寓話「長生き出来る薬」

長生きが出来る薬が出来ました。

国民は大喜びでその薬を欲しがりました。

国は大金を払ってその薬をたくさん買い込み、国民にただで配りました。

でも半年たっても死んでしまう人は減りません。

薬屋は言いました。

「半年おきに飲み続けないと効果は出ないようです」

国は更に薬を買って国民に配りました。

すると、おかしなことがおき始めました。

なんと薬を配る時期に限って死者が増えてしまうのです。

国民がどんどん死んでいるのですが、それが薬のせいなのかはよくわかりません。

おかしいと気づいた人たちが声をあげ始めました。

でも多くの国民は、

「国がやってることなんだから大丈夫だろう」

と言って聞く耳を持ちません。

国も、

「国民が信じてるんだからこのまま行こう」

と動きません。

誰も、自分の頭で考えたり判断して行動することができません。

周りをキョロキョロ見て誰かの言うことに従っているだけです。

結局、国は薬を買い続け、国民はそれを飲み続けました。

もちろん、国は衰退してしまいました。

長生きできる薬とは一体何だったのでしょうか?