玉木・国民民主代表 vs. 岸田総理の熱い国会攻防戦

田村 和広

「財務省の手の内」を知悉する玉木雄一郎国民代表

旧統一教会問題で台無しになることが予想された第210回臨時国会でしたが、序盤で意表をつく見せ場がありました。玉木雄一郎国民代表は円安含み益の金額を質問することで、行政が隠しておきたい「外為特会の含み益」が存在することを国民の前に晒してしまいました。

(以下10月6日の衆議院代表質問より抜粋、「たまきチャンネル」より文字起こし)

玉木代表:
政府は為替相場への介入原資として、外国為替資金特別会計、いわゆる「外為特会」に約1.3兆ドル、日本円にして約180兆円の資産を保有しており、そのほとんどがドル建ての米国債です。今記録的な円安なので、円建ての含み益が相当出ているはずです。機械的に計算しても約37兆円あります。

総理、外為特会の円建て含み益は本年1月に比べていくら出ていますか。(中略)国の特別会計は円安でウハウハです。

これに対する岸田総理の答弁を見てみましょう。

岸田総理:
(前略)外為特会の外国為替評価損益は、各年度決算をもとに毎年3月末の数値をお示ししており、最新の令和4年3月末は1兆円であります。(続く)

あれ?

ちゃんと答えていないようです。抜き出すと下記の通りです。

玉木代表:「本年1月に比べていくら出ていますか?」

岸田総理:「3月末は1兆円です」

やはり真正面から回答していません。しかも3月末から円安の度合が進んでいるので、現在は一層含み益が拡大しているでしょう。更に「含み益を財源に充てては如何か?」という主旨の玉木提案に対して、岸田総理は、できない理由(G7の縛りで安定以外の目的では為替介入できない)を挙げて否定して行きます。その説明は確かに尤もです。

しかし、玉木代表と岸田総理、どちらが「問題を解決しようと知恵を絞るリーダー」でしょうか。

この他にも、まさに今国民が聞いてみたかった、珠玉の質問が続きます。

  • 再エネ賦課金の一時徴収停止による電気代値下げを採用してはどうでしょうか。
  • 総理、岸田内閣として原発の建て替え、リプレース行うのかどうか
  • 追加予算を補正予算で積み増して、自動車分野のGX化を加速すべきではありませんか。
  • わが国の継戦能力、有事の際に組織的な戦いを継続できる能力は、どの程度、わが国にはありますか。
  • 自衛隊の重要施設の地下化や航空機のシェルター整備などを進める必要があると考えます。また、個人宅など民間にもシェルター設置を促す考えがあるのか、もあわせて伺います。

如何でしょうか。

これらを正面から問う国民民主党と、旧統一教会等で政局に勤しむ他党。

どちらが国民に向き合い、喫緊の課題を国会で議論しているでしょうか。

全国行脚で国民の生の声を吸い上げ国会にフィードバック

玉木代表はまた、「全国を周っていますと」と前置きして

驚くほど多くの学生や大学院生が、我々国民民主党の集会や街頭演説会に来てくれます。そのときによく出る質問が「岸田総理は外国人留学生の受け入れ支援を拡大するようですが、それなら日本人の学生をもっと助けて欲しい」という切実な声です。

もう一つ全国を周って、パート・アルバイトの皆さんからよく聞く声は、いわゆる「年収の壁」です。

店長さんや経営者の方も年末にかけての忙しい時期に人手の確保ができなくなると困っています。

など、直接吸い上げた「国民の生の声」を国会で総理にぶつけております。

なぜそれができるのでしょうか。その答えは、代表質問冒頭にありました。

物価高に苦しむ国民の声を聴くため、参議院選挙直後から私自身が全国を回って既に34都道府県を訪問しました。(:10月6日時点)

全国行脚は国会開会中も続けられており、11日も長野県でタウンミーティングをするなど国民の声を更に吸収しているようです(11日現在37都道府県)。きっと近日中に1都1道2府43県全て制覇するでしょう。驚異的な移動距離と訪問件数ではないでしょうか。

なお、セキュリティ面には、どうか万全を尽くしてください。(横浜駅の演説を聞いたとき、距離の近さに驚いた記憶があります。)

以上、第210回臨時国会、玉木雄一郎国民民主党代表質問(10月6日)からの抜粋でした。冒頭の「台風被害対策」部分を除く質問全体(逐語文字起こし)と、それに対する岸田総理の答弁(主旨)は、下記データをご参照ください。

国民民主党玉木雄一郎代表質問(第210回臨時国会:衆議院本会議)|田村和広|note
岸田総理答弁(要旨。第210回臨時国会、玉木代表20の質問への回答):|田村和広|note

むすび

最後に、国民民主党の姿勢がよくわかる部分を、引用します。

人を大切にする政策を徹底することこそが、日本再生の鍵だと考えます。だからこそ、私たち国民民主党は「人づくりこそ国づくり」これを理念に掲げております。改めて、人への投資の倍増による日本再生に本気で取り組むことを総理に強く求めて、質問を終わります。