コロナ感染症は、これまでの解釈では、すでに第8波に入っている。ただし、いつまで発熱すればPCRや抗原検査をし、数を数えることを継続するのかは疑問だ。しかし、これまでのインフルエンザや風邪は冬季にピークが見られたのだが、コロナ感染症の夏と冬の二つのピークは不思議だ。今回の再増加は9月後半から立て続けにあった3連休による人流の増加やその後の活発な人の動きがあったので当然ともいえる。
夏場の増加は南から起こり、冬場の増加は北から起こるような傾向にある気がする。ここから考えられる可能性は空調と換気だ。空気感染であることが明白となっているが、この疑いはコロナ感染症流行の初めから指摘されていた。日本の専門家は長い間否定し続けていたが、科学を無視して正しい対策が打てるのか?特定のムラ社会では、真実・科学を捻じ曲げても恥と思わない文化が根付いているようだ。
政治もいい加減だ。記録がなければ、記憶も失われる政治家の姿を毎日のように見せつけられても、日本国民は物静かだが、怒りを静かにだが、確実に蓄積している。
死刑発言の大臣に対する対応も遅い。世論を読めていないので、反発の声が大きくなって耳に届いてから(感度が悪い)対応しているので、決断力のなさというよりも、鈍感力が際立ってきているように思う。本当ならば野党に気持ちが移ってもおかしくないはずだが、悪夢の民主党政権の記憶がある限り、無党派層の高い割合は維持されるだろう。
話を戻すと、北海道で過去最高を更新する日が続いていた。寒くなると暖房が入るが、寒い中では換気をするのもためらわれる。夏に空調を入れても、冷房が非効率的になるので、簡単に換気はできない。当然ながら、空気感染力が高ければ換気をしない閉ざされた環境では感染者が増えて当然だ。
そこで、寒い時の流行は北から始まり、暑い時の流行は南から始まる。今は、電気代・ガス代が高騰しているので、ますます換気をしにくくなり、コロナ感染者数は急増するかもしれない。今年の冬は危険だ。風が吹けば桶屋はもうかる的だが、科学的には納得だ。
ウイルスは変わり続けているが、重症化率は下がっている。したがって、発熱しても、重篤でなければ風邪薬を飲んで家で寝ていればいいと思う。検査を受けに行って、移動中に感染を拡大するよりも、家で静かにいる方が広がりを抑える効果はあるだろう。もちろん、症状が出ている人の同居者はしばらく経過観察だ。
今のように、すべて保健所の指示に頼るのも限界だ。思い切って覚悟を決めて検査を中止すればいいと思う。重症者だけ病院に行くことにして、経済を回すしかない。ただし、入院患者のウイルスゲノムはすべて調べて、ウイルスの変異はモニタリングすべきである。感染拡大には要注意だが、年末年始に行動制限をかければ、経済への影響は甚大だ。
脊髄損傷患者の希望
以前もこのブログで脊髄損傷による麻痺が電気的刺激で回復することに触れたが、その際に活性化される神経細胞について、先週号のNatureに報告されていた。オープンアクセスなのでだれでも閲覧可能だ。脊髄損傷が治るという希望の灯がだんだん近づいてきている。
編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2022年11月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。