稼ぎが○分の1になったユーチューバーが本当にオワコンになる理由

コロナを春ごろから5類に移行すると報じられています。海外に住む私には直接的には関係ない話ではありますが、想像するに5類になってもマスクを取るのは恐る恐る、という感じで案外、ずっとマスクの人も残る気がします。

ここカナダでもアジア系のスーパーに行くとマスクをした方は割と目立ちます。欧米の人に比べアジア人は敏感に感じます。最後は自己判断で基礎疾患や健康的懸念があると思う人はマスクを続けた方がいいのかもしれません。ただ、精神衛生的な面ではもう少し研究も必要でしょう。マスクがない生活は当たり前だけどすがすがしいですよ。

では今週のつぶやきをお送りします。

アメリカのハイテク株は底打ちか?

今週、マイクロソフトとグーグルの親会社、アルファベットが従業員削減策を発表しました。これでハイテク大手のリストラはアップルを除き、ほぼ全部出そろったわけで数週間後の10-12月決算を待つばかりとなりました。業績悪化はある程度織り込んでおり、その対策が前倒しで発表されているので株価の下値はそれほど深くないように見えます。そうかといってこれからグイグイ株価が上伸するとも思えませんが、とりあえずは安堵できる状態になりつつあるように感じます。

一方、銀行、金融はもう少し様子を見たいところです。先般ゴールドマンサックスが大規模な人員削減を発表しキャピタルワンも人員削減をしました。人員削減をしなくてもドイツ銀行のようにボーナスの削減などを含めた対策はしばらく出そうです。理由は新規貸し付けやM&Aが激減しているからです。私は雇用のリバランス化という見方をしてますが、ハイテクのエンジニアや金融のマネーマンをリバランスすると言っても何処でもよいという訳にもいかず、案外難しい話のようにも見えます。

もう一つ、FTXの倒産以降、すっかり影を潜めていた暗号資産ですが、以前からビットコインは16000㌦あたりが底だと申し上げていました。それは採掘コストが12000㌦程度なのでそれ以上は下げにくいからです。事実この2週間で確実に上昇し、現在22000㌦台で上昇バイアスを維持しています。FTX絡みで連鎖倒産が今でも出ていますが、これも暗号資産を社会が受け入れるための試練であり、ビットコインとイーサリアムはその根幹をなすインフラなので、消滅するとか、暴落して紙くずになることは考えにくいのです。人々の意識は着実に変わるはずでそれまで待てる人がこの投資では勝ち組になるでしょう。

「坂の上の雲の上」、日本の物価考

12月の物価が41年ぶり4.0%上昇と報じられています。欧米の物価上昇が打ち止め感が出ているのに対して世界の流れにまだまだ遅行しています。これは時々指摘しているように企業物価が2桁上昇しているのにそれを我慢し続けてきたツケであります。いつかは乗り越えられると思っていたけれど我慢の限界が来た、というわけです。日本の場合、ここからの癖が非常に悪いのです。それは「みんなで上げれば怖くない」で今後、どんどん追随者が出てくる点です。

例えば東電が電気料金値上げを申請し、家庭用で3割上げるとしています。これなどは物価指数にもろに出てくるわけで日本の物価は当面上昇続きになりそうです。更にそれを側面支援するのが企業の賃金上昇でユニクロが賃金の40%引き上げを発表したのはインパクトがありました。これも追随者が出るはずで多くの上場企業は企業イメージ向上を含め、ベア復活あるいは大幅賃金上昇が春闘を通じて実現されるでしょう。

そうなると消費がブーストし、引き続き外国からの観光客も下支えし、企業業績は良好となり、更に物価は上がりやすくなります。驚いたのはJR九州の「ななつ星in九州」の雲仙コースがお一人115-240万円と高額にもかかわらず1-2月分は完売しているとの報道です。数年前まで「安いことはいいことだ」だった日本は明らかに変わりつつあります。というより昔から多くの人は普通にがっつり消費していただけの話でメディアが所得的に厳しい方々にアンバランスなほど焦点を当てたからで認識の歪みが起きたというのが私の見方です。今は「坂の上の雲から抜けつつある」ということではないかと思います。

ユーチューバーに迫る影

「お父さんはユーチューバー」(浜口倫太郎著)を読むと小説ながらユーチューバーに飛びつく気持ち、のめり込み、どんどん過激になっていく様子が目に浮かびます。この書は2020年7月に出ているのでまだユーチューバーがイケイケの時だったわけですが、今、これを読むと冷めた目で違う印象になるのが不思議です。そのユーチューバー事務所の代表格がUUUM社。HIKAKINが最高顧問を務めることもありますが、上場後はしばらく話題で株価も6000円を超えていましたが、現在は700円絡みで上場来安値水準です。

YouTubeだけでない近年のビジネスの難しさ

ユーチューバーの稼ぎが何分の一というレベルで下落し、苦戦している人が多いと報じたデイリー新潮の内容は私ならば子供たちに読ませたいです。かつては小学生がなりたい職業の三本指に入るほどでその理由は、と聞けば「楽しいことして稼げるから」でした。楽しく稼ぐことは大賛成ですが、ビジネスモデルは今や5年ぐらいでどんどん変わっていくのです。つまり小学生の皆さんが大学生になるころにはそのビジネスは本当にオワコンだということです。

これはユーチューバーがオワコンというよりどんなビジネスでも非常に足が速くなり、栄枯盛衰でビジネスの勝者は目まぐるしく変わるということです。個人的想像ではあと数年でメタバースを利用した一般向けビジネスが何らかの形で花咲くでしょう。すると「おまえ、まだユーチューバーとかやってんの?古いな」となるわけです。それを言われると私なんか「お前、ブロガーやっているんだって。もう死蔵ものだな」と指摘を受けそうですが。「稼がないブロガー」なのでお許しください。

後記
大手設計事務所の役員氏と立ち話。建築部材が中国から入らないし業者の工事の見積もりは当初の5割増しは当たり前、それでも新規の開発案件は無尽蔵にあると。私が進める物件でも見積もりしてから1カ月後にあと1割上乗せしないと工事をやらないという無謀なケースもあります。飲まざるを得ないのですが、幸いにして今のところ私は予算の枠内。ですが、一般にはこの無謀なほどの工事費は最終的消費者に付け回されます。6-7年後のカナダの住宅は今より5割増しでもおかしくないです。日本は買い負けの価格上昇圧力が必ず来るでしょう。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年1月22日の記事より転載させていただきました。