今年の良書ベスト10

池田 信夫
日本経済の見えない真実 低成長・低金利の「出口」はあるか

今年、私のブログで紹介した本の中から、今年出た本の個人的ベストテンをあげてみた。

  1. 門馬一夫『日本経済の見えない真実』
  2. ブライアン・ヘア他『ヒトは<家畜化>して進化した』
  3. チャールズ・グッドハート他『人口大逆転』
  4. スティーブン・クーニン『気候変動の真実』
  5. エマニュエル・トッド『我々はどこから来て、今どこにいるのか? 』
  6. 島田裕巳『日本の宗教と政治』
  7. マイケル・シェレンバーガー『地球温暖化で人類は絶滅しない』
  8. 森田長太郎『政府債務』
  9. 設楽博己『縄文vs弥生』
  10. 河野龍太郎『成長の臨界』

今年は経済学の本に収穫が多かった。アベノミクスが終わってリフレ派はこっそりMMTに転向し、主流派もその理論をまじめに考え始めた。1も8も「MMTには共感できる部分がある」といい、10もその問題提起は否定していない。

MMTは金利を無視した素朴ケインズ理論だが、2000年代以降のゼロ金利時代には近似的に成り立った。それは3も指摘するように、1990年代以降のグローバリゼーションで、中国の安い労働力が世界に供給されてdisinflationが起こった影響が大きい。

しかし中国の労働人口は減り始め、世界的に供給不足の時代が来る。ウクライナ戦争は、そういうグローバリゼーションの逆転を加速するだろう。戦争が始まってからたくさん出たウクライナ本には見るべきものがないが、戦争の前に書かれた5は「ユーラシア文明」が西側とはまったく異質であることを強調している。

個人的には文化遺伝子に興味があり、2など最近の研究を紹介する本を読んだ。まだほとんどの研究は日本では知られていないが、9など縄文時代の研究で日本人の特異性が明らかになり、それを文化遺伝子で説明できるようになるかもしれない。