ChatGPT が駆逐するのは検索エンジンではなく「創造力のない人間」

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昨年末から、ChatGPTが話題になっています。これは、OpenAIが開発したチャットアプリケーションサービスです。

OpenAIには、マイクロソフトが出資しており、さらに100億ドル(1兆3000億円)の追加出資をすると発表しました。

マイクロソフトは、このサービスによってシェア、9割を超えるグーグルの検索エンジンに代わるポジションを狙っているとされています。

既に無料のサービスとして提供が開始されており、簡単な登録をするだけで誰でも使うことができます。私も早速登録して、質問をいろいろ入れてみました。

例えば「藤井風のへでもねーよの歌詞の意味を教えてください」「内藤忍のプライベートについて教えてください」などと入力すると、すぐに人間が書いたかのような文章がスラスラと出てくるのには驚きます。

あるいは「中古ワンルームマンションの投資の魅力について1,500字で説明してください」といった問いかけをすれば、それなりの文章が出てきました(写真)。

確かに、自然な文章ではありますが、その内容に関しては、正確なものもあれば、あまり役に立たず、不正確なものもあります。わからないことは、正確かどうか自分で調べなければなりません。

今後、精度が上がっていけば、さらに高いレベルの自動回答が作成されるようになるはずです。

回答が既に文章として完成していると言う点では、検索エンジンより便利と感じる人もいるでしょう。

大学生のレポートなどは、クオリティはともかく、コピハリで瞬時に完成してしまいます。

もしかしたら、毎日書いている私のブログも、時々ChatGPT が代筆しても気付かれないようになるかもしれません。

実は、文章作成と言うのは、クリエイト(創造)する部分は極めて少なく、ほとんどは過去に作られた誰かの文章のエディット(編集)に過ぎません。

ChatGPTは、膨大な情報を処理していますから、この編集能力が人間に比べ圧倒的に高いといえます。しかし、クリエイトする力は人間には劣るはずです。

逆に言えば、編集だけの文章は、いずれ人間ではなくChatGPTに置き換わる可能性があると言うことです。

とすれば、ChatGPTに駆逐されるのは検索エンジンではなく、創造力のない人間ではないでしょうか?


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年1月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。