イギリス?連合王国? 国名の由来から英国史をおさらい

英国の歴史については、戴冠式を記念して書いた『英国王室と日本人:華麗なるロイヤルファミリーの物語』(小学館 八幡和郎・篠塚隆)でも紹介しているが、今回は地名から出発して英国史を解説してみよう。

英国の正式国名は、「グレート・ブリテンおよび北アイルランド連合王国(ユナイテッド・キングダム・オブ・グレートブリテン・アンド・ノース・アイルランド)である。これを略して国際政治の場面では連合王国(略してU.K.)、フランス語だとグレート・ブリテン(フランス語のグランド・ブルターニュ)や形容詞としてのブリティッシュをつけてブリティッシュ・ガバメントというなどブリテン島の名前が使われることもある。

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イングランド(形容詞はイングリッシュ、フランス語でアングルテール)は厳密にイングランドに限定して論じる時の言葉だ。サッカーやラグビーでは、あいかわらず、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドも別のチームを持っている。

日本でイギリスというのは、ポルトガル語の形容詞イングレスがなまったもののようだ。漢字では英吉利、あるいは英国だが、いずれにしてもイングランドを指す言葉だ。

ただし、連合王国やブリテンの翻訳にも「英」を流用している。大英帝国といわれるのも、ブリティッシュ・エンパイアの誤訳だし、旧植民地の大部分などを加盟国とする英連邦にしても、ブリティッシュ・コモンウェルスの訳だった。

大英帝国や大英博物館というのは、グレートブリテンに触発されてのことだろうが、ここでのグレートはフランスのブルターニュ地方と区別するために「遠い」というような意味でつけられたのだし、まして、イングランドに大をつけるような用法はありえないのだからこれも誤訳である。

イングランドとスコットランドとは、1603年に同君連合となり、1707年にグレートブリテン王国に統一され、1801年にはアイルランドも加わった。ただし、1999年にはスコットランド議会が復活し自治権も拡大された。ウェールズは13世紀以来、イングランドに合同されたのでユニオン・ジャック(国旗)にはスコットランドやアイルランドと違い痕跡がないが、歴代の皇太子がウェールズ公を名乗り、1997年からは独自の議会を持っている。

ブリテンはケルト系の原住民を「地方の人」というような意味で呼んだのだという。イングランドは、ユトランド半島の「隅」の方から来たアングロ人に由来する。スコットランドは「放浪」するスクイド人、ウェールズは「外国人」が語源などという。だが、いずれも確証はない。

首都ロンドンは、ローマ都市ロンデニウムの時からの都市名だが、ケルト人たちの言葉の「野性」に由来するとも言う。

ロンドンの成り立ちや宮殿については、「世界史が面白くなる首都誕生の謎」(知恵の森文庫)に詳しく書いてある。