ピエール・ガニエール(パリ8区)

驚きと感動に満ちた、そしてなによりも、即興であるにも関わらず完璧に調律された深いおいしさ。

25年来、大大大好きなピエール・ガニエール。コヴィッドで3年以上も来られていなかっただけに、ピエールとの再会に喜びひとしお。

新しくなった内装に(そんなに変わったわけじゃないけど)初めまして!

ここのセルヴィエット、昔から本当に大好き。セルヴィエットの質感は、こうであってほしい。

小規模作り手シャンパーニュで乾杯し、次々と現れてはテーブルを埋め尽くしていくアミューズを賞味。どれもこれも、おいしさはもちろん、ピエールならではのひらめき溢れる風味の組み合わせや信じられないほど繊細な食感に感動。

チャーミングなシャサーニュ・モンラシェに、海の幸色々の前菜。

多皿構成は、この店の特徴。多種多様な貝、エビ、魚たちの、めくるめくファランドール。

感動溢れる仔羊のおいしさ寄り添ってくれるのは、大好きパーセルの一つ、シャンボール・ミュジニーは”レ・ザムルーズ”、ジャック・フレデリック・ミュニエ09。

ただでさえ絶品の仔羊がさらにおいしくなる〜。

今日、私、お誕生日だっけ?最後の濁った部分まで(というかこの部分こそ)、ため息のおいしさ。

みんなもう、お腹いっぱいで死にそうなので、デセールは盛り合わせとヴァニーユを一つずつオーダーして、分け合う。

ヴァニーユのデセール、スフレが衝撃のおいしさ。デセール前に、5つの産地の特上ヴァニーユを嗅がせてくれる、という、嗅覚を幸せで悶絶死させるような演出にも、みんなノックアウト。

ピエール、最高!長年惚れ続けている理由を改めて感じる、万華鏡のように次々と輝いては形を変えてゆく美味とたのしいおしゃべりに囲まれた、幸せいっぱいの夜。

帰りがけ、すっかりきれいになった厨房を覗かせてもらう。

”おいしい〜”って言った回数、100は超えたね。ごちそうさまでした。


編集部より:この記事は加納雪乃さんのブログ「パリのおいしい日々4」2022年10月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「パリのおいしい日々4」をご覧ください。