新成人341万人で過去最多!18歳成人で初の成人の日。若者の声を聞ける国になれるか

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アスリートや芸能界など新成人は幼い頃から大活躍してきた

今年も成人の日を迎えた。

今年新成人となった著名人と言えば、芦田愛菜さんと鈴木福さん(18歳)だろうか。「マルモリ」で知られるドラマ「マルモのおきて」が放送された2011年から12年が経った。当時の子役としてブレークしていた本田望結さん、谷花音さん、小林星蘭さん、鈴木梨央さん(18歳)などが、一気に今年、新成人となった。

将棋の藤井聡太さん(20歳)も代表的な新成人といえるかもしれない。既に多くの方がご存知のように、2016年に史上最年少の14歳2か月でプロ入りし、そのまま無敗で公式戦最多連勝記録(29連勝)を樹立するなど、現在も5冠と活躍を続けている。

スポーツ選手では、北京オリンピックで銀メダリストとなったフィギュアスケートの鍵山優真さん、東京オリンピックで銅メダリストとなった卓球の張本智和さん(19歳)、フィギュアスケートの紀平梨花さん(20歳)も新成人となった。

プロ野球選手ではギネスブックにも登録された最年少完全試合バッテリーの千葉ロッテの松川虎生さん(19歳)も新成人であり、ワールドカップで話題になったサッカーでも若手が活躍したが、サッカー好きとしては、レアル・マドリードの中井卓大さん(19歳)も新成人として紹介しておきたい。

その他にも、「なにわ男子」の道枝俊佑さんと長尾謙杜さん(20歳)、「Snow Man」のラウールさん(19歳)、歌手のAdoさん(20歳)、「NiziU」のMAYAさんとRIKUさん(20歳)、RIMAさんとAYAKAさん、MAYUKAさん(19歳)、MIIHIさんとNINAさん(18歳)、「日向坂46」の小坂菜緒さん(20歳)をはじめ坂道グループからも「乃木坂46」の池田瑛紗さん、伊藤理々杏さん、掛橋沙耶香さん、柴田柚菜さん、中西アルノさん、矢久保美緒さん、「日向坂46」の金村美玖さん、濱岸ひよりさん、「櫻坂46」の幸阪茉里乃さん(20歳)なども新成人となった。

「JO1」の豆原一成さん(20歳)、「INI」の松田迅さん(20歳)、木村拓哉さんの次女Koki,さん(20歳)、南沙良さん(20歳)なども新成人だ。

歴代最多の341万人が新成人に。初の18歳成人による成人の日

2022年4月1日、「18歳成人」とする民法の一部を改正する法律が施行され、経過措置により、施行日時点で18歳以上20歳未満の者も同日に成年に達することとされた。このことで、この1年間(2022年1月~12月)に新たに成人に達した人口は過去最多の341万人となった。

一方で、20歳だけで見ると、117万人で前年に比べ6万人減、19歳も113万人で前年に比べ5万人減、18歳も112万人で前年に比べ2万人減となっており、少子化による影響は拍車をかけている。

昨年の成人の日に、「最後の20歳成人の成人式。世界から遅れる日本は若者が活躍できる18歳成人時代の構築を」と題してコラムを書きました。

「18歳成人」については、2018年に書いた『法案成立で2022年から「18歳成人」は何を変えるか』なども参考にしてもらえればと思う。

2015年に選挙権が18歳に引き下げられたことは記憶にある方も多いと思う。この選挙権年齢引き下げは戦後初となる70年ぶりの拡大となり、歴史的にも大きな変革であり、私自身はこの選挙権年齢引き下げを大学生だった2000年から15年もかけて仕掛けて実現した。

国民投票法の付則に明示されていることから、この選挙権年齢の引き下げの後も宿題として残っていたのが成人年齢の引き下げだった。

この辺りについては、2016年に書いた『どこよりも詳しい「18歳成人」解説。被選挙権年齢引き下げにつなげ!』にも書いたように、「18歳成人」や「18歳選挙権」は、第1次安倍政権であった2007年5月に成立した日本国憲法の改正手続に関する法律(以下、国民投票法)がきっかけになっている。その附則第3条第1項の「満18年以上満20年未満の者が国政選挙に参加することができること等となるよう、選挙権を有する者の年齢を定める公職選挙法、成年年齢を定める民法その他の法令の規定について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるものとする。」と明記されたことから始まった。

詳しくは、著書『子ども白書2016 18歳「成人」社会~「成人」とは何か~』(本の泉社)なども読んでもらえればと思うが、私たちの仕込んだこの国民投票法の仕掛によって2015年5月に「18歳選挙権」が実現、「18歳成人」へと繋がった。

さらに宿題として残るのが被選挙権年齢の引き下げ

初の18歳による国政選挙が行われたのが2016年だった。自民党では党の政策決定を行う政務調査会に「若年成人の教育・ 育成に関する特命委員会」を設置し、初回会合では、私が有識者として招かれ、成人年齢引き下げに関する課題と同時に、被選挙権年齢引き下げを含めて、若者を当事者として参画させながら育てていく環境整備の重要性などを指摘したことを思い出す。

「18歳選挙権」と、今回の「18歳成人」の実現でもさらに宿題として残るのが、「被選挙権年齢の引き下げ」だ。

世界各国の被選挙権年齢を比較してみると、17歳が1.0%、18歳が33.3%、20歳が0.5%、21歳が29.2%、23歳が2.6%、25歳が28.2%、28歳が0.5%、30歳が4.6%となっている。

選挙権年齢と異なり、被選挙権は世界の傾向は大きく18歳、21歳、25歳の3つに分かれる。

これは、被選挙権年齢を選挙権年齢と合わせて18歳としている国と、当時21歳が成人年齢の主流であった中で成人年齢と被選挙権年齢を合わせていた国、成人年齢よりさらに高い年齢に被選挙権をおいていた国とに分かれていたためだ。

一方で、ドイツ、フランス、英国、スウェーデンなど欧州諸国は成人年齢引き下げなどのタイミングで軒並み被選挙権年齢は18歳へと引き下げられている。

日本の被選挙権年齢は、国際比較で使われる下院に当たる衆議院議員をはじめ都道府県議会議員、市区町村議員、市区町村長までが25歳、上院に当たる参議院議員と都道府県知事が30歳となっている。

被選挙権年齢も先進国とされるOECD(経済協力開発機構)の加盟国(36カ国)で見ると18歳が21カ国(58.3%)と過半を占める。

先進国は未来に対して当事者となる若者の声に耳を傾けるとともに政治参画を促す方向に制度変更する傾向があり、近年もフランスが2011年に法改正を行い下院の被選挙権年齢を23歳から18歳に、英国も2006年の法改正で21歳から18歳に引き下げている。

先進国で下院の被選挙権年齢が25歳に残る代表的な国には、日本のほか米国や韓国が挙げられていたが、昨年、韓国では18歳に引き下げられて大統領選挙なども行われた。

日本においては、30歳未満の国会議員は一人も存在しない。

海外の研究においては、被選挙権年齢が相対的に低い国は、若い政治家の数が多くなる兆候があることも報告されている。

2019年に『【若者の立候補意識調査】被選挙権も18歳に引き下げると、45万人の若者が立候補する』というコラムも書いたが、被選挙権年齢の引き下げによって、立候補をしようという意志のある若者はこの国にもいる。

この国の未来を考えれば、未来により大きな責任を課されるとともに、その当事者となる若者たちに政治の世界においても活躍してもらう環境を創っていくことは、この国の未来にとって非常に大きな価値を生み出すのではないだろうか。