Twitterの買収で話題になっているイーロン・マスク社長。私はツイ廃なので、彼の改革がどの様に進むか目が話せず毎日毎日イーロン・マスク社長のツイートをウオッチし、TwitterのSpaceも逃さず聞いています。
彼の発言に触れれば触れるほど大変面白いことがわかります。
私の本である「世界のニュースを日本人は何も知らない」、シリーズ最新作「世界のニュースを日本人は何も知らない4 – 前代未聞の事態に揺らぐ価値観 – (ワニブックスPLUS新書) 」では、海外の特に北米や欧州の経営に関して解説しており、日本との違いも指摘していますが、マスク社長の経営スタイルは、北米や欧州で最近はやりのやり方とは随分違うのです。
北米や欧州の経営者というのは非常に表層的で、軋轢を生みたくないので外交的な発言ばかりします。
要するに綺麗事が大好きです。
なぜなら、綺麗事を言っておかないとありとあらゆるところに敵を作り攻撃されるからです。
ですから、これらの国の企業はCSRや差別反対、環境への配慮などに熱心なように見せかけているのです。あくまでリスク回避のためです。しかし本心で思っている経営者は多くはないでしょう。なにせ会社で実際に働けば利害関係バリバリ、思いやりなど一切なく冷徹で、とにかく自己中だからです。
ところがマスク社長はTwitterでの発言もSpaceでも実に単刀直入。良いものは良い、良くないものは良くないとはっきりいいます。見ず知らずの一般ユーザーの質問に返答します。まるで大学のイベントやラボのメーリングリストです。彼のタイムラインにいると、一般ユーザーの自分も同じプロジェクトにいるような気になります。
私はこんな経営者はこれまで見たことがありません。
そして、納得しないことがあれば、Appleの社長でもマスコミでも、いきなりTwitterでメンションを飛ばして質問します。単刀直入です。相手の会社にたった一人で出かけていって話をします。
まるで昭和の中小企業のおやじさんではないですか。
そして彼がTwitterでやっていることは以下のとおりです。
- 経費無駄遣いするな
- 無駄な会議はやめろ
- 嘘を付くな
- 透明化しろ
- 会社に来てみんなで一生懸命働け
- 製品の品質をアップしろ
- ユーザーの声を聞け
オタク向けのTシャツ(作業着)で、ピザとSFが大好きな社員と汗を流し、オフィスのソファで寝て、ラーメン二郎とカフェイン抜きのダイエットコークが大好きで、メッセージは一行。ユーザーになにか頼まれれば「俺がやってやるよ」という。
世界一の富豪は、実は「昭和スタイルな熱血社長」だったのです。
ハイテク社長の本質は世界一速いバイクを作りたかった本田宗一郎、外に音楽を持ち出したかった盛田昭夫だったのです。
この熱意と泥臭さは、零細自営業やイラストレーターが少額決済が可能になったことで自活できるようになり、地上に戻ってくるロケットを作り出し、自動運転が可能なトラックを走らせている。
これまでもてはやされてきた金融ゲーム、アボガドスムージーを飲みながらヨガをやるマネージメントは終焉を告げるでしょう。
彼らはタピオカ入りドリンクを飲みながら、差別と環境に関するおしゃべりをするのに多忙すぎて、変革をもたらさなかったのです。
世界を動かすのはシンプルさ、真摯さ、熱意、正直さなのです。
ウクライナで命をかけて泥だらけの塹壕で戦う人々と同じ様に。
アメリカを始め欧州でも若い人が日本の昭和歌謡やシティポップが流行っていますが、それは彼らがダサいけども熱意があった時代に惹かれているからではないでしょうか。