ウクライナに日本の火薬、アメリカを通じた間接提供を調整…155ミリ砲弾も協議か
多くの日本人は、「止めてくれ。戦争で多くの人が死んでいる。これ以上の犠牲を出すことに日本は関与したくない」と思うでしょう。
しかし、以前にも述べた通り、軍事技術は軍と民間の境界に明確な一線引くことができません。例えば、ドローンはそのままでは殺傷能力を持ちませんが、改造すれば相手を殺傷することが可能です。
中国やその他の「反米諸国」は、さまざまな手段を使ってロシアを支援していると言えます。この現実を直視すると、ある程度のことは容認される必要があるでしょう。
さらに、普通の日本人の思考に欠けている要素があります。もしも日本がいまのウクライナの立場になった場合、現在、日本が「遠慮している」ことの裏返しとなります。その時、西側諸国がウクライナ支援をしなかった日本を助けない可能性もあるのです。自分だけ”良い子”は許されません。
ここで筆者が思い出した出来事があります。2003年の春、イラク戦争に関連したことです。
日本政府は国民の反発を恐れて、戦争に関わるアメリカの艦隊に「給油支援など行っていない」と主張していました(石破防衛庁長官の国会証言など)。
しかし、筆者はその事実を知っていました。実際、日本は給油支援を行っていたのです。日本以外の「世界の常識」でした。しかし、NHKなどの日本メディアの取材力は限定的であり、日本政府の発表を、少なくとも公に疑問視することはありませんでした。忖度かもしれません。例えば、地中海などを担当する第5艦隊関連の取材会見で、NHKは幹事社でした。各社ともに日本政府発表を否定しませんでした。
善悪の議論は別の話です。国民が事実を知らない日本のいびつな状況を黙認することは「調査報道記者」を自認する自分には耐え難かった。
日本国益のためです。筆者は親しい関係にあった第7艦隊の責任者にインタビューを申し込みました。友人である国防総省の高官が手助けしてくれました。
NHKは当然、筆者などを相手にしませんでした。そこで、いまの「報道ステーション」に当たる午後10時放送のTV朝日報道番組(ニュース・ステーション)に、話を持ち込みました。「事実なら、、」と、すぐに申し出を採用してくれた。
海軍の責任者は私の質問にオンカメで答えました。
当時”極楽トンボ”の筆者は、米艦隊への給油量が7割程度だと思っていましたが、7割なぞ甘いと言わんばかりに、海軍の責任者は、目を剥きながら明確に述べました。「そんなことはない。100%が日本からの給油支援だ」と。
放送後、米国防総省などに日本から多くの問い合わせがありました。
筆者はいつものように全てを自力で行いました。ワシントンの取材責任者として、自分の顔と声を出すべきでしたが、目立ちたくなかったので断りました。いつものように「黒子」で活動し、海軍責任者の回答のみが放送されました。
その約1ヶ月後、この海軍責任者よりも下位の空母「キティホーク」艦長が、日本からの給油支援を公式に認めました。
そこで始めて日本国民全てが「事実」を知ったのです。
筆者が日本の報道の状況を細かく説明したことも一因と聞きました。
当時の日本政府の嘘を、いまさら問題視するのではありません。安全保障に関しては、国民に対して事実を隠すことが常態化していました。
沖縄の「核持ち込み」密約を、筆者が暴いた時にも感じました。残念ながら、これは常に起こり得ることです。
今回のウクライナ支援はこれらの「安全保障」を、深く考える良い機会です。
日本人の多くは「憲法第9条があるから大丈夫。戦争しない国と宣言している。さらに殺傷兵器も提供しない。それらの”善行”で、戦争は起きない」という思い込みに固執し、思考停止をしています。
現実を直視し、自分たち自身のこととして考える必要があります。自国を守るためには何が可能なのか、いまの日本防衛で大丈夫か?命がかかっている日米軍事同盟とはなにか、米国の男女は日本防衛で血を流します。日本は米国のために動かない。米議会と米国民がそれを知ったらどうなるか?
軍産複合体が儲かるから、米国は戦争を望み、継続する。深刻さを増す「米中対立」に、日本は巻き込まれて犠牲になる、沖縄が差し出されるのとんでも無いという主張もあります。
だがそれらを主張する人の誰もが言わないことがあります。日米安保条約は1年の事前通告で「破棄」できます。なぜ誰もそれを言わないのでしょうか?
米国の1つの側面だけを大きな声で批判。もちろん、正論で事実なら全く問題ないことは、論を待たない。
しかしそんな問題がある米国とは、1年でお別れできるのです。日本国内の米軍基地もなくなり、地位協定問題も消えます。
敗戦直前に危ないところでした。ロシアは北方領土だけでなく、北海道の面倒をみてくれます。
中国も喜んで、尖閣や沖縄の占領だけでなく、日本本土全てを中華人民共和国「日本自治州」にしてくれます。
事実を知って勉強、さまざまな議論をよりオープンにすべきでしょう。