超党派による「テロ行為対策特別法」 制定を提案する

岸田文雄首相襲撃テロ行為

岸田文雄首相は、2023年4月15日午前11時25分ごろ、和歌山市の雑賀崎漁港での聴衆約200人の選挙応援演説会場で、無職、木村隆二容疑者(24)から鉄パイプ爆弾とみられる爆発物を投げつけられたが、容疑者はその場で民間人や警備員らに取り押さえられ、危うく難を逃れた。これは明らかに岸田首相を狙ったテロ行為と言えよう。

このような日本の最高指導者である首相や元首相を狙ったテロ行為が、2022年7月8日の安倍元首相殺害テロ行為から1年以内に繰り返されており、日本の民主主義の根幹を揺るがす極めて重大かつ深刻な事態であるから、テロ行為を根絶するためのテロ対策が急がれるのである。

逮捕された木村隆二容疑者 NHKより

超党派による「テロ行為対策特別法」制定を提案する

テロ行為を根絶するテロ対策としては、国家公安委員会や警察庁、都道府県警察が担当する警備面行政面での抜本的対策が重要であるが、それとともに法務省が担当する法制面での抜本的対策も重要である。

筆者は法制面での抜本的なテロ対策として新たに「テロ行為対策特別法」の制定を提案する。
日本には暴力団や過激派などの組織集団による犯罪行為を処罰する「暴力行為等処罰に関する法律」や「組織的な犯罪の処罰等に関する法律」が存在するが、その犯罪構成要件は犯罪の主体が組織集団に限られており、今回のような個人によるテロ行為はこれらの法律の処罰の対象ではない。

そのため、個人によるテロ行為は刑法上の殺人罪、傷害罪、暴行罪、脅迫罪などや、その未遂罪によって処罰するしかない。新聞報道によれば、今回の容疑者は刑法234条の「威力業務妨害罪」で捜査されている。これでは3年以下の懲役または50万円以下の罰金に過ぎず、刑法25条の執行猶予の可能性すらある。

今回、筆者が提案する「テロ行為対策特別法」では、テロ行為の結果や態様に応じて、死刑または無期懲役、もしくは10年以上の有期懲役刑を科することが可能である。今回のテロ行為を見ると、現職の首相に対して鉄パイプ爆弾とみられる爆発物を投げつけており、その態様は極めて危険かつ悪質であり、民主主義の根幹である選挙を妨害する反民主主義的行為である。動機の如何に拘わらずその犯情は極めて重いと言わねばならない。

筆者が提案する「テロ行為対策特別法」には、処罰の厳格化のみならず、テロ行為自体を防止する警備面での諸規制なども含め、抜本的対策を法的に根拠づける規定も設けられるから、法的にも警備面での諸規制が可能となる。

安倍元首相殺害テロ行為後、速やかに筆者提案の上記「テロ行為対策特別法」が制定されておれば、今回のテロ行為を防止できた可能性がある。なぜなら、処罰の厳格化と法律に基づく警備面での諸規制はテロ行為の抑止になるからである。日本の民主主義を守るため、日本共産党や立憲民主党も筆者提案の「テロ行為対策特別法」の制定には反対しないと思われるので、超党派による早急な制定を求めるものである。