子ども連れの家族が「苦労」して並ばずに済むための優先レーン「子どもファスト・トラック」が博物館などで設けられるようになってきた。例えば、東京・台東区にある国立科学博物館では「恐竜博2023」が開催されているが、左側のレーンには、ベビーカーを押す母親などが並ばずに入っていく光景が見られた。新宿御苑でも「子育て支援対策の一環として、桜の混雑期において」は入園ゲートに「こどもファスト・トラック」を設置するという。
政府によると「こどもファスト・トラック」は「社会の意識改革の一環」であり「少子化対策」に繋げたいようだ。何れはこうした取り組みを他の公共施設や民間施設にも広げていくとのこと。
確かに、妊婦や乳幼児を連れた人にとっては、こうした取り組みは助かるだろうし、私は一概に悪いことだとは思わない。が、国立科学博物館では乳幼児だけでなく、中高生も優先レーンから入場しているし、新宿御苑の優先レーンも「中学生」も入ることができる。乳幼児なら色々な面で大変なこともあるだろうから「優先レーンで」というのは理解できる。
しかし、小学・中学・高校生ならば、一般の列でしっかり並ぶことは十分可能だろう。岸田文雄首相は「この取り組みを全国展開するなど、子ども優先の取り組みを実施する」と強調しているようだが、良い意味で、子供を「優先」することと、子供というだけで何でもかんでも「優先」させるのとは訳が違う。後者は、単なる甘やかしである。
小学生以上の子供ならば、列を作ってしっかり並ぶという体験をすることも大事だろう。子連れ優先ファスト・トラックが少子化対策として有効に機能することはないだろう。逆に勘違い親や子供を「大量生産」してしまうのではないか。これが私の杞憂で終われば良いが。
私が中学・高校生の時に仮にこうした施策があったとしても、おそらく、私は大きな違和感を感じていたと思う。岸田内閣は「異次元の少子化対策」を標榜しているが、迷走が心配される。
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