NHK「ワクチン死」すり替え放送は、誰が主導したのか

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藪の中

NHKが5月15日放送の「ニュースウオッチ9」内のコロナ下の3年間を振り返るコーナーで、コロナワクチン被害を訴える遺族の映像をコロナ遺族と印象付けて放映した事が問題となっている。

5月22日、維新の柳ヶ瀬議員の参議院決算委員会での質疑に対し、NHKの山名専務理事は下記答弁をした。

担当者はNPO法人を通じてご遺族を紹介していただき、取材の過程でワクチン接種後に亡くなった方のご遺族だと認識いたしました。

これについては、取材担当者(A氏とする)による取材申し込みの過程を見れば、当初から「ワクチン接種後遺族」と分からないはずがないという見方が強い。

可能性としては、以下の何れかが考えられる。

① 取材担当者A氏が当初から、「ワクチン接種後遺族」を「コロナ遺族」とする「偽装」を画策。
② 取材担当者A氏は遺族の「ワクチン死」主張を伝えようとしたが、上層部に潰された。
③ 政府の介入があった。

真相は今の所、芥川龍之介の「藪の中」のような状態である。

TV・新聞等の主流大手メディアには、そもそもこの問題を追及する意欲がない(冒頭のNHKの専務理事の国会答弁の記事を探したが見付からぬため、鵜川和久氏のツイートをお借りした位だ)。そのため、主として漏れ出てくる週刊誌ネタを材料に考えるしかないのが現状だ。

その上で先ず、今回の件で③の政府の介入は恐らくない。ワクチン投入当初から直接的な指示若しくは忖度によって、NHKを筆頭とした大手メディアがワクチン被害を報道しない事は改めて確認する迄もない既定路線となっていると思われる。

また、そのため仮にA氏が「ワクチン接種後遺族」の声を伝えたいとの志を持っていたとしても、当初それを言えば上層部が許可することはない。一説にはA氏が当初「コロナ遺族」を取材しようとしたが、アクセスが難しかったため、①の「偽装」を画策したとも言われる。

一方、②の遺族の「ワクチン死」主張を伝えようとしたが、上層部に潰された可能性もある。その際、A氏が当初からその志があり包み隠していたか、取材の途中で志が芽生え①から転向したのかの2パターンがある。あるいは当該コーナーのシリーズ化も考えられていたようなので、初回放送は偽装し、回を重ねる毎に徐々に「ワクチン接種後遺族」である事を明らかにする事等が念頭にあった可能性も無い訳ではない。

根本問題

NHK首脳部としては、今回の決着のシナリオをどう描いているのか。稲葉会長は今回の件の調査と対策を約束したが、残念ながら玉虫色のものか、一部に責任を押し付けて組織防衛を図るような結論しか期待できないだろう。

また、その建付け次第では、今後板挟みにあったA氏の周辺から自殺者が出る可能性もある。

NHKはそのような事に至らぬように対策すべきだが、NHK組織内のどの部分で、どの時点で、どのような過程で「偽装」の意思決定が行われたのかは、全てが明らかになる迄追及され続けなければならない。

なお、そもそもの根本問題は、ワクチン被害について頑なに伝えようとしないNHKを筆頭とした大手メディアの姿勢と、実質的にそれに影響を与えている政府の方針である。

NHKは本件についての訂正放送、検証番組を全力で避けようとするだろうが、それも当然になされなければならず、そこまで追い込む必要がある。

今回の件で風穴が開けば、それを梃子に大手メディアと政府の姿勢を矯正する契機となる。

サリドマイドも最初から薬害と認識された訳ではない。コロナの場合、今後もし弱毒化等により「ワクチンのリスク  コロナのリスク」となった事が職掌により認識出来た時期等が客観的に特定されれば、そこを基点とした関係者の刑事責任追及の可能性も出てくるだろう。

その際、もしワクチン接種を推奨するだけで、薬害の訴えについて「報道しない自由」を振りかざし続けるならば、NHKを筆頭とした大手メディアも対象から除外されるべきではない。