政治家として10年。この国のトランスフォーメーションを加速する。

2012年12月16日 第46回衆議院議員総選挙で初当選してから、まる10年が経ちました。サラリーマン時代、時代に合わなくなった古いルールに息苦しさを感じて、ルールを変える側、作る側に回るのだと意気込んで政治家に転身、以来、「テクノロジーの社会実装により多様でフェアな社会を実現する」を政治信条に、規制改革に注力しています。

地元の福山から、4回の選挙で国政に送り出していただき、安倍政権では総務大臣政務官兼内閣府大臣政務官、菅政権では内閣府大臣補佐官(ワクチン担当) 、岸田政権ではデジタル副大臣兼内閣府副大臣の役目を与えていただき、現在は、自由民主党 副幹事長、党 デジタル社会推進本部事務局長、党 新しい資本主義実行本部スタートアップ政策に関する小委員会事務局長を務めています。

公務、政務ともに、志を実践できる役目を与えられ、思う存分仕事ができることに、同僚、諸先輩はもちろん、何より地元福山の皆様のご支援に、感謝しない日はありません。

また、2018年に東京後援会も設立していただき、今週は10回目の政経セミナーを開催することができました。私の国政報告とその道のトップランナーをゲストに招いての対談は大変好評で、今回は安宅和人さんをゲストに招いて、日本のトランスフォーメーションをテーマに議論しました。セミナーで話したことの一部から、最近の問題意識と近況をこちらでも共有します。

<インフラが古くなっている>

コロナ禍とその間の様々な担務から考えたここ数年の問題意識は、この国のインフラがすっかり古くなっている、ということです。インフラというと、橋や道路、電気や水道などの設備を思いがちですが、もっと社会の根底にある、制度、リソース、ガバナンスの3つこそ、いわゆるインフラを支えるインフラで、それらのアップデートなしに新しいものを載せても、古い地盤に合わせたものしかできないというのは皆さんが感じられている通りです。

テクノロジーを社会実装して、多様でフェアな社会を作るという私のミッションとしても、これらのインフラ整備が重要で、向こう3年の注力すべき仕事だと考えています。

この3つのインフラのアップデートのために、現在は下記3つのルートで取り組んでいます。

1:  <制度> デジタル臨時行政調査会

デジタル政策、規制改革、行政改革を三位一体で推進する体制を構築しました。4万の法令にあるアナログ規制から、6月の取りまとめ時点で4000見つかっていたアナログ規制は、さらに5000増えて、現時点で約9,000条項が見つかっています。このうち99%について見直しの方針を確定しており、3年間で予定していた見直し期間は2年間に前倒しすることが発表されました。年内に工程表を策定して公表される見込みです。

また、国・地方の手続について、規制、システムの両面からデジタルで完結できるように、地方自治体の条例の点検見直しのための体制や手順、先進的な取組事例を紹介する地方自治体向けのマニュアルの第1.0版を公表し、国・地方の連携により、保育の認定に必要な就労証明書のデジタル完結など国民や事業者へのサービスの改善を進めていきます。

さらに、見直しに活用可能なデジタル技術を整理したテクノロジーマップと、企業のデジタル技術を掲載した技術カタログの作成が進んでいます。第1弾として、オンライン講習におけるカンニングの検知、席を離れた検知などの不正受験対策について、試行版公表に向けて準備中です。

2: <リソース-1  公務員制度改革>

行政のデジタル化を推進する、高度デジタル人材の特定任期付職員としての採用が始まりました。給与について、現行制度上可能な柔軟な取扱いを明文化して各府省に通知しこれまで人事院に都度都度採用条件については、制度運用の利便性を高めるため、各府省が採用志望者に採用後の給与水準を事前に提示する際の計算を支援するツールを提供し、各府省からの相談にワンストップで対応する民間人材採用サポートデスクが設置されます。これにより、これまで中途採用に2ヶ月程度要していた期間も短縮でき、多様な人材を獲得することが可能になります。

<リソース-2 スタートアップ>

この国の産業構造を大きく転換するキープレイヤーはスタートアップです。今回、新しい資本主義実行本部の下に設置されたスタートアップ政策に関する小委員会の事務局長を務めることになり、先日、政府が策定する「スタートアップ育成5か年計画」に盛り込むべき施策として提言を取りまとめ、岸田総理とスタートアップ政策を担当する後藤大臣に提言を申し入れました。

これまでも政府でスタートアップを支援は行ってきていました。しかし結果的にスタートアップが諸外国に比べて増えていないのは、予算のスケジュールに合わせて単年度で計画されていたことと、支援が所管省庁都合で縦割りになっていることで必要な制度整備が見逃され、と人材が循環してこなかったことが原因だと考えています。

今回の提言とそれを反映した政府案は、5ヵ年計画として中期的に実行できることと、総理の下に司令塔機能を置くことで省庁の縦割りを越えて情報と予算が循環する仕組みとなり、新産業や新規雇用が生まれるエコシステムにできると考えています。

提言の詳細はこちらにあります。

大事なことは、その数字を達成することを目安に、イノベーションが生まれやすく、新しい技術や文化が生まれ、楽しく活気ある社会で私たちが自由闊達に働き、暮らしていけることです。

私自身、こだわったのは、税制含め制度の見直しを一体で行うことでした。歴代の政権の中で初めて重要政策のど真ん中にスタートアップ政策が扱われる今だからこそ、これまで省庁の間に跨ることから触れられてこなかった根本的な制度の見直しに取り掛かりたいと思います。

3: ガバナンス

前回の総裁選から党のガバナンスコードの設置を提案していました。政治の世界も近代化して、民間企業と同様、ガバナンスコードで規律していく必要があると考えています。特に重要なのは女性の登用です。来年の統一地方選挙で女性の候補者を増やすなど、現在、副幹事長の担務として施策の素案を作っており、これから詳細を詰めていきます。

党のガバナンスコードの序文には、このような一節があります。

「組織内部において適切な執行と規律を担保し、運営の状況や意思決定の仕組みについて高い透明性を確保するとともに、党員、所属議員、地方組織、党職員をはじめ多くの国民、ステー クホルダーに対して政治参加の機会を提供し、幅広い政治的な合意形成に努めることは、本党の成長と進化を推し進め、わが国の明るく希望ある未来の実現に資するものである。」

自民党のガバナンスを明示し、政治を近代化していくことで、国民から信頼される政治体制を作っていきたいと思います。なぜなら、社会課題が複雑化する中で、課題を解くためには政治・行政だけでなく様々なプレイヤーと一緒に取り組む必要があります。そのためには、大前提として政治に対する信頼が必要だと考えているからです。

安宅さんとの対談については、非常に示唆に富んだものとなりましたので、後日何かしらの形で共有したいと思います。

先週10日土曜日に臨時国会が閉会しましたが、引き続き党の会議は続いており、来年の提言に向けて議員や省庁との調整に追われました。そして今日この後地元に戻り、明日から11年目が始まります。

10年間、多くの出会いや機会をいただき、当選当初に想像していなかった、多くの成果を上げることができました。同時に、各種個別の課題を解決していく過程で、冒頭にも書いたような日本の根本的な課題を発見し、目指す日本の社会システムの設計図も描けました。

これからの10年は、日本社会を大きく変革するトランスフォーメーションの実行フェーズと捉えて取り組んでいきたいと思います。引き続きご支援、ご指導をどうぞよろしくお願いします。


編集部より:この記事は、衆議院議員、小林史明氏(広島7区、自由民主党)のオフィシャルブログ 2022年12月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は小林史明オフィシャルブログをご覧ください。