黒坂岳央です。
作家・林真理子さんが日本大学の理事長になり、組織改革に挑む記事が話題だ。同記事内では「敵は2分ででき、味方を作るのは3カ月かかるが信条」とある。同氏の孤軍奮闘への覚悟が見て取れる、とても読み応えのある内容となっている。
敵はあっという間にできてしまうが、味方を作るにはとても時間がかかるものというのはあらゆる場面にいえることなのだ。この言葉にはとても共感できるし、読み取るべき内容があると思っている。
よそ者は嫌われる
筆者がサラリーマンだった頃、change managementという組織改革をマネジメントする部署にいた事がある。旧態依然だった業務や人員にメスを入れる仕事を担当したのだが、この仕事はとにかく嫌われる。
これまで自分たちがやってきた仕事をよその部署の人間から否定され、「こういうデータが欲しいから、いつまでにください」とか「このシステムからあっちのシステムへ変更になるから研修を行います」みたいなことを言わなければいけない。同じ会社同士の人間でも、まるでよそ者が自分たちの縄張りを荒らすかのような扱いを受ける。
本質的には会社として必要なことをやってくれている、なんて見方をしてくれる人は少数派なのだ。特に外部の外資系コンサルティングファームから来た人間は、とりわけ嫌われる度合いが高かったように思う。よそ者感が強いからだろう。
変化をもたらすのは、いつの時代でも「若者・よそ者・バカ者」という言葉がある。人間は変化を嫌う動物だ。よって、変化を引き起こすよそ者は嫌われるのである。ちなみにどんな会社組織でも大抵、社長や役員は嫌われる。やはり変革を引き起こす立場だからだ。
信用を得るには時間がかかる
嫌われるのは一瞬だが、好かれるのはとても時間がかかる。こうした記事を書いたり、YouTube動画を出しているとそれがすごくよく分かる。
「いつも見てます!」「信用できる人だと思っています」といった嬉しいコメントをくれる人たちは、年単位でこちらの記事や動画を見てくれたり、何百とある記事や動画を片っ端から見てくれた上でこうしたメッセージをくれる。
先日は「2年以上前に投稿していた動画と、最近出した動画で主張が一貫しているのを見て信用できると思いました」と言われた。つまり、信用を醸成するにはとても時間がかかることが分かる。初対面で知り合ったばかりの相手に、自分の銀行口座の暗証番号をシェアできる人なんていないのだ。
その一方で嫌われるのは一瞬でできる。見ている人の中で期待値があって、相手が自分の思い通りにならないだけで大嫌いだと伝えてくる人もいる。他人は自分の思い通りにならないというのに。
他人は勝手に自分を好きになったり、嫌いになったりする。これは自分ではどうしようもなく、コントロール不可能な要素である。そして難しいことに嫌われるのは一瞬でも、好かれたり信用されるには途方もなく時間がかかるのである。
嫌われる勇気なくして好かれることもできない
動画や記事を出していて思うが、一定数から嫌われる覚悟でハッキリと自分の主義を主張しなければ好かれることもできないのだ。
世の中には3種類の人間しかいない。自分を好きな人、嫌いな人、そして興味がない人で構成されている。嫌われたくなくて歯の奥に物が詰まったような言い方や、八方美人的な態度を取るとその姿勢を嫌う人すらいる。どうしようもない。誰からも嫌われたくないなら、誰とも一切関わらない選択肢以外存在しない。だが、多くの場合社会とまったく繋がりを持たない生き方は不可能に近い。だから世の中の全員が「嫌われる勇気」を持って生きるしかないのである。
◇
人生を生きていく上では強さが必要だ。その中には資本主義社会の厳しい生存競争に打ち勝つ強さの他、人間関係で嫌われる勇気を持つことも含まれる。子供の頃、クラスメートに嫌われることは死刑宣告を受けるほどに辛いと感じた人も多かっただろう。しかし、大人になったらそのようなメンタリティは卒業するべきだ。人と関わる以上、嫌われない人など世の中に一人たりともいないのだから。
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