現状変更が嫌いな朝日新聞は、だから衰退する

朝日新聞社

朝日新聞の3月24日付の社説「放送法の解釈 高市氏答弁 撤回明快に」を読んだ。放送の政治的公平性はその放送局の番組全体で判断すると、政府がもう一度国会で表明するように社説は求めている。

高市答弁を撤回し、いかなる場合でも一つの番組だけで判断しないとの解釈を、あらためて明快に述べるべきだ。

ちょっと待ってほしい。政府が放送法の解釈を国会で説明しなければならないのは、放送法第四条(国内放送等の放送番組の編集等)に「政治的に公平であること」という規定があるからだ。これを削除すれば公平性を問われることはなくなり、言論の自由は守られる。

しかし、朝日新聞は放送法の改正を求めない。放送法は現状のままで、政府解釈の再確認を求めるだけだ。

日本学術会議の在り方について、「学術会議の独立、なぜ必要か 大西隆・元会長が語る「科学の生命線」」というインタビュー記事が掲載されている。

大西元会長は自ら次のように語っている。

先進工業国の科学アカデミーは、政府とは切り離された組織であることが多いのです。一方、日本学術会議は政府機関で、旧社会主義国に多い設置形態です。そのため、ただでさえ国際的には『日本のアカデミーは独立しているのか、政府の言いなりではないか』と見られがちです。

政府から完全に切り離して活動するようになれば、国際的な疑いは解消する。そのためには、日本学術会議法を廃止すればよい。

しかし、大西氏は廃止を求めない。内閣総理大臣による会員の任命を定めた第7条第2項を削除して、学術会議自らが会員を任命できるようにしたいというだけだ。現状をできる限り維持したいという点では、放送法の社説と同様である。

現状維持を求めるばかりでは時代の変化に遅れていく。この危機感が朝日新聞にはない。だから読者離れが止まらないのだ。