エネルギーや食料品などの価格高騰の影響を緩和するために政府が2兆円規模の経済対策の実施を決めました。3月末までに閣議決定を行い、支援が開始される予定です。
まだ、抽象的な内容しか公表されていないのですが、詳しく調べていくと内容や今後のスケジュールを読み解くことができます。今回は皆さんにその内容をお届けします。
まず、現時点の公表資料や与党HPの記載などから以下のような支援が行われることがわかります。
政府が公表している支援策の概況
- 家庭の電気代軽減
電気代に上乗せさせる再生可能エネルギー賦課金の見直しにより、4月分から一般的な家庭で月800円の負担軽減。 - 自治体の実態に応じた現金給付などの低所得者支援
地方自治体が地域の実情に応じて使える「地方創生臨時交付金」を1兆2000億円積み増し、5000億円を「低所得者世帯支援枠」として住民税不課税世帯1世帯あたり約3万円(マイナポイントの配布や商品券などもありうる)を目安に給付。 - 生活者向けの給食費、ガス・電気代、省エネ家電買い替え支援
地方自治体が地域の実情に応じて使える「地方創生臨時交付金」のうち「生活者支援」として、学校給食費の支援、マイナポイント、プロパンガスや使用世帯への給付、エアコン、給湯器の買い替え費用支援。 - 事業者向けの医療介護、学校、公共交通、観光、公衆浴場業者など向けのエネルギー費用補填支援
地方自治体が地域の実情に応じて使える「地方創生臨時交付金」のうち「事業者支援」として医療介護施設、学校、公衆浴場等に対する「特別高圧電力」の負担軽減、公共交通事業者や観光事業者のエネルギー価格高騰に対する影響緩和策として給付。 - 低所得の子育て世代向けの現金給付
低所得の子育て世帯向けの支援として児童扶養手当を受け取っているひとり親世帯や住民税非課税の子育て世帯を対象に1人当たり5万円を支給。 - 酪農家等のための飼料代抑制支援
食料品の価格高騰に対応するため、小麦の政府売り渡し価格について激変緩和措置をとるほか、酪農家への負担軽減として配合飼料価格の抑制を実施。
参考:公明党
参考:物価・賃金・生活総合対策本部
以上のような内容に支援を行うことが公表されています。この内容はHPなどの情報からふわっとわかるものですが、具体的にどのような内容になるのか、スケジュール感はどうなるのか、など気になる方は多いのではないでしょうか。
今後のスケジュールを現時点の資料から読み解く
特に2兆円余りの経済対策のうちの半分強を占める「地方創生臨時交付金」(1兆2000億円)のスケジュールを確認していきます。
このような予備費や補正予算を活用した経済対策は、当初予算では予測出来なかった状況の変化などに対応するために政府が緊急に支出するものです。そのため、政府側もできる限りスピーディーな対応が求められます。
そのため、役所側も、経済対策の閣議決定(政府が正式にこれでいく、と決断したタイミング。今回は予備費を使うので国会の議決は不要です。)後、即時のアクションをとれる体制を整えています。
(執筆:西川貴清 監修:千正康裕)
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編集部より:この記事は元厚生労働省、千正康裕氏(株式会社千正組代表取締役)のnote 2023年3月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。