「一斉スタートでコースのみ」の営業スタイルの功罪

ゴールデンウイークに出かけたお店の多くは、アラカルトではなくコース料理しか受け付けない営業形態でした。しかも、同じ時間に全員が揃ってから始まる、一斉スタートのお店です。

そんなお店に一緒に行ったメンバーに、アレルギーではないものの苦手な食材がありました。それに対する、2つのお店の対応が真逆なのが何とも印象的でした。

恵比寿のお店は、苦手な食材に関してはスキップさせてくれたのですが、代わりに何か別の食材が提供されることはありませんでした。そのメンバーだけ、コース料理が2品少なく提供されました。手持ち無沙汰にしている中で他のメンバーが食べるという展開になりました。

それとは対照的に、白金台のイタリアン(写真)は、食べられないお料理の代わりに、特別なお料理を用意してくれるわけではありませんでした。でも、「こんなものしかありませんが・・・」と言いながら、チーズを盛り合わせにして出してくれました。

臨機応変に対応してくれる、その心遣いに好感を持ちました。

一斉スタートのコース料理の店側の目的の1つは、全員に同じものを同じタイミングで出すことで、食材のロスを減らし、調理の効率性を高めることだと理解しています。

とすれば、好き嫌いがあって食べられないものがあるのであれば、その代替をリクエストするのは、お客側の過剰な要求なのかもしれません。

人気店になればなるほど、この「一斉スタートでコースのみ」の営業スタイルになっていきます。たくさんの来店希望者に効率的に席を案内するためには仕方ないのかもしれません。

とは言え、食事の前にお店のスタッフに連絡して、何もリアクションが無いまま品数が減ってしまうのは、何だか違和感を感じました。せっかく、お料理のクオリティは高く、接客も良かったのに、もうご縁が無くなってしまうのは残念です。

同じお料理をカウンターに並んで一斉に食べる。何だか鶏のブロイラーが餌を食べている姿に似ています。

これからは、好きなものをアラカルトで注文できるお店にもっと行こうと思います。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年5月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。