謝がストップ。日本企業がいつか来た道。理研が「日本の失われた30年」を体を張ってシミュレーションしてくれてるようなものなのでみんな最後までしっかり見届けてあげましょう。 https://t.co/QhxJUda7sU
— jo shigeyuki (@joshigeyuki) September 30, 2022
理研は理研なりにがんばっているようにも見えますが、
理研、研究者の雇用上限撤廃へ 通算10年超可能にhttps://t.co/lCt7UkHDXA
これ良かったですね。「審査を通過しプロジェクトに続けて参加できれば」とのことなので当然とも言えますが。他の「上限」を設定しているような大学もそのようにしていただきたいところ。— Tsuyoshi Miyakawa (@tsuyomiyakawa) September 29, 2022
組合員からは詐欺だと言われています。
理研は10年上限対象者が遂行中の研究は打ち切り雇い止めした上で「新たなプロジェクト」に「応募できる」と言っているだけです。審査して継続可否を見極めるというものではありません。#詐欺
迫る大量リストラ、理研研究者が募らせる危機感 #東洋経済オンライン @Toyokeizai https://t.co/wxZx0bLn4Q— 理化学研究所労働組合(理研労) (@riken_union) September 30, 2022
一連の騒動は、メンバーシップ型雇用とジョブ型(っぽい)雇用の人が混在しているゆえの悲劇と言えるかもしれません。競争がグローバルで厳しい研究者の世界と終身雇用の相性はあまり良いようには見えません。
とにかく、特定の人だけの雇用の維持にこだわるのは、日本の組織を襲った最大の悲劇のひとつですが、研究職の分野でも繰り返すことになりそうです。