なぜ、金持ちになりたがるのだろう?

「なぜ、金持ちになりたがるのだろう?」という題目に「意味不明!!」というコメントが多数寄せられるかもしれません。「決まってんじゃない、欲しいもの、欲しいところ、食べたいものが自由になるでしょ」と。私はそれに返します。「たった、それだけが目的?サルでも3日で飽きます」と。(半ば冗談です。)

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金持ちになりたい人は今、一定の抑圧された生活にいる方が主流だと思います。一流会社で一定の給与をもらっている方はあまり金持ち願望がないと思います。理由は飛びぬけてはないけれどそれなりに消費余力があるからです。ローン残高も多いけれど家がある、子供の養育費もどうにかなる、このまま定年まで働けば一定の退職金も手に入り、企業年金があるから老後も悪くない、というそこそこの人生のピクチャーが描けるのです。

最近は耳にしませんが、金融機関の給与水準が高い(高かった)理由は何故だかご存知でしょうか?それはひと様のお金を扱うのに卑しい気持ちがあればネコババしたくなるかもしれないのでそれを防止するために高給にするというまことしやかな説明がされていたのです。

最近社会面でつまらない強盗事件の報道をよく見かけます。賽銭泥棒して「数円盗んで捕まった」と言うのは訳ワカメなのですが、本人は真剣なのだと思います。この場合は金持ちじゃなくて缶ビール買いたいとかその程度の金持ちでしょう。

金持ちになるための一つの手段として素敵な相手を見つけるという方法があります。相手は男女問わずです。それで経済的に安定すればそれは結構な話ですが、私が見るのはその人の性格の変化です。

貧しいから金持ちになりたい、という強い願望をもった人の立身出世の美談はよく耳にします。ただ、そういう方の話の多くは途中から忙しくて金勘定などしておらず、ビジネスが楽しくてガンガン仕事をしてふと気がついたら財を成していたというケースです。ところが自分の努力ではない形でお金が入るとその人の立身出世の意欲が急減するのもまた事実なのです。つまり、金持ちのパートナーに依存した時点で物理的なお金はそこにあっても精神的なハングリーさが消え去り、逆流を登るサーモンのようにはなれなくなるのです。お金はその点で魔物なのです。

女性社員は何故寿退社をするのか、という分析に男女の給与差があった時代に於いて「この人の給与なら私は安心できる」という皮算用が働くから、というのを読んだことがあります。今なら相当異論が出るかもしれませんが、お金は確かに人の気持ちを変えてしまうチカラはあるのでしょう。

私は東京のあるフランス料理店にたまに伺わせて頂いています。ミシュラン星でかなりハイプロファイルですが、社長を知っていてよくして頂いていることもありますが、それ以上に自分への褒美なのです。お金なんてメリハリをつけて使わないとありがたみがわからないと思うのです。しかし、私の周りにはビジネスで適度に成功してそれで放蕩して事業がずっと水平飛行の方もまた、あまりにも多いのです。だいぶ前ですが、楽天の三木谷さんがスペインでサッカーの試合を見るだけのためにとんぼ返りの欧州旅行に行ったという何かの記事を目にし、「わかる!無い時間を割いてどうしてもやりたいいことだけにお金を使う優越感」です。

多くの金持ちはいくら稼いだとかいくら持っているという銭勘定はしないと思います。それより仕事や趣味やなにかに打ち込むことに忙しくてお金を使うことなど忘れているのです。一方、中途半端にお金を持っている人が湯水のように使ってしまう方も散見します。

「お金の使い方ぐらい人の自由だろう、そんな事介入する意味なし!」と言われればおっしゃる通り。金銭感覚も人それぞれ。だけど物欲消費欲なんて知れているのです。ハイブランドのカバン、10個も持っていてれば満足でしょう。そんな金額、知れています。それよりもバックの価値に劣らない知的センスを身に着ける方が重要だと気が付いてほしいなぁ、とおじさんは思うのです。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年4月2日の記事より転載させていただきました。