増税には反対、教育の無償化と減税・社会保険料減免の断行を!

こんにちは、音喜多駿(日本維新の会 参議院議員 / 東京都選出)です。

4月の統一選に向けて擁立目標90名、現在は70名近くまで公認予定を発表することができました。

それでもまだ「空白区」もあります。時間は限られているものの、これから挑戦しても決して遅くありません。

政策実現に向けて、改革の同志はまだまだ募集しております。

公募ページ
https://o-ishin.jp/election/district/

さて、衆議院本会議には馬場伸幸・党代表が登壇。議席も増えたおかげで35分の持ち時間となり、経済政策から外交安全保障、教育の無償化など子育て支援、憲法改正から皇室制度まで幅広い質疑を行うことができました。

増税には明確に反対し、総合経済対策として減税や社会保険料の減免を改めて主張。

そして憲法改正や、なぜか与党も二の足を踏んでいる皇位の安定継承について後押しができるのは維新だけ。

維新・馬場代表、安定的な皇位継承へ「与野党協議会を」 衆院代表質問で提起
https://www.sankei.com/article/20230126-QOXQRWEVOJNR3G77QS5JSFM2AI/

明日の参院代表質問、そして来週から始まる予算委員会でさらに議論を深めていきます。

それでは、また明日。

■以下、馬場代表の質問全文■

日本維新の会の馬場伸幸です。

令和5年の干支、癸卯(みずのと・う)には「春の兆し」や「物事の終わりと始まり」の意味があると言われます。日本は戦後最大の転換期を迎えており、あらゆる面で構造改革に着手し、その流れを軌道に乗せる年にしなければなりません。

前国会の成果

昨年、わが党はこれまで掲げてきた政治理念に基づく政策のいくつかを国会活動を通じて実現することができました。
旧統一教会の被害者救済法案は、もともと次の国会へ先送りし、ほとぼりが冷めるのを待とうとしていた政府与党に議員立法で対案を示し、前国会中の成立を実現しました。粘り強く国会質疑と折衝を繰り返すことで、抜け穴だらけだった当初の政府案に一定の実効性を持たせることに成功しました。
新型コロナ等の感染症法改正では、わが党の発案により、2類相当から5類への変更に関する文言が法案に追記されました。これが与野党及び政府の決断を促し、新型コロナの感染症法上の位置づけの見直しは現在、政府の具体的な方針として進められています。

身を切る改革では、日本維新の会が持つ科学技術・イノベーション推進特別委員長のポストを自ら返上することで、ほぼ開かれることのない特別委員会に委員長手当や公用車などの無駄な税金がつぎ込まれていることに対して問題提起をし、結果的に特別委員会を一つ廃止することができました。小さな変化ではあるものの、これまで誰もやろうとしなかった政治家の特権排除の具体的な成功事例として画期的な変化が起きました。日本維新の会はこれからも身を切る改革の理念の下、確実に一歩一歩国会改革を積み重ねていきます。

国家安全保障戦略等の安保三文書の改定については、前国会冒頭の本会議代表質問での答弁に基づき、私と岸田総理との間で議論の機会が設けられました。深刻化する安全保障環境の中で国家と国民を守り抜くという政治の責任を果たすため、自民党案よりも一歩踏み込んだ防衛力の強化を主張しました。結果としてそれに近づく形で、安全保障上の抑止力となり得る反撃能力を保有する方針が安保三文書に明記されました。

その他にも、合法的ではあっても国民の理解が得られていなかった国葬義について、本来あるべき法律の姿をわが党が与野党で最初に議員立法としてまとめ上げ、国会に提出したことは、その後の国会における検証作業へと繋がっています。物価高・円安に対する総合経済対策では、将来世代への投資拡充を中心に多くの提案した政策が実現しました。園バスの安全装置の無償化や10増10減の期日通りの実行は、わが党が立憲民主党と協力して提出、あるいは準備していた議員立法が、一連の動きを確実にし、加速させたと考えています。

こうした国民と国家にとって望ましい変化を起こすことができたのは、わが党のみならず、志ある政治家が政党の枠を超えて努力を続けた結果です。その中では、岸田総理の決断が推進力となった場面もあったと考えています。

増税

今国会でも、わが党は与野党と是々非々で協力を行う中で、こうした独自の政策理念の実現を目指して国民と国家のために全力で働きます。
その中で、次に達成したい成果の第一は、防衛費増額の財源等として示された「増税路線の撤回」です。
政府は来年度以降5年間の防衛力整備の総経費として約43兆円を確保し、令和9年度以降不足する財源約4兆円のうち、3兆円程度を歳出改革や決算余剰金などで賄い、残り1兆円超を法人税、復興特別所得税、たばこ税の増税で充てるとしています。

日本維新の会は、防衛費の増額には賛成です。しかし、その財源を得るために増税は避けられないという政府与党の説明には違和感を禁じ得ません。なぜ、数多くある方法の中から増税という国民に負担を押し付ける手段を最初から選択するのでしょうか。

政治家がまず身を切り、政治の側が行財政改革を通じた徹底的な歳出削減と経済成長による税収増で賄う中長期的な道筋を示し、どうしても足りない部分は新たな創意工夫で捻出し、もし万策尽きた最後の一滴がどうしても出てしまった場合に限り、最小限の国民負担をお願いするのが筋ではないですか。

そもそも、この増税は昨年末の国会では議論されていません。国会閉会を狙いすましたかのように、その後たった1か月程度で急に決まりました。最初から1兆円の増税ありきで議論しているように思えてなりません。増税以外の財源を探すための努力が足りていないのではないですか。

自民党政権は「新しい資本主義」のような看板を幾度となく掲げて成長戦略と称し、そこに毎年巨額の税金を投入し続けてきました。しかし今、世界の先進国で日本の成長率は最低レベルです。経済成長、それに付随する税収増加が起きなければ、ただの予算のバラマキではないですか。増税を考える前に、経済成長による増収で賄う覚悟を総理が示すのが先ではないですか。

令和4年度補正予算で税収は上振れしています。当初予算は65兆円でしたが、補正後の税収は68兆円になり、3兆円も増えました。コロナ禍からの景気回復が主要因ですので、今後はもっと税収が増えます。今年並みが続いたとして、3兆円の財源が自然に生まれます。こうした税収増はなぜ財源の中で考慮されないのですか。

歳出の自然減もあります。コロナ関連予算はこの3年間で95兆円計上されています。コロナが収束すれば、歳出は年間30兆円以上自然に減ります。防衛費に必要な財源のうち増税分は、その1/30の規模しかない年間1兆円です。歳出の自然減で十分捻出できるのではないですか。

また、国債を60年で償還するという現行のルールを改め、例えば90年償還とすれば、毎年GDP比1%分の5兆円程度の財源が生まれます。採用する考えはありませんか。60年という年数には何の根拠もなく、日本でしか使われていないわけですが、なぜこの数字にこだわるのですか。

そもそも、税率を上げたから税収が増えるわけではありません。円安や物価高騰が続く中で法人税を増税すれば、政府が目指す賃上げに水を差し、経済成長に大きな悪影響を与えますが、問題はないとお考えですか。

昨年の参議院選挙での自民党の公約は増税に一切触れていません。国家運営の根幹に関わる税のあり方の変更であり、衆議院を解散し、総選挙で「国民の信」を問うべきではないですか。

身を切る改革

国民に新たな負担をお願いする前に、国会議員は「身を切る改革」に率先して取り組むべきです。
日本維新の会は結党以来、国会議員の定数の3割カットを訴えてきました。翻って自民党は、平成24年11月の党首討論で当時総裁の安倍晋三元総理が約束した議員定数の1割削減さえ未だ与党として着手すらしていません。
自民党総裁たる総理に伺います。

自民党は昨年の参議院選挙の公約で国会議員の定数削減に触れていません。10年前の約束はどこへ消えたのですか。少なくとも自民党がかつて国民に誓った1割削減は実現させると約束していただけませんか。

常任委員長・特別委員長に対する手当や専用公用車、委員長室は全廃すべきだと考えます。自民党も同調していただけますか。総裁として答弁を求めます。

日本維新の会は、国会議員に毎月、歳費とは別に100万円支給される調査研究広報滞在費、いわゆる旧文通費の抜本改革も訴えてきましたが、使途公開と未使用分の国庫返納に自民党などが応じず、1年以上棚ざらしにされてきました。

今国会での旧文通費改革の実現に向け、自民党は協力すると約束できますか。総裁として答弁をお願いします。

少子化対策

我が国の昨年の出生数は統計開始以来、初めて80万人を割る見通しとなりました。日本は、人口危機という「静かなる有事」に直面しています。
総理は年頭記者会見で「異次元の少子化対策」を掲げましたが、3本柱の児童手当の強化、学童保育などへの支援、働き方改革は、いずれも従来施策の延長に過ぎず、出生率を反転させられるとは思えません。晩婚化、非婚化の問題に光があてられていないからです。
総理にお尋ねします。

人口減少に向かう悪循環から脱するには、若い世代にとって出産と子育てが経済的にも、キャリア形成の上でも負担にならず、プラスになると実感できる社会環境を創りだすことが不可欠だと考えますが、認識をお示しください。

また、そうした社会環境を醸成するためには、児童手当のような給付ばかりに頼るのではなく、税や社会保障の負担を全体として軽減すべきです。

私たちは、ベーシックインカムなどをセーフティネットとする日本大改革プランが実現するまでの過渡的措置して、個人ごとの課税方式を改め、子どもの数が多い世帯ほど税負担を軽減するN分N乗方式を導入すべきだと考えますが、見解を伺います。

個別施策では、全国各地で保育・幼児教育の無償化や、18歳までの子どもの医療費無償化、学校給食費の無償化の取組みが進んでいます。大阪市では、塾代を助成しているほか、幼児教育は国の制度に上乗せして非課税世帯の0~2歳児については大阪市独自の負担により更なる負担軽減を図っています。小中学校の給食費は完全無償化を実現し、来年度以降も継続される方針です。大阪府は私立高校の授業料実質無償化を全国に先駆けてスタートさせました。
そして今度は、吉村洋文知事と松井一郎市長の下、維新の会のリーダーシップにより、0歳児から大学院卒業までの教育費の無償化が、大阪という一地域では実現しようとしています。

少子化の進行による国や地域の活力の減退は地方自治体が最も強く感じています。そうした地方自治体のリーダーシップと自助努力に頼るのではなく、本来は、国が先陣を切って取り組み、地方に恩恵を与えるべきではないですか。

全国に先駆けて大阪で進むこうした正に「異次元の少子化対策」に対して、政府も同調し、後押しをするとともに、優れた取り組みとして全国に広げていくつもりはありませんか。

具体策として、児童手当の給付増額だけでなく、保育・幼児教育、医療費、給食費等について、所得制限を撤廃した無償化を進めるつもりはありませんか。

出産支援について、政府は4月から出産育児一時金を現行の42万円から50万円に増額します。ただ一時金を手厚くしても、医療機関が出産費用を上げるイタチごっこが想定され、効果は不透明です。
これに対しわが党は、出産に保険を適用し、自己負担分はクーポン等の支給で出産費用を実質無料にするべきだと訴えています。

出産費用の高騰も抑えられる、出産の保険適用を政府として導入するお考えはありませんか。

総理は「子ども予算を倍増する」を宣言しましたが、財源のメドが立たず、結論は先送りされています。政策のメニューが煮詰まっていないのに、自民党内では消費税率引き上げの声も上がっています。

安心して子どもを産み育てる環境を整えるには安定財源は欠かせませんが、どのように財源を確保するのですか。家計への負担がかさむ増税は少子化対策に逆行しますが、増税は選択肢にないとこの場で明言していただけませんか。

物価高騰・円安対策

世界的な資源高などによる物価高騰のあおりで、国内の消費者物価は急上昇しています。家計に対する影響を軽減するためには物価高を上回る賃上げが欠かせません。
しかし、政府が民間に期待する基本給の一律引き上げは、内部留保などの余力がある大企業は対応できても、原料高に苦しんでいる中小・零細企業には困難です。
総理にお尋ねします。

わが党が先の総合経済対策で提言した通り、中小・零細企業の物価高を超える賃上げを実現するためには、これら事業者の社会保険料の事業者負担分の半減や、法人税率の引き下げなどの施策が必要と考えますが、見解を求めます。

賃上げを持続可能なものにするには、大企業から中小・零細企業への価格転嫁が不可欠です。しかし、その具体策として政府が期待する企業間取引が適正価格で行われているのか監視するいわゆる「下請けGメン」制度は、長年築き上げた取引先との信頼関係を国からやってきた他人にゆだねるような制度であり、日本の商習慣に合わず機能していないとの声が、事業者から私のもとに届いています。

下請けGメン制度の現状をどう捉えていますか。中小企業に対する価格転嫁政策をより強く推進すべきと考えますが、今後、どのような具体策を考えていますか。

成長戦略

来年度予算案は一般会計で114兆円超と過去最大となりましたが、内実は社会保障費や国債費などの膨張が大きく、他の政策経費は約3割どまりです。税収も過去最高ながら、他の主要先進国と比べると増加が鈍いのが実情です。

成長につながる支出が乏しいがゆえに税収が伸び悩み、財政が硬直化して成長の余力を失う負の連鎖が浮かび上がります。

岸田政権の示す中長期の成長戦略は、人への投資、デジタル・トランスフォーメーション(GX)、グリーントランスフォーメーション(GX)といった成長に繋がる取り組みもありますが、徹底的な改革を行い、成長を呼び込む賢い支出で税収を伸ばし、次の成長投資の財源とする好循環を作り出そうという政治主導の決意や具体的行動が足りません。
総理にお尋ねします。

施政方針演説で総理は、新しい資本主義を「次の段階に進めたい」と訴えましたが、「これまで」についてはどのように総括されているのですか。

新しい資本主義という枠組みに当てはまる様々な政策を五月雨式に出すのではなく、制度疲労を起こしている日本の経済社会のシステムを抜本的に見直す骨太の成長戦略を実行すべきではないですか。

日本維新の会は、税制、社会保障制度、労働市場を三位一体で改革し、経済成長を呼び込む日本大改革プランを掲げています。このプランをどのように評価されますか。

また、各国で経済安全保障体制の整備が進み、世界経済のサプライチェーンが分断しつつある今こそ、次の時代を牽引する技術やサービス、そして、国家と国民に真に必要な物資等についてはメイド・イン・ジャパンを進めるといった戦略的な指針が必要ではないですか。

原発・脱炭素・エネルギー

政府は昨年末にまとめた脱炭素社会に向けた基本方針で、東日本大震災に伴う東京電力福島第一原発事故以来、「想定していない」としていた原発の建て替えや新増設、運転期間の延長を明記し、原発活用へと政策を転換しました。

日本維新の会は、安全が確認され、立地自治体の理解が得られた原発の再稼働の方向性は支持します。しかし建て替えや運転期間延長などを進める前に、政府がやるべきことがあります。

私は昨年12月19日に青森県・六カ所原燃の高レベル放射性廃棄物貯蓄管理センターなどの施設を、今月16日には、この春にも処理水の海洋放出が始まる東電福島第一原発を、それぞれ視察し、政治主導で早期に核のゴミの最終処理に道筋をつけるべきだという思いを強くしました。

国内の原発で保管されている使用済み燃料は約1万6千トンで、電力10社の保管容量の約75%を占めます。原発の再稼働が進めば、さらに余裕がなくなります。しかし使用済み核燃料の最終処分については、最終処分法により地層処分の場所のめども立っていません。再処理工場の稼働も遅れています。

総理に質問します。

使用済み核燃料の最終処分の方法や場所はいつまでに決めるお考えですか。原発の運転期間延長や建て替えを進めるにあたっては、国が責任をもって最終処分地などを決めるためのロードマップを作成し、関係自治体との調整を進めるべきではないですか。

政府の基本方針には、二酸化炭素排出に応じて企業にコスト負担を求めるカーボン・プライシングを来年度から段階的に導入することも盛り込まれました。
カーボン・プライシングは、事業者にとって過度な負担とならず、かつ延命策にならないことが必要であり、民間競争を促進するとともに、国際的な潮流に即した制度設計が求められます。

カーボン・プライシングは脱炭素のインセンティブとして重要であり、制度を速やかに策定し、着実に実行すべきだと考えますが、総理の認識を伺います。

コロナ対策

新型コロナウイルスへの危機対応も大きな転換期を迎えました。政府がこの春、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけを、危険度の高い2類相当から季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げることになりました。

社会経済活動と医療体制の両立を促すべく、日本維新の会は、昨年夏の参議院選挙の公約や昨年10月のコロナ対策に関する提言11弾などで「5類への早期移行」を繰り返し訴えてきました。先ほど述べた通り、前国会での改正感染症法成立にあたっては、わが党の主導で「新型コロナの法的な位置づけの見直しを速やかに検討すること」が附則に盛り込まれました。

かくして私たちの主張が実現する形となりました。やや遅まきながらの方向転換ですが、社会の閉塞感を打ち破る政府の判断を支持します。

課題は感染対策を軽視することなく、医療体制の正常化など、平時への移行を円滑に進めていくことです。

5類への引き下げ後、感染者は発熱外来などに限らず、一般病院や診療所でも受診することができるようになりますが、受け入れ実績がない医療機関の忌避感は拭えないと指摘されています。自治体からのコロナ病床確保の要請がなくなれば病床は他の病気の患者で埋まり、感染拡大時に重症コロナ患者が行き場を失う恐れもあります。
総理に質問します。

5類移行後、医療体制をどのように確保していくお考えですか。コロナ患者受診や病床確保のための医療機関への支援について、2類相当下での補助金を主軸にした体制から、診療報酬の改定によって患者を受け入れる医療機関を拡大していく体制に移行していくべきだと考えますが、所見を伺います。

新たな変異株の登場などで医療体制が再び逼迫する可能性はあります。危機管理上、あらかじめ緊急事態宣言に代わる行動制限を発動する仕組みを構築すべきではないですか。

報道によると、政府は治療費の全額公費負担を段階的に縮小していく方針ですが、無用な混乱を招かない制度設計が必要です。どのような段階になったらインフルエンザと平仄を合わせた、通常の保険診療に移すお考えですか。

マスクの着用については、5類への移行で、屋内での着用も原則不要とする方向ですが、個人の自主判断に委ねた、明確かつ丁寧な指針を打ち出すべきだと考えます。見解をお示しください。

防衛力強化

昨年12月、新たな国家安全保障戦略など安保3文書が閣議決定されました。深刻化する世界の安全保障環境の中で、我が国は、いずれも核を保有し、力による現状変更の意思を隠さないロシア、中国、北朝鮮の隣に位置しており、国民はトリプル危機の最前線で暮らしています。

安保3文書の改定で「反撃能力」保有への道が開かれ、防衛費のGDP比1%枠の壁が取り払われました。戦後日本をほぼ丸腰にさらしてきた空想的平和主義から脱却し、戦争を抑止する真の平和主義へと舵を切ったことは評価します。

閣議決定に先立ち日本維新の会は、岸田総理に提言書をお渡ししました。私たちの提案を3文書に広く反映させていただいたことを感謝します。しかし、まだ踏み込みが足りません。自衛のための「必要最小限度」の解釈の見直しや核共有の議論開始など、抑止力の肝が抜け落ちているのです。今後の具体的な防衛力整備も同様です。抑止力にならない中途半端な反撃能力であれば、保有する意味などありません。

新人自衛官が初めて制服を身に着けたとき、こう服務宣誓をします。すなわち「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、もって国民の負託にこたえることを誓います」と。命を投げ出すことも厭わず国民のために全力を尽くという決意を示すものです。

有事の際、自衛隊の最高指揮官として、国民を全力で守ると誓った自衛官たちに「必要最小限で戦え」と本当に言えますか。他国への脅威にならない必要最小限の軍事力が本気で抑止力となるとお考えですか。

日本の防衛政策の基本「専守防衛」は、国民が傷つき犠牲になることが前提となっています。この立場を貫く以上、絶対に敵国に侵攻を許されない強力な防衛力を持つことが不可欠ではないですか。

核が最大の抑止力であることから目を逸らすべきではありません。中国、北朝鮮、ロシアが核戦力を増強する中、日本維新の会は、我が国が核共有をめぐる議論を開始することが必要だと考えています。

先の日米首脳会談の共同声明で、バイデン大統領は核を含むあらゆる能力を用いた日本の防衛への揺るぎない責務を表明しましたが、日本を守る核抑止の具体的な強化策は示されていません。核抑止問題について大統領とどのような議論をなされたのですか。

有事の際の国民保護への対応が遅れています。とりわけ台湾に近い先島諸島の住民約10万人の避難対策は最優先の課題です。

昨年8月には中国軍が台湾周辺の軍事演習で、沖縄県与那国島の北北西約80キロに弾道ミサイルを着弾させました。台湾から約110キロの日本最西端の島にとって、台湾有事は「対岸の火事」ではありません。

総理に伺います。

住民の避難先となる地下シェルターは国民保護の重要手段となります。しかし中国、北朝鮮がともに日本を射程に収める弾道ミサイルを所有しているのに、先島諸島には未だに地下シェルターが一つもありません。政府はいつまでに先島諸島に地下シェルターを整備する方針ですか。

国民保護法に基づいて政府が住民に避難を「指示」できるのは、自衛隊の防衛出動に必要な「武力攻撃事態」や「武力攻撃予測事態」などが認定されるときに限られています。すでに軍事攻撃が始まったか差し迫ったときであり、これでは住民避難は遅れかねません。

有事に至る前の段階の「重要影響事態」でも国民保護が行えるよう早急に法整備すべきではないですか。

訓練で重要なのは場数を踏むことです。特に先島諸島では台湾有事を想定した住民の避難訓練を国主導で積極的に実施すべきだと考えますが、併せて見解を求めます。

憲法改正

衆議院憲法審査会は昨年の通常国会において、常会で過去最多16回の実質審議の場が持たれ、先の臨時国会でも、ほぼ毎週の定例日に各党がテーブルにつきました。しかし、いつまでも漫然と意見の発表会をやっている猶予はありません。

今国会では、衆参両院の憲法審査会が足並みをそろえ、改憲項目を絞ったうえで、国民投票をいつ実施するのかゴールを定め、国会発議に向けて意見集約を加速させるべきだと考えますが、所見を伺います。

総理は来年9月末の党総裁任期中の改憲実現を明言されていますが、国民投票実施には国会発議後60日から180日間必要であることを踏まえれば、遅くとも来年7月末までに国会発議をしなければなりません。それまでに国会発議を実現させると約束していただけますか。

前国会の本院の憲法審査会では、緊急事態条項創設に関する各党見解の論点整理に入りました。今国会では、少なくとも緊急事態条項創設の成案を得るべきではないですか。自民党は具体的にどのように改憲論議をリードしていくお考えですか。総裁としての答弁を求めます。

皇位継承

総理は昨年1月、安定的な皇位継承策を検討していた政府有識者会議での議論を国会で報告しました。平成29年制定の天皇退位等に関する皇室典範特例法の附帯決議で、政府に対し「安定的な皇位継承を確保するための諸課題」等について速やかに検討し、国会に報告するよう求めたことを受けてのことです。

日本維新の会は党皇室制度調査会で議論を重ね、昨年4月、政府報告書を高く評価する意見書を衆参両院議長に提出しました。

意見書では、報告書が皇族数を確保する方策として示した、旧皇族の男系男子を養子に迎える案を特に高く評価したうえで、古来例外なく男系継承が維持されてきた重みなどを踏まえ、立法府が静かな環境の中で丁寧に議論し、総意をまとめるよう求めました。

しかし、この1年、他党・会派におかれては、議論された形跡がありません。天皇は「国安かれ、民安かれ」と祈るご存在です。静謐(せいひつ)な環境の中で皇統を厚くする方策を講じることは当然ですが、国会が真摯に向き合うべき課題です。

総理に伺います。

政府の報告書は「皇族数の確保を図ることが喫緊の課題」としていますが、立法府の対応をどう受け止めますか。今国会で与野党の協議体を設け、自民党が議論を主導していく考えはありませんか。総裁としてお答えください。

結び

日本維新の会は、若くしがらみのない政党であり、国民のために真っすぐ働くことのできる唯一の政治の力であると自負しています。今国会においても、今起こせる変化を一つ一つ積み重ねていきます。そして、必ずや政権交代を成し遂げ、国家・国民のための政治を実現させることをお誓い申し上げ、私の質問を終わります。

ご静聴ありがとうございました。

SeanPavonePhoto/iStock


編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会)のブログ2023年1月26日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。