安全保障戦略・反撃能力に玉虫色の結論を出す立憲民主党の限界

こんにちは、音喜多駿(日本維新の会 参議院議員 / 東京都選出)です。

政府によりいわゆる「防衛三文書」が改訂され、国家安全保障戦略の転換が注目される中、主要政党の中でスタンスを明らかにしていなかった立憲民主党がようやく「外交・安全保障戦略の方向性」を発表しました。

私も一読をさせていただきましたが、最大野党としてはあまりにも無責任と言わざるをえない玉虫色の内容であり、その点について今日は筆をとりたいと思います。

ただ前段として、先の臨時国会での政策協力を通じて、立憲民主党の政策の中にも是々非々で協力できる部分があることや、所属議員の中には非常に優秀・熱心な方々がいらっしゃることは認識しています。

だからこそ、最大野党としてどっちつかずではなく、しっかりと外交・安全保障についての考えを取りまとめ、国会論戦をリードしてもらいたいとのある種のエールであると受け止めていただければ幸いです。

全体的にけっこうツッコミどころは多いのですが、最大の問題点はやはり「反撃能力」についての記述です。

方針書の5ページ下段から始まる「4.自衛のためのミサイル能力の向上」という項目では、

>我が党は、政府与党が容認したスタンド・オフ防衛能力等による「反撃能力」については以下の懸念を持っている。

と切り出し、先制攻撃になりえるリスクや「専守防衛」「必要最小限」を逸脱する可能性について等を理由に「自公合意に基づく政府の反撃能力」には賛同できないと喝破しています。

カギカッコを自らつけている部分がポイントです。「自公合意に基づく政府の反撃能力」には賛同できないのであれば、「反撃能力」そのものについてはどう考えているのか??

ところが、その肝心要の部分がこの方針では示されないまま終わるわけですね。

自公による政府の反撃能力には賛同できないが、「一方で~ミサイル能力の向上は必要である」と述べた後、さらに「しかし他国領域へのミサイル打撃力の保有については~憲法に基づく専守防衛と適合するものでなければならない」云々と注文が続きます。

一体どっちやねん!!

と素直に読んだ人の多くが思うことではないでしょうか。実際、報道でも「反撃能力を一部容認」などの記事が散見され、それに対して立憲民主党議員が反論するなどの混乱が生じています。

加えて末尾の一文が噴飯もので、

>防衛政策の転換にあたっては、政府からこれらを含めた詳細な説明と国会での徹底した審議が必要不可欠である。立憲民主党は責任政党として国会での議論をリードしていく

つまり立憲民主党が反撃能力に対してスタンスを決められないのは、あくまで政府からの詳細な説明や国会審議が足りないからである、と。そして、立憲民主党が責任政党としてその議論をリードしていくのだぁ(ドヤァ)!

…いやいやいやいや。

すでに野党でも日本維新の会と国民民主党が反撃能力保有は「賛成」と旗幟鮮明にし、共産党やれいわは明確に「反対」しています。

その中でほとんど唯一、反撃能力について党内の意見もまとめられない政党が、どうやって「責任政党として議論をリードしていく」というのでしょうか。

この方針を読んだ多くの人が同じ部分でツッコミを入れ、また野党第一党の安全保障政策や政権担当能力に疑問を覚えたものと確信をするところです。

新聞報道によると、この立憲民主党が発表した方針には所属議員からも「何も決められない政党だと自ら露呈したようなものだ(要旨)」などの声があがっており、取りまとめを担当した玄葉議員も

「自分が思い描いていた内容ではない。(要旨)」

と記者会見で悔しさをにじませていたようです。外交安全保障は国の根幹であり、野党も現実路線で政府与党と対峙してこそ建設的な議論が成立します。

党内の共産党に近い「リベラル」勢力におもねり、玉虫色の方針しか出せないようでは、残念ながら野党が大きな塊として安全保障政策をリードするなど夢のまた夢です。

立憲民主党内の心ある中道派議員たちの奮起には期待しつつ、やはり違う政党は違う政党。是々非々で協力できる部分は強力しつつも、安全保障や憲法分野では日本維新の会は独自に自民党と真正面から議論を交わしてまいります。

それでは、また明日。

立憲民主党執行部 同党HPより(編集部)


編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会)のブログ2022年12月22日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。