語学教育・公明党・野党を深田萌絵さんと語る

「日本の政治「解体新書」:世襲・反日・宗教・利権、与野党のアキレス腱」(小学館新書)をタネにした深田萌絵さんとの対談第二弾。

テーマは安倍政治と岸田政治の比較論。日本のリベラルや野党はなぜダメなのか。民主党政権はなぜ成果を上げられなかったのか(高速道路無料化や子ども手当を論じています)。公明党と旧統一教会がどう違うのか。マイナンバーカードと通名についてなどです。

深田さんの鋭い突っ込みでいろんなことがクリアになっていますので、ぜひ、深田萌絵TV(https://www.youtube.com/@FukadaMoeTV)の動画をご覧いただきたいと思い増すが、ここでは、語学教育の問題について、私の持論を紹介しておきたいと思います。

番組では、安倍内閣は外交120点、内政75点。岸田政権は外交70点、内政40点。国防は外交のなかに含めた点数です(笑)

岸田さんについては、現状では笑うしかありませんが、安倍さんなぜ内政では75点に留まったかです。それは、外交や防衛では安倍さんが自分で頑張ればそこそこのことができたのですが、内政ではサボタージュされるとなかなか成果が出なかったのです。

以下、外国語についての入試改革などについての私の意見です。

安倍内閣のときに、大学センター試験において英語の4技能(読む・書く・話す・聞く)を重視しようと、英検やGTECなど7種類の民間試験を使うことを下村博文文科相が試みたのですが、英会話ができない英語の先生たちの抵抗でつぶされました。

英会話がいまのようにできないままでは、日本人が国際競争において他のアジア人に優位を占めるなんて無理な話です。その意味でとても大事な改革となるはずだったのです。もちろん、スタート時期に少々の混乱と試行錯誤などあるでしょうが、いまのままにしておく弊害に比べたら取るに足らないものでした。

しかし、高校も受験産業も変化を嫌いました。高校の先生もそのまた先生である英文学者たちにとっても、古い英米文学の話でお茶を濁す方が、外国人教師とかもっと生きた英語ができる専門家に仕事を奪われないで済むわけです。

そこで、入試改革が始まるはずだった2020年の前年に文科相だった萩生田光一氏が少々の不公平が生じても仕方ないという「身の丈」発言が炎上し、せっかくの入試改革をつぶしてしまったわけです。延期ならともかくふざけた話です

英検やGTECなどは資格試験であり、何度でも受けることができます。大学に提供されるのは高3で受けた2回ないし1回の試験の成績ですが、金持ちや都会の高校生のほうが練習で多くチャレンジできるという理由で、反対派は不公平だと声を上げたわけです。

それに対して、萩生田氏は「『あいつ予備校に通っていてずるい』というのと同じ」と反論したが、高校生の境遇によって受験回数に差が出ることについては否定しなかった。しかも、なぜか「身の丈に合わせて頑張ってもらえれば」と、いかにも経済的、地理的な格差を容認する印象を与える言葉遣いをうっかりしたばっかりに、揚げ足を取られて袋だたきにあったのです。萩生田さんは政治的影響を恐れて逃げ出した形となり、日本の英語教育を変えるチャンスを逸することになりました(萩生田大臣もベストを尽くされたとは思います)。

これまでの英語教育は、正しい文法や発音の習得など言語学的学習に重視され、〝生きた英語〟の習得は軽視されてきました。大学の先生にとっても自分の専門の英文学の講義をしているほうが楽です。さらに、学習塾や参考書業界も入試改革に反対しました。結局のところ、学会・教育界、業界の秩序が乱れるのが嫌だったのです。

また、受験生にとって不公平であるという批判がされましたが、現在よりも不公平であるという理由もないし、英会話の重視は確実に子どもたちの未来にとってメリットが大きいのです。しかし、制度変更は受験生を不安にさせるので、悪い大人たちは受験生たちの心理を弄んだのです。

なかには、会話などできなくても、文法がしっかりした言葉を話す方が尊敬されるから問題ないという人もいます。

しかし、それがナンセンスだと分かるのは、第二外国語のほうが上手にしゃべれるという人が多いことです。

私は第二外国語がフランス語ですが、最初から東京大学の教養課程でフランス留学した先生方に学び、フランスの生活の話を聞き、まさに読む・聞く・話す・書くの四技能をそれなりに学んだのでそこそこ話せました。

さらに、通商産業省に入って留学生試験を何か受けろと指示されて、フランス語を勉強することにしました。日仏学院に通ったり家庭教師を雇いましたが、みんなフランス人ですから英語より上手に話せるようになるのに時間はかかりませんでした。

同様のことは、渡部昇一先生もいってました。英文学者なのにドイツ語の方が会話能力は上だと苦々しく仰っていました。

この動画でも、深田さんも自分の体験から、中国語の方が話しやすいといったことを体験談として仰っています。