震災から12年、今こそ東北に行ってみよう

2011年の東日本大震災から今日でちょうど12年となります。

震災の時、私は六本木のクリニックで健康診断のエコー検査をしていました。着替えて外に出るように言われ、当時目黒にあった自宅まで歩いて帰りました。道すがら、東北の友人の安否をツイッターで確認し、安堵したことを鮮明に覚えています。

Mukaiyama Takeshi/iStock

震災直後は世界中から大きな注目を集め、たくさんのボランティアや寄付などの支援が集まった東北地方ですが、今や3月11日以外あまり報道される事もなくなりました。

しかし、現地に行けばわかりますが、被災地は完全復活したわけではなく、まだまだ厳しい状況が続いているエリアも多いのです。

いつも思っていることですが、ボランティアや寄付といった善意に頼った方法は、サスティナビリティに限界があります。

温かい気持ちは、とても大切です。また現地の人たちにとっても、とてもありがたいものかもしれませんが、人の心は移ろいやすいものです。そこに頼っても、問題を解決できるとは限りません。長期で持続できる安定した仕組みを作る必要があると思います。

誰かに頼り続けるのではなく、最終的には自分たちの力で立ち上がれるようになる。魅力的な地域として、たくさんの人たちが集まるようにしていく必要があります。そのためにはまだ時間が必要です。

東北は認知度が低く、素晴らしい観光資源や魅力的な人たちに溢れていることが知られていません。一度行くと、また行ってみたい。そんな気持ちにさせてくれる場所なのです。

震災後から毎年出かけていましたが、コロナ渦で東京から出かけると逆に迷惑をかける状況が続き、しばらく行けませんでした。ようやく、地元の受け入れ態勢も整い、来月には、また東北地方に出かけ、経営者の皆さんに会いに行く予定です。

様々な困難を乗り越え、明るく前を向いて生きている人たちの姿に触れるだけで、いつもこちらが元気をもらいエネルギーを得ることができます。

いつもお会いする人たちの1人である、気仙沼で民宿つなかんを経営する菅野一代さん(写真)は、その生き様が「ただいま、つなかん」という映画となり、東京でも上映されています。

「試練は益となる」という言葉では、到底納得することができないような辛い出来事の連続の中で、懸命に生きる姿。

この映画を見れば、きっと東北に行ってみたい、そして一代さんに会ってみたいと思うはずです。

もうすぐ、東北のたくさんの素敵な人たちにまたお会いできる。魅力的な人たちだけではなく、東京では味わうことのできない豊かな食材もたくさんあって、出かけるのが今からとても楽しみです。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年3月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。