メキシコの麻薬組織、今度は軍人を殺害の対象に

 

ジャーナリストと政治家が殺害の対象

メキシコの国立統計地理情報院(INEGI)によると、昨年殺害された人の数は3万5625人。その大半が麻薬組織カルテルとそれに付随している犯罪組織の仕業によるものである。(11月25日付「エル・パイス」から引用)。

殺害の対象にされている人の中で際立っているのがジャーナリストや政治家である。彼らの内情を暴くジャーナリストや政治的影響力を悪用しようとすることを拒否する政治家が先ず最初に殺害の対象にされて来た。

軍人が次の殺害の対象にされつつある

ところが、最近はその対象に軍人も狙われるようになっている。そのひとりが今年11月25日に殺害された国家防衛隊の将軍ホセ・シルベストゥレ・ウルスア氏である。殺害された当日はサン・ルイス・ポトシーとアグアスカリエンテスの州境で国家防衛隊はカルテルとの激しい銃撃戦になり同将軍は死亡、そして4人の軍人が負傷した。

ウルスア将軍は犯罪の鎮静化が目的で10カ月前から上述の2の州に隣接したサカテカ州に配属されていた。殺害された丁度その日がサカテカ・プランⅡと称して犯罪の鎮静化の為に1900人の軍人と1600人の国家防衛隊員を同州に増員して丁度1年が経過したばかりであった。

それからひと月も経過しない内にタマウリパス州の米国と国境を接する都市ヌエボ・ラレドに駐屯する第16連隊の大佐ホセ・イシドロ・グリマルド氏がハリスコとサカテカの2州の州境で12月10日に誘拐されてから消息不明になっている。誘拐したのは、メキシコで最も狂暴なカルテルとされているカルテル・ハリスオ・ヌエバ・ヘネラシオン(CJNG)だと判明している。

同氏は短い休暇を終えて戻る途中、2台の車があたかも交通事故を起こしたかのように路上に止まっていた。そこを通過しようとしたグリマルド氏の車がこの2台の車によって通行を阻止され、同氏が乗っていた車から連れ出されたもの。この事件を起こしたCJNGのリーダーは通称CRTという呼び名で知られているフアン・カルロス・ピサノ氏だと推定されている。12月19日付「インフォバエ」から引用)。

同月16日には、同氏は拷問され後に殺害されたという情報が流れたが、ハリスコ州当局ではそれを否定した。しかし、現在まで彼の行方は消息不明になっている。