いよいよ大学共通テストが直前に迫ってきました。筆者は昨年に引き続き受験指導を行ってきましたが、ぜひ生徒には本番で持っている力を100%発揮してほしいと願っています。
ところが、非常に気になるのが第8波ともいわれる新型コロナの感染拡大です。昨年11月に、文科省は「昨年と同じような追試験等の配慮はしない」と発表したので心配していましたが、最近の感染者増加やオミクロン株の弱毒性を考慮したのか、12月末に感染対応を緩和する旨を発表しました。
【大学受験2022】オミクロン濃厚接触者、別室受験認める…文科省
「オミクロン株の感染拡大が危惧される中においても1人でも多くの受験生が適切に試験を受けられるようにすることが必要である」というのは適切な判断だと思います。確かに一歩前進ではありますが、あらためて受験要項のQ&Aを読んでみますと、受験生や保護者にとってなかなか判断が難しく、手続きも面倒であることがわかります。
令和5年度大学入学共通テストにおける新型コロナウイルス感染症対策等に関するQ&A
これでは特に心配性な受験生は、不安感から受験に集中できなくなる恐れもあります。
昨年並みの追試験の配慮がない理由として、
「免疫抗体の獲得」「オミクロン株の特性(潜伏期間が短く軽症・無症状が多い)」
があげられますが、”本試験が受けられない受験生でも、2週間後なら皆追試験は受けられるはず”という判断がなされているようです。一見もっともらしい見解ですが、実際の感染パターンはもっと複雑であり、追試験を受けられなくなるケースも考えられるのです。思いつくだけでも、
- 濃厚接触者で風邪の症状もあったのでコロナを疑い本試験を欠席したら、その時実際は陰性で追試験の直前に新型コロナに感染した。
- 新型コロナ陽性と判定され本試験を欠席したが、実は偽陽性で本当は陰性だったため、追試験の直前にコロナに感染した。
- 新型コロナに感染したため無症状だったが本試験を欠席、しかし追試験の直前にインフルエンザ(又は別のコロナ変異株)に感染し発熱した。
などのケースが考えられます。
現在のオミクロン株の弱毒性を考えれば、指定感染症5類相当に下げインフルエンザと同じ発症・発熱対応にすれば、陽性者、感染無症状者・軽微な者(発熱がなく咳もひどくない等)、濃厚接触者はすべて本試験が受けられるようになるはずです。しかし直前では法改正が間に合うはずもありません。
そこで当事者の一人として要望ですが、各受験会場ではできるだけ柔軟な感染対応をしてほしいのです。具体的には濃厚接触者かその疑いがあっても、無症状なら一律に別室受験できる対応を取ってほしいと思います。本音を言えば感染(陽性)無症状者の別室受験も認めてほしいのですが、感染(陽性)の事実がわかった場合には、決められたルールを曲げることは難しいでしょう。
ただ頭にとどめてほしいのは、ルールを厳格に適用しようとすればするほど、無理をしたり実態を隠したりして受けようとする受験生が増える可能性があるということです。受験生の立場になってみてください。一生の進路・人生を左右しかねない場面で、追試験にまわったり、下手をすれば受験できなくなったりするリスクをできるだけ回避したいと考えるのは当然ではないでしょうか。
こうして感染した受験生が無理して受験するケースが増えれば、受験会場で他の受験生への感染拡大リスクがまし、ひいてはその後の私大試験、2次試験にも混乱をもたらします。
現在の新型コロナの感染拡大状況からすれば、受験生の多く(数%以上?)が感染・陽性になっても不思議ではありません。繰り返しになりますが、受験生にとっては一生を左右する大事な試験です。主催者・会場担当者には、できるだけファジー・柔軟な対応をお願いしたいと思います。