学びなおしなんてやって何かメリットあるの?と思ったときに読む話

岸田内閣の進める賃上げ政策の一環として、労働者のリスキリング(スキルを学びなおすこと)というものがあります。新しいスキルを身につけより生産性の高い職に移ることで賃金を高める狙いですね。

一方で、こんなニュースもあります。

【参考リンク】学び直し「したいとは思わない」約半数 内閣府の「生涯学習に関する世論調査」で

学び直し「したいとは思わない」約半数 内閣府の「生涯学習に関する世論調査」で
 岸田総理大臣がリスキリング=学び直しの支援に5年間で1兆円を投じると表明するなか、「学び直しをしたいとは思わない」人がおよそ半数に上ることが内閣府の世論調査で分かりました。  内閣府が行った「生涯学習に関する世論調査」で、社会人になった後の学校での学び直しの状況について尋ねたところ、「学び直しをしたことはなく、今後...

内閣府が行った「生涯学習に関する世論調査」で、社会人になった後の学校での学び直しの状況について尋ねたところ、「学び直しをしたことはなく、今後も学び直しをしたいとは思わない」と答えた人が46.4%に上り、他の回答を大きく上回りました。

政府がいくら音頭をとっても、これではなかなかリスキリングの機運は高まりそうにありません。

なぜ日本人は学び直しに消極的なんでしょうか。そんな状態でこれからの時代を乗り切れるんでしょうか。いい機会なのでまとめておきましょう。

kazuma seki/iStock

日本人が学びなおしをやる気がないワケ

日本人が学び直しする気が無い理由は3点あります。

・キャリアは会社から与えられるものだと思っているから

以前にも述べましたが、メンバーシップ型雇用(=終身雇用)というのは「キャリアとは会社が労働者個人に与えるものであり、労働者は与えられた役割に対し全力で滅私奉公する」というメカニズムで動いています。

【参考リンク】どうして日本人って仕事が嫌いなのに転職や自己研鑽に消極的なの?と思ったときに読む話

要するに、自分からあーしたいこーしたいというやる気がないかわりに、言われたことは何でもやってくれる便利な存在なわけです。

だから組織がメンバーシップ型雇用を採用している以上、従業員がやる気がない問題というのは受け入れるしかない副産物だと思ってください。

・学びなおしてもキャリアアップされる保証がないから

そもそも、会社辞めて1年とか2年くらい大学院通った結果、再就職時に「スキルアップされたんですね!では年収は前職+200万!」とかやってくれる会社って日本に存在するんですかね?

あるとすればそれはばりばりのジョブ型の賃金制度であって、日本ではまだまだ少数派でしょう。
たいていの企業は「組織で何年滅私奉公したか」で評価される実質年功給なので下手したら年収下がる可能性だってあるわけですよ。

・めんどくさいから

では、仮に会社が個人でキャリアを選べるような制度を作り、業務内容によって柔軟に賃金を見直す仕組みに切り替えたなら、日本人は学び直しに積極的になるんでしょうか。

確かに一部の人たちは積極的に動くようになるでしょう。でもやっぱり半分くらいの人は何もしないんじゃないかという気がします。

理由は単にめんどくさいからです。

上々企業の従業員平均年齢はどこも40歳を超え、40代後半という企業もちらほらあります。
その年齢になると基本給はそこそこの水準が保証されているので、今さら新しいことをやろうという気にならないものなんですね。

特に、メンバーシップ型の組織で長く組織に対して受け身の姿勢で勤めてきた人にはその傾向が顕著な気がします。

とはいえ「その場にとどまるためには、全力で走り続けなければならない」というのが真理であって、実際日本人の賃金は右肩下がりを続けているわけなんですが。

まとめると、そもそも日本型組織というのは学びなおすことを前提とはしておらず、中の人も老いて今さら新しいことはやりたがらない人が多いということですね。

以降、
学びなおしを定着させるには
ケイ・コムロにあって日本のビジネスパーソンに足りないもの

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Q:「ジョブ型と転勤制度って両立するんでしょうか?」
→A:「両立しませんね」

Q:「九州の未来は明るいですか?」
→A:「最近、決定的に位置づけが変わったと思いますね。というのも……」

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編集部より:この記事は城繁幸氏のブログ「Joe’sLabo」2022年11月10日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はJoe’s Laboをご覧ください