本年6月の第2回定例会文書質問を小出しで提供してまいりましたが、これまでのお姐と小池都知事、環境局との質疑と答弁をまとめましたので以下リンクからご覧ください。
そして、これを受け、あまりにも具体性にかけ不誠実な答弁でありましたことから性懲りもなく懲りずに昨日再度文書質問を提出致しましたので是非共有下さい。
【太陽光パネル義務化にかかる文書質問趣意書】
現在、東京都は新築物件の屋根に太陽光パネルの設置を義務付ける条例を検討しております。しかし、パブリックコメントでも多数の反対意見が寄せられているように、今や太陽光発電には問題が山積しています。
以下、参照すべきウエブサイトのURLを示しつつ、新築物件への太陽光パネル等の設置義務化の検討状況について、伺います。
https://cigs.canon/article/20220810_6931.html
https://cigs.canon/article/20220725_6883.html
ア 中国政府によるジェノサイド・人権弾圧への加担を都民に義務付けることにならないか
現在、世界の太陽光パネルの8割は中国製、半分は新疆ウイグル自治区製と言われています。国際エネルギー機関の7月の報告によれば、中国製のシェアは今後更に上がり、95%にも達する見込みです。
他方で、新疆ウイグル自治区における少数民族へのジェノサイド・人権弾圧の証拠は、国際社会が認めるところとなり、ますますはっきりしてきています。先進諸国は軒並みジェノサイドを認定し非難決議をしています。国連においても、人権高等弁務官事務所が「深刻な人権侵害が行われている」などとした報告書を8月末に公表しました。
強制労働(ジェノサイドの一部)と太陽光発電パネル製造の関係もはっきり指摘されています。
アメリカ合衆国では、これらのジェノサイド・人権弾圧を強く問題視し、新疆ウイグル自治区で製造された部品を含む製品は何であれ輸入を禁止するウイグル強制労働防止法を本年6月21日に施行しました。
かかる現状において、東京都が太陽光パネルを都民に義務付けるならば、それは事実上、ジェノサイドへの加担を都・都民・事業者に義務付けることになります。けれども、私たち多くの都民の望むところではありません。
a 新疆ウイグル自治区をはじめ、中華人民共和国におけるジェノサイドを含む人権状況とそれに対する知事の所見をお答えください。
b その上で、太陽光パネル設置義務化・設置促進は、中国政府によるジェノサイド・人権弾圧への加担を都民に義務付けることにならないか、知事の所見をお答えください。
c 都は、太陽光パネルについて、その設置を義務付けるよりも、むしろ、米国と同様に、「新疆ウイグル自治区で製造された部品を含む太陽光パネルの利用禁止」を公共調達や事業者において義務付けるべきです。なお、都はこれまでの事業者へのヒヤリングにおいて「新疆ウイグル自治区の製品を使っていない」旨の回答を得ているとのことです。
(太陽光発電設置解体新書スライド43)
しかし、かかるヒヤリングだけでは全く不十分です。結果として都民・事業者らをジェノサイド・人権弾圧に加担させた場合、都はどのようにしてその責任をとるのでしょうか、知事の所見をお答えください。
イ 国民・都民への負担が巨額に上るのではないか
国土交通省の試算に基づけば、条件の良いところであれば、150万円のパネルを設置した場合、「15年で元が取れる」とされています。確かに建築主は元が取れるようですが、これは一般国民の巨額の負担に依存するものです。太陽光発電による電力の本当の価値は50万円程度しかありません。残りの約100万円は一般国民の負担になります。このように負担の在り方が歪むのは、「再生可能エネルギー全量買取制度」を含め電気料金制度全体が、今のところ太陽光発電に極めて有利なように設計されているからです。しかしながら、太陽光発電の電力としての価値はせいぜい火力発電の燃料費を節約できる分だけであり、これは50万円程度にすぎません。
かかる事実が明らかになり、国民全般に負担を強要し迷惑をかけることを、私たち多くの都民は望んでおりません。新築物件への太陽光パネル設置を義務付けることで、国民全般にどの程度の巨額の負担がかかるのか、具体的な積算根拠を明示して、知事の所見をお答えください。
ウ 水害時に人命が失われるのではないか
都内においては大規模水害が予測されています。江戸川区などでは最大で10メートル以上の浸水が1~2週間続く恐れがあると想定されています。
https://www.city.edogawa.tokyo.jp/e007/bosaianzen/bosai/kanrenmap/n_hazardmap.html
水没した太陽光発電設備に感電・漏電の危険があることは、政府機関NEDOの調査で明らかになっています。
https://www.jpea.gr.jp/news/533/
https://agora-web.jp/archives/220610233818.html
太陽光パネル設置義務化・普及により、感電・漏電の危険は増大しないのか、人命が失われることはないのか、消防職員が被災するようなことはないのか、知事及び消防総監の所見をお答えください。
エ 都民の杉山大志氏が憲法第16条及び請願法第3条に基づき、本年9月20日に提出した「知事新築物件への太陽光パネル等の設置義務化に関する請願書」の対応状況につき、ご報告ください。
オ 同請願書は、上記ア、イに加え「感電・漏電による二次災害、感電の危険による避難・救助の遅れなどで、人命が失われる事態が想定される。水害の恐れのある地域において、太陽光パネルの設置を義務化すべきではなく、むしろ禁止すべきです。」との理由により、「新築物件への太陽光パネル等の設置を義務化する条例改正を直ちに中止・撤回していただきたい。」との願意を述べています。請願者の杉山氏はエネルギー政策の第一線の研究者であり、この分野の著書や論考は多数に上ります。太陽光パネル義務化につき、第一線の研究者から異議が述べられたことは極めて重く受け止めるべきです。知事は請願者と話し合うつもりはあるのか、ないのか、その具体的理由を述べた上で、お答えください。」
カ 東京都の面積は、約2200万平方kmです。都は2030年を目標に太陽光200万㌗を目指しています。まず、東京の年間使用(必要)電力量、瞬間最大電力量をお示し下さい。
キ 東京都が目指す太陽光パネルによる発電の最終目標とその積算根拠達成年限、目標200万㌗を達成するのに必要なパネルの枚数につきお示し下さい。
ク 東京都内にある一戸建て住宅の総数と太陽光パネル設置可能だとする面積をお示し下さい。また今後都が想定する新築戸建て住宅のパネル設置件数と面積もお示し下さい。
ケ 太陽光パネルには 希少金属が沢山使われているが、今後の確保の目途と持続可能の根拠をお示し下さい。
コ 廃棄問題について現在全国で僅か30社しかないことを指摘してきました。「都は、関係事業者と今年度立ち上げる協議会において、こうした排出量や施設に関する動向等の情報を共有して、リサイクルルートを確立するともに、事業者と連携してリサイクルを促進する」ということですが、リサイクル体制が完成するのはいつで、どのような技術・方法を講じるのかご説明下さい。
サ カリフォルニアなど海外では廃棄パネルを埋め立て処分をし、今年の7月に大量の埋め立て処分が問題になり報道されている事例もあります。東京ではリサイクルできない機器・部品等についてはどの様に処理をするのか、埋め立てなども想定しているのか、しているとすればどこに埋設するのか、伺います。
シ 義務化が仮に実現すれば、数十年後に大量のパネル廃棄の問題が必ず浮上します。林間部への不法投棄はもちろんのこと海洋投棄も大いに危惧するものです。こうした不法投棄に係る対策を伺います。
ス 都内では23区が特定行政庁になっていて、都ではなく、区が用途地域を定めています。「高度地区」の指定があり,住宅地では2種高度地区が一般的、「低層住居専用地域」では1種高度地区が一般的で、これらが都内住宅地の大部分を占めます。
2種高度地区では北側隣地際で高さ5メートル以下に建物の高さを抑える必要があり、隣地から離れるに従い1メートル離れるごとに1.25メートルの斜線を描いた範囲の下に建物を抑えなくてはなりません。このため、3階建ての多い23区内の住宅街で、地価の高い土地を有効利用しようとすれば、北向きの大屋根を作らざるを得ません。昨今、北向きの片流れ屋根しか持たない住宅も急増しており、それ以外の住宅であっても効率の良い向きに大きな屋根のある戸建住宅はほとんど建てられていません。つまり、23区内には、発電に非効率な北向きの屋根ばかりということになります。
北側に道路がある敷地については高度地区の影響を受けづらいため、この限りではありませんが、2種高度地区の指定がある地区では、一般的に北向きの屋根の比率が大きくなります。
高度地区指定のない商業地域などでは平たい屋上がありますが,その様な地域にある建物は水平投影面積が小さく、大した量のソーラーパネルを載せられません。果たして、「北向きの非効率なソーラーパネル」をたくさん設置することにならないのか、そのようなパネルを設置することが本当に、有効性のあるゼロエミ、エコロジー、「HTT」対策なのか懸念するものです。新築戸建てが北向きの屋根にならざるを得ない問題について、課題認識を持っているのか、無理やりつけるようなことはないのか、対策と対応と所見を確認いたします。
セ 北向きの大屋根についてですが、高度地区斜線の制限に合わせて、屋根は真北の方向に向かって1.25/1に近い勾配で建てられ、都内の住宅地にある屋根は、多くが北向きの壁に近い角度となっています。その屋根がどれだけの発電量を確保できるのか、ソーラーパネルメーカーの「北向き屋根」の想定はもっとずっと緩い勾配ですが、相当効率が落ちると公表しています。
https://jp.sharp/sunvista/support/faqs/answer.html (SHARPのQA)
SHARP社の解説では北屋根の効率が悪いことと、隣家への反射の影響があるから避ける様記述されています。壁の様な北屋根にソーラーパネルを義務化したら近隣トラブル多発する可能性も高く、この点に関しての課題認識はあるのか、対策と対応と所見を確認いたします。
ソ 都有施設における太陽光パネル設置可能面積に占める設置割合、設置数と面積と、年間発電量と売電実績についてご説明下さい。
タ 都庁舎(第一本庁舎・第二本庁舎・都議会議事堂等)における太陽光パネル設置可能面積に占める設置割合、設置数と面積と、年間発電量と売電実績についてもご説明下さい。
チ 小池知事が義務化検討を指示した時期、契機、根拠について
「令和3年1月 27日 、「 ダボスアジェンダ 」 にて 2030年カーボンハーフを表明し、同年3月、「 ゼロエミッション東京戦略 」 の アップデート版を公表しました。都内 C O 2 排出量の約7割は建物由来であり、 2050年のゼロエミッション東京の実現に向けて、新築建物対策が重要であることから、様々な報告を受けながら以下のとおり検討を行いました。
・令和3年3月 都内住宅への太陽光パネル導入ポテンシャルについて
・太陽光パネルの価格と技術動向について
・太陽光パネルのリサイクル促進等について
・令和3年7月 カリフォルニア州の太陽光義務化制度について
・令和3年9月 太陽光発電の設置義務化のスキーム等について
こうした検討を重ね、令和3年第三回定例会の所信表明において、住宅等への太陽光パネル設置義務化の検討について表明し、同年 10月に環境審議会に対して条例改正の在り方を諮問しました」
とのことだが、「カーボンハーフ実現に向けた環境施策の新たな展開について太陽光発電設備の導入状況・設置ポテンシャル」を議題とし令和3年9月13日(月)13時43分~14時20分に開催された会議等議事要旨記録票によれば、知事は「トライアルではなく(太陽光パネル設置義務化の)制度化を実行する」、7月27日には「パネル設置を義務化したときのコストや効果についてちゃんと検証するように指示」していたのに、9月13日に突如として「トライアルではなく制度化を実行」と一転しました。都民の財産、廃棄制度やシステムも完成しておらず本質的な東京の深刻な環境問題にかかる大問題であるにもかかわらず検証結果を待たずになぜ「トライアルではなく制度化を実行」することにしたのか、理由を明らかにする責任が知事にはあります。技術的根拠、太陽光パネルによる電力の安定的供給の確保および施主の財産を将来にわたって絶対に棄損することはないという積算根拠を明快にしたうえでの知事の答弁を求めます。
ツ 東京都民には設置の拒否権があるのかないのか、拒否権の有無についてどう周知するのか再三再四に渡り確認をしてきましたが
「 本制度において、住宅供給事業者が住宅購入者に対して、断熱・省エネ、エネ等の環境性能に関する説明を行うことが求められています。住宅購入者は、事業者からの説明を聞き、環境性能についての理解 を深め、環境負荷低減に努めるという観点から検討し、購入等について判断する仕組みになっています」
との答弁で拒否権があるのかないのか、周知をするのか回答を頂けていません。拒否権はあるかないか、イエスかノーでお答えの上、イエスであれば周知をどのようにするのか、ノーであればその理由と独占禁止法が禁止する「抱き合わせ販売」に当たらないかと思料しますので理由と法的根拠をお示し下さい。
テ 太陽光発電は出力が不安定なため、発電した電気の経済的価値は発送電システムの回避可能原価に限られ、これは火力発電の燃料費分程度しかない。電気代削減や売電収入との差額は全て一般都民の負担となるが、この金額について確認したところ
「 太陽光発電など、再生可能エネルギーの買取りに要する費用は 、 国の制度である 再生可能エネルギー発電促進賦課金 から賄われており、令和4年5月からの単価は、1 キロワットアワー 当たり、3.45円となっています」
とのことでしたが、電気代削減や売電収入との差額は全てパネルをつけたくてもつけられない、パネルをつけたくもない一般都民の負担となっており、外部不経済にならないかということを確認をしております。一般都民が負担せざるを得ない電気代削減や売電収入との差額について明示の上、外部不経済になるのかならないのか数的根拠を示してお答えください。
ト 小池知事は記者会見で
「標準的な住宅の例として、4kWの太陽光発電を設置した場合を挙げ、月々の電気代を7700円削減、年間では9万2400円削減できる計算で、設置費用を約92万円とすると10年間で償却可能とした。さらに、既にある補助金を活用すると、40万円の補助と合わせて6年間で元が取れる計算になる」と述べています。
「住宅用太陽光発電設備に関する撤去からリサイクルまでの費用は、発電設備の設置容量や、取外しの状況、処理施設への運搬効率など、個々のケースによって異なりますが、国や都の調査報告書に基づき試算すると、現時点では概ね30万円程度」とのことです。「おおむね30万」費用負担についても、施主にとっての収支計算に明示的に含めるべきだと考えます。これを加えても、太陽光パネル設置によって小池知事が度々発言しているように「6年間で元が取れる」のか、数的技術的経済的根拠をお示しの上イエスかノーでお答え下さい。
【お姐総括!】
ア~オまでは過日、新エネルギーの第一人者杉山大志先生が都議会宛提出頂きました請願をほぼなぞるものです。なぜかと申しますと、小池知事サイドから不誠実な答弁が戻る状況が想定され、必ず答えねばならない文書質問で今回確認したものです。
昨日提出した上記文書質問は、5月に提出した知事宛請願は口頭答弁になったことから、6月定例会に改めて文書質問をするも、答えになっていない答弁を繰り返していることから、専門家のご意見を頂戴しながら、ジリジリ追い込む質疑で三の矢を繰り出しております。
無効も嫌かもしれませんが、こっちだって骨も心も折れるところ踏ん張っております。
引き続きお姐Twitter、フォームまでご意見をお寄せください!
意味不明な答弁をせざるを得ない、小池知事の「義務化推進!キイ!」の一声に振り回される都庁官僚には、憤りを通り越して、滑稽というか情けないというか、気の毒極まりありません。
お役所仕事もイライラしますが(笑)、お役所仕事もすることが出来ない都庁を、この問題から大きな風穴を開けていきまっしょい!!
小池城落城の兆しが見えてきますぞ!!
編集部より:この記事は東京都議会議員、上田令子氏(江戸川区選出)のブログ2022年10月9日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は上田氏の公式ブログ「お姐が行く!」をご覧ください。