政府与党による救済法案(新法)は不十分である可能性が高い

こんにちは、音喜多駿(日本維新の会 参議院議員 / 東京都選出)です。

嵐のような一日。幹事長会談・与野党協議会でついに政府から「救済法案(新法)」の概要が明かされました。

まずは総理の指示の下、被害者救済のため政府与党と関係者がここまで新法を形にしていただけたことに感謝をしたと思います。これまで積み重ねてきた与野党協議の時間や、なにより被害者の方々の声がようやく政府に届きつつあると感じています。

一方で、残念ながら現時点でわかる内容からすると、被害者救済には極めて不十分である可能性が高いと思っています。

これでは救済が実質的にはできないのではないかと懸念しており、具体的にいくつかの点を与野党協議でも指摘させていただきました。

第一に、禁止する悪質な寄付の行為の要件について、消費者契約法の改正案とほぼ同じものになっている点です。

消費者契約法等の改正では救済が難しいからこそ、別途で新法を作ろうということで政府も着手し始めたはずです。要件が同じで救済の範囲が広げられないのであれば、新法の意味がなくなってしまいます。

何より消費者契約法は今回の改正で「(不利益を回避するために)寄附が必要不可欠であると告げること」が新たな要件として入ることになっており、これはむしろ適用条件を厳しくする恐れが指摘されています。

ここまで厳しい要件を設定することには首をかしげるばかりですし、政府側からも与党議員からも納得の行く説明はありませんでした。

第二に、家族が取消権を行使する場合には、政府案では民法の債権者代位権の特例を使うというスキームを用いていますが、本人の無資力要件が必要である上に、取り消せる範囲が狭く、実質的な救済になりえません

ほかにも、

個人から法人に対する寄付だけが対象となっている(抜け穴が多い上に、なぜか平仄を合わせているはずの消費者契約法よりも範囲が狭くゆるい)
行使期間が10年というのは短すぎる(民法に揃えるべきではないか)
・政府が言うところの「上限規制」は勧誘や要求が禁止要件となっており、自発的な寄附にはやはり適用できない。なぜか禁止するだけで取り消しの対象になっていない(これは本当に謎)

など、改善できる・改善を要する点が多々あります。

長年被害者救済に取り組んできた弁護士の方も、「これはもう一読して、統一教会には適用されないということがはっきり言えると思います」とコメントしています。

こうした我々が指摘した問題点や、被害当事者・弁護団の声を政府与党にはしっかり受け止めていただき、新法にふさわしい内容へと修正していただきたいと思います。

夜はABEMAに出演。旧統一協会二世当事者である小川さゆりさんの言葉には出演者一同、聞き入ることばかりでした。

あと一歩、もう一歩のところまできました。引き続きご注目いただけたら幸いです。

それでは、また明日。

SeanPavonePhoto/iStock


編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会)のブログ2022年11月18日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。