COP27を10倍楽しむ方法:『エコファシズム 脱炭素・脱原発・再エネ推進という病』

11月7日(月)からエジプトのシャルム・エル・シェイクで、国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)が行われています。

アゴラでも、COP27に関する記事を見かけるようになりました。

気候変動対策COP27開幕:欺瞞に満ちたEU式脱炭素の行方は?

気候変動対策COP27開幕:欺瞞に満ちたEU式脱炭素の行方は?
エジプトのシャルム・エル・シェイクで、国連気候変動枠組条約第27回締約国会議=COP27が開幕します。今回のCOPでは、気候変動対策の強化を呼びかける先進国が、気候変動対策以前の課題が山積している途上国へどこまで配慮できるかに注目が集まりそ...

そんな中、当事者である有馬純さんのアゴラの記事「紛糾が予想されるCOP27」は、流石に当事者だけあって、会議の詳細がよくわかるものでした。

紛糾が予想されるCOP27
11月7日~18日にかけてエジプトのシャルム・アル・シェイクでCOP27が開催され、筆者も後半1週間に参加する予定である。COP参加は交渉官時代を含め、17回目となる。 世界中から環境原理主義者が巡礼に来ているような、あの独特の宗教的...

東京大学公共政策大学院特任教授の有馬純さんは、「通商産業省(現経済産業省)入省後、OECD日本政府代表部参事官、IEA国別審査課長、資源エネルギー庁国際課長、同参事官、大臣官房審議官地球環境問題担当、 JETROロンドン事務所長兼地球環境問題特別調査員等を歴任。2015年東京大学公共政策大学院教授を経て現職。21世紀政策研究所研究主幹等を兼務。IPCC『第六次評価報告書』執筆者。これまでCOPに16回参加」だそうです。

対談相手の岩田温(いわた・あつし)さんは、「政治学者。一般社団法人「日本歴史探究会」代表理事。専攻は政治哲学、政治 思想。」だそうです。

ということで、「COP27を10倍楽しむ方法」として、最近出版された有馬純さんと岩田温さんの対談集をよんでみました。

[有馬 純, 岩田 温]のエコファシズム 脱炭素・脱原発・再エネ推進という病 (扶桑社BOOKS)

有馬純(著)、岩田温(著)「エコファシズム 脱炭素・脱原発・再エネ推進という病」

内容は、有馬純さんの政府としての気候変動への豊富な経験から滲み出た数々の「脱炭素・脱原発・再エネ推進」に対する辛辣な批判は、頷くことばかりでした。よって、この対談集はスラスラと、あっという間に読むことができました。そしてCOPの裏事象が本当によくわかりました。

ただ、ツイッターで呟いたように、以下の三つの点が本書が惜しいと思えることでした。

1. 本のタイトル:「エコファシズム」というタイトルはある意味でレッテル貼りで過激すぎるので一般の人は近寄らない気がします。特に、本書が激しく批判する、脱◯◯推進の人は、タイトルを見ただけで、お金を出してまで読まないと思います。本書でジョージ・オーウェル (著)「1984」

を沢山引用していたので、それにちなんで「エコユートピアは実存するのか?」など、もう少しウィットに富むタイトルにすれば読者も増えるように思いました。

2. 本書で批判している本の著者の反論:本書では数箇所で斎藤幸平(著)「人新世の「資本論」」

を激しく批判されています。実は僕は本自体はキンドルで購入してはいるのですが、積読状態なので、有馬さんと岩田さんの批判がリーズナブルなものか自分の頭で判断できていません。次の対談集で、ぜひとも有馬さんと岩田さんvs斎藤さんを読んでみたいです。

3. 各章の結論:本書は全部で6章あるのですが、対談のお二人の意見があまりにも一致しているため、各章の結論がかなり似通っている点、既読感が大きく、ちょっと僕には刺激に欠けるものがありました。逆に言えば、誰が考えても、彼らの結論にたどり着くということで、メディアを含めた報道のあり方が結局政策には一番重要だということを再認識しました。

動画のノギタ教授は、豪州クイーンズランド大学・機械鉱山工学部内の日本スペリア電子材料製造研究センター(NS CMEM)で教授・センター長を務めています。