「アスリート・ファースト」と軽くいう政治家の胡散臭さ

政治家がなにかという「アスリート・ファースト」

アスリートファーストを念仏のように唱えていたのは小池都知事ですが、いま開催されているサッカーワールドカップでも朝のバラエティでコメンテーターが口を揃えて

アスリートファーストでやってほしいものです

とかいうので、そのたびにわたしは

ふぁ??!

となっております。
同じ事を思う人はほかにもいるようで、日経新聞の北川編集委員は東京オリンピックに際して

アスリートファーストでなくリスペクトこそ必要編集委員 北川和徳

という記事を書かれておりました。
これはまたわたしとは違った視点で、「アスリートファーストとは大会に出場する選手が最高のパフォーマンスを発揮できるように最適な環境を整えるということだろう。酷暑となる東京の夏に開催される五輪はアスリートファーストに反する最たるものと考えられる」と書かれている。

わたしは別の意味で、プロスポーツイベントは「アスリートファーストなのか?」ということを論じたい。

世界のプロサッカー選手は富豪の集まり

こちらフォーブスの記事です。

最も稼ぐサッカー選手、イニエスタがトップ10入り 上位は変わらず

1位 クリスティアーノ・ロナウド
(マンチェスター・ユナイテッド) 1億2,500万ドル
(約137億円)
2位 リオネル・メッシ
(パリ・サンジェルマン) 1億1,000万ドル
(約121億円)
3位 ネイマール
(パリ・サンジェルマン) 9,500万ドル
(約109億円)
4位 キリアン・ムバッペ
(パリ・サンジェルマン) 4,300万ドル
(約46億円)
5位 モハメド・サラー
(リヴァプール) 4,100万ドル
(約45億円)
6位 ロベルト・レバンドフスキ
(バイエルン・ミュンヘン) 3,500万ドル
(約39億円)
7位 アンドレス・イニエスタ
(ヴィッセル神戸) 3,500万ドル
(約39億円)
8位 ポール・ポグバ
(マンチェスター・ユナイテッド) 3,400万ドル
(約37億円)
9位 ギャレス・ベイル
(レアル・マドリー) 3,200万ドル
(約35億円)
10位 エデン・アザール
(レアル・マドリード) 2,900万ドル
(約32億円)

これだけの金額を稼ぐんだから、キングオブプロスポーツです。
さて、アマとプロの違いはなにか。
何度も言ってますが

アマは自分の楽しみのためにやる
プロはお金を払う観客を楽しませるためのやる

ということになります。そもそもプロですから、観客のためにプレイをしているわけで、高校野球とは違います。我々は直接、間接を問わずお金を彼らに支払っています。スポンサー企業が彼らに払うギャラの原資は、我々消費者が商品の価格の一部として負担しています。

それなのに馬鹿のひとつ覚えのように「アスリートファースト」とはなんなのか。
プロがプレイするのを我々はお金を払って見させて頂いているわけですか?

もしそれが正しいなら音楽イベントは「ミュージシャンファースト」でミュージシャンが快適な環境で演奏できることを最優先にしないといけないし、M1グランプリは漫才師の環境を最優先にすべきになる。だれがM1について「漫才師ファースト」っていってますか?なんでスポーツだけが特別なんですか?

どう考えても
観客ファースト!!

が当たり前であり、観客を楽しませてくれるプレイをプロであるサッカー選手はしなくてはならないと思うのだ。

オリンピックもいまや多くがプロ選手

小池都知事はアスリートファーストを繰り返す割には真夏に無観客で強行し、どこがアスリートファーストか分からなかったが、五輪もいまやプロ選手か多く出ている。アマチュアしか出場できなかった昔とは全く違うのだ。それなのに「アスリートファースト」とはこれいかに、である。

五輪が商業主義に走り、プロの出場大歓迎にした時点でアスリートファーストは終わり、観客ファーストになったはずなのに、またまた調子良いときだけ政治家はそれを言う。まるでSDGsを唱えていればなんでもOKの企業と同じだ。

この胡散臭さこそ、わたしがいまのスポーツイベントに本気で集中できない根源なんですが、気にしない人は気にしないんでしょうね。w


編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2022年11月22日の記事より転載させていただきました。