日本共産党は「破防法調査対象団体指定行為」の取消し行政訴訟提起を

浜田旧NHK党参院議員の「共産党非合法化」主張

旧NHK党の浜田聡参議院議員は、2023年3月6日の参議院予算委員会で、「共産党は暴力革命の方針を放棄したとは見なされていない。暴力革命によって自由と民主主義を破壊する共産党が非合法化されるのは合理的である」(3月6日付産経ニュース)と日本共産党の非合法化を主張した。

これに対して、日本共産党の小池晃書記局長は、同日、「公党に対して根拠のかけらもない誹謗中傷を繰り返したことに断固抗議し、撤回を求める」と表明した。

小池氏は、浜田氏の質問に対し、斎藤健法相が共産党について「破壊活動防止法に基づく調査対象団体だ」と答弁したことについても、「公安調査庁ができて以来70年になるが、破壊活動の証拠を何一つ見つけることができなかった。これが歴史の事実だ」(3月7日付赤旗)と反論した。

公安調査庁の「破防法調査対象団体指定」の理由

公安調査庁の広報によると、日本共産党は、1951年の第5回全国協議会で採択した「51年綱領」と「我々は武装の準備と行動を開始しなければならない」とする「軍事方針」に基づいて武装闘争の戦術を採用し、日本各地で殺人事件や騒乱事件などを引き起こした。

その後、共産党は、武装闘争を唯一とする戦術を自己批判したが、革命の形態が平和的になるか、非平和的になるかは敵の出方によるとするいわゆる「敵の出方論」を採用し、暴力革命の可能性を否定することなく現在に至っている。これらの理由で、公安調査庁は今も日本共産党を破壊活動防止法(破防法)第3条に基づき規制のための調査対象団体に指定している。

これに対して、日本共産党は、武装闘争は党が分裂した時期の一方の側の行動であって、党の正規の方針で「暴力革命」の方針を取ったことは一度もない。議会の多数を得て社会変革を進めるのが共産党の方針であり、暴力革命とは縁もゆかりもない、などと機関紙赤旗などで反論している。

しかし、「敵の出方論」については、古くは共産党宮本顕治委員長は「革命が平和的か非平和的かは敵の出方で決まる」(宮本顕治著「日本革命の展望」127頁)と述べ、今も共産党の理論的指導者である不破哲三社会科学研究所長も「革命が平和的か暴力的かは敵の出方による」(不破哲三著「人民的議会主義」244頁)と述べているから、現在の共産党が「敵の出方論」を完全に放棄したのかどうかは、必ずしも明確ではない。

行政事件訴訟法による指定行為の取消し行政訴訟

もともと破壊活動防止法は、日本共産党の火炎瓶闘争などの武装闘争路線による各種破壊活動を防止するために1952年7月に制定された法律である。

暴力主義的破壊活動を行った団体に対し、規制措置を定めるとともに、その活動に関し刑罰を定め、公共の安全の確保に寄与することを目的とする法律である(同法第1条)。上記の通り、日本共産党は、同法第3条に基づきこの法律による規制のための調査対象団体に長年指定されてきた。

これに対し、日本共産党は、上記小池書記局長が述べたように「破防法調査対象団体指定」の違法性不当性を強く主張してきた。ところが、不思議なことに、行政事件訴訟法第3条により「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為の取消しを求める行政訴訟」の提起が可能であるにもかかわらず、共産党は何故か国に対して指定行為の取消しを求める法的手段を一切とらないのである。

日本共産党は指定行為の取消し行政訴訟提起を

周知のとおり、日本には弁護団員数2100人を擁する「自由法曹団」が存在する。本部は東京にある。自由法曹団は思想的に共産党に近いとされている。したがって、共産党が「破防法調査対象団体指定」の違法性不当性を強く主張し、指定行為の取消しを真剣に望むならば、いつでも国に対する上記取消し行政訴訟の提起が可能なのである。

日本共産党が、「敵の出方論」を完全に放棄し、暴力革命とは一切無縁であると主張するならば、直ちに国に対して、管轄裁判所である東京地方裁判所に破防法調査対象団体指定行為の取消しを求める行政訴訟を提起すべきである。