育休中って学び直ししなきゃダメなの?と思ったときに読む話

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岸田総理が育休中のリスキリング(学び直し)支援を表明したところ、「子育てなめてんのか!」と批判が殺到しています。

【参考リンク】リスキリングって何?育休中にできるの?

https://richlink.blogsys.jp/embed/b82de1be-e4cd-385c-aca0-0be854b69dab

まあ新生児の面倒見るって一種の戦争状態なので、その傍らでスキルアップなんて筆者も非現実的だと思いますね。

でも、なぜ総理はそんな自明のことをスルーした上で育休中のスキルアップなんて言い出したんでしょうか。

その背景を紐解くと、日本型雇用のもう一つの顔が見えてきます。女性はもちろん、男性にとっても今後のキャリアを考えるうえで良いきっかけになるはずです。

年功序列制度のもとでは、女性はキャリアを諦めるかオッサン化するしかない

そういえばちょっと前に「某社で育休取得したら出世でマイナス評価されて悔しい」みたいなtweetがバズりましたね(ご本人がつぶやきを消しちゃったようなので引用はしませんが、興味ある人はググればまとめ記事が出てくるはず)。

フォローしておくとこれは某社だけの問題ではなく、育休取得した人間に昇給や昇格でマイナスの影響が出るのは珍しいことではないです。

良い悪いの問題ではなく、実際に育休期間中は仕事してない以上、昇給や昇格で差がついてしまうのは仕方がないでしょう。

仮に「育休取っても一切マイナスの査定禁止!」みたいなことを法律でやってしまうと、ずっと勤続していた人間たちの士気がダダ下がりします。

特にジョブ型と違い業務範囲が決まっていない日本型雇用の場合、休んでいる人間の業務は別の誰かがボランティアで引き受けている可能性が高いので、士気低下どころか深刻なヘイトが組織内に生まれるはず。

よく「勝手に育休なんか取ってみんなに迷惑かけやがって」みたいなことを言う意識低い系の人間がメディアで話題になったりしますね。

筆者に言わせればあれは意識レベルの問題じゃなくて、単純に人事制度の問題なんです。業務範囲が曖昧なまま集団で仕事しているから有休や育休取ったら「自分だけ楽しやがって」となっちゃうわけです。

繰り返しますが、育休取って出世に影響が出るのは仕方ないんです。

問題は、基本給積み上げ式の年功序列型組織の場合、基本給を積み増せなかった影響はその後もずっと残るし、それがゆくゆく昇格にまで影響してくるということなんですね。

じゃあどうすればいいかというと、現行の人事制度の枠組みの中で考えろと言われれば、育休中のスキルアップ支援くらいしか出てこないのはしょうがないんじゃないでしょうか。

もちろん、あくまで希望者だけ。それで実際にスキルアップ出来て、復職後の昇給や出世への影響を抑制することが出来たら万々歳くらいの感覚でしょうか。

という観点を踏まえると、普段から「終身雇用こそ正義!雇用流動化は反対!」みたいな皆さんは、ぜひとも岸田さんの決断を応援してあげてください。で、育休中の人達には「年功序列の秩序を守るためだ!子育てと並行してリスキリングも頑張れ!」と激励してあげてください。

残念ですが、現行制度ではそれが唯一の均等な処遇への道すじなので。

逆に「育休中にそんなことできるわけないだろ!」というのなら、年功序列や終身雇用自体にそもそも無理があるということになります。

枠組み自体を見直すしかありません。

以降、
育休や休職の影響を最小限におさえるコツ
たいていの生きづらさは年功という梯子を降りることで解決する

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編集部より:この記事は城繁幸氏のブログ「Joe’sLabo」2023年2月9日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はJoe’s Laboをご覧ください