自衛官の銃乱射事件は典型的な「切れやすい」現代人の動物的行動だったとみています。元クラスメートの多くの証言から彼は計画的に何かを犯すタイプではなく、単に「叱られる」経験値が欠如していたことから自衛隊の厳しい規律に強く反応しただけと分析しています。
銃乱射以外にもこのような事件は頻発しているわけで病める現代社会をどう修正、克服していくかが問われます。「叱る」がハラスメントとされてしまうと子供は野生化してしまいます。
では今週のつぶやきをお送りします。
市場は「そよ風の誘惑」
オリビア ニュートンジョンのHave you never been mellow?(穏やかになったことある?)が頭の中で奏でられるほど、ほぼパーフェクトなそよ風が市場には吹いたと思います。
まず、アメリカのFOMC、パウエル議長の記者会見を見ていて私は今回初めて眠気が襲ってきました。言うであろうことが全部想定通り過ぎたと思います。「年内あと2回利上げするかも」と言うのはFOMCの口先介入に近いしょう。なぜなら彼は以前の記者会見で「その時々の経済状況で判断する」と述べたわけで利上げ効果が確実に見えており、今年も半分終わったところでなぜ、あと2回利上げという話が出てくるのかつじつまが合いません。
片や日銀。就任前後に市場では6月あたりの政策決定会合でYCCに手を付けるだろうという声が多かったのですが、就任後の植田氏のポジションからは「学者として明白な検証ができない」を理由に動かない人=ハト派の人と捉えられ、「日銀は永遠のハト」というレッテルの輝きが増したとも言えます。
もっともこの6月で引き締め観を出すのは無理だったと思います。YCCに中途半端に手をつけるのは良くないでしょう。おかげで金曜日の昼過ぎ、その発表を受けて銀行株が急落です。「銀行は金利高がお好き」なのですが、全体の相場に引っ張られるように最後は切り返していました。
これで夏前の金融関連の主たるイベントは終わりです。トレーダーたちが夏休みに入るため、しばし、この順風に乗っていくことになるかと思います。日本株については一部の大型株に買い疲れが見えるし、大手商社株は明らかに買われ過ぎです。
一方、金曜日あたりに新興株が動き出し、マザーズ指数が4.46%上昇しているので個人的予想としては個人投資家好みの銘柄がそろそろ乱舞しそうな地合いになってきたとみています。
国会の「解散風」は吹かず
今週の火曜日頃の岸田総理の解散に関する記者からの質問に答える際の顔は口で否定しながらも「お前ら、わかっちゃいないな」という含み顔でした。つまり余裕の演技顔で若干笑みすら浮かびそうな感じでした。が、その間、与野党からやんやの「解散ハンターイ!」の声。野党の声はともかく、身内の重鎮からも「大義」と言われ「内閣不信任案があれば大義か?」という解釈をめぐる意見の応酬もありました。
結局、これは何だったのか、といえばやっぱり「キッシー」なんです。「岸田総裁」とか「宰相、岸田」とは言わないのです。重みがない、これに尽きます。
安倍さんと何が違うのか、といえば信念と腰の据わり具合です。また安倍さんは専門家の意見をよく聞いて勉強していました。岸田さんは私から見れば「おとうさん」にしか映らないのです。ではなぜ岸田氏がそれでも首相を長く勤められるのか、と言えば「政治屋」としての世渡りが上手だからだと考えています。
今回の解散風で反対したところの多くは議席が減ることへの懸念でした。当初から自民、公明、立民、共産あたりは議席数が減るとされました。「減る」前提で分析をすると必ず、最良と最悪のケースシナリオが出ます。そして「減る」方で考えるので人間の心理は必ず「最悪ケース」に目線が行きます。「今、解散したら最悪、こんなに議席数が減る!」です。
議席数総数は決まっているので全政党で議席を減らすことは100%ないのですが、そのあたりの議員の心理との温度差が今回の「解散風」も台風一過のようになったというのが私の見方です。
支配と野望という幻の風、中国
中国人のイメージといえば私なら「マネー、マネー、マネー」です。これは私が学生の時に初めて香港に行った時から何度か中国本土に行ったことを含め、変わりません。
外国に長くいる中国系の人はだいぶその色は薄まり、実力とマネーは相関関係という理解が進みます。よってマネーを選ぶのか、別の幸福を選ぶのか、分かれます。私の知り合いの中国系の方は毎週のように人が踏み込まない地で登山をし、YouTubeにアップするのを趣味にしていますが、人生を謳歌しているなと思うのです。
人は国という色に染められやすく、価値観は環境次第でいくらでも変化します。政府発行紙幣である中国元を使い続ければ中国への所属意識は否が応でも高まるし、時としてすがることもあります。だけど日々、米ドルや円やカナダドルを使っていれば人の色は別の色になるものです。
そんな中、個人的には習近平氏が第3期目を決めたのち、中国全体の動きが鈍くなってきたように感じます。コロナ規制も取れて本来なら経済も大きく反転すると期待感があったのですが、これも裏切られているように見えます。
何故か、といえば今の中国では稼げないからでしょう。爆発的な成長を誇った数多くのITやオンラインストア事業、学習塾やファイナンス事業はほぼ政府に頭を押さえられました。不動産事業は中央政府は直接やらないので地方政府の運転能力次第。だけど、どこも運転技術には難があります。西側諸国による経済制裁もあります。おまけにAIIBにカナダがケチをつけ、カナダと中国の離反ぶりは目を見張るばかりとなりました。
マネーから見放された国民の心は離反する、だけど習近平氏はその実態を側近から耳にすることはないのです。なぜなら取り巻きは嫌なことが習氏の耳に入らないよう画策しているのですから。「裸のプーさん」、これが私の抱く習近平氏のイメージです。
【後記】
カナダの人口が今日、4千万人を超えます。1997年に3千万人を超えたので26年で33%増です。ちなみに2022年の一年間だけで人口が100万人以上増加、率にして2.7%は驚愕の数字です。その理由はコロナでしわ寄せになった移民権取得者が実際に動いたからとみられます。
このペースで行くと2043年には5千万人になるとか。信じられないかもしれないけれど2000年代後半にはカナダの人口が日本の人口を凌駕するのでしょうかね?人が集まる国にはやっぱりそよ風もマネーの風も吹くのだろうと思います。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年6月17日の記事より転載させていただきました。